• 入選作品
• 石部明選
• なかはられいこ選
• 樋口由紀子選
• 広瀬ちえみ選
• 田口文世選
• 北野岸柳選

【７点句】
（天）明／（五）由紀子／（佳）文世・岸柳
この木何んの木　起立せよ　　　　　　　　　青森県　鳴海賢治

（地）ちえみ／（佳）文世・明・由紀子・れいこ
木はどこにあるか教育基本法　　　　　　　　福井県　松原未湖

（人）れいこ／（五）明・ちえみ
木洩れ日の模様をつけて家族です　　　　　　愛知県　宮川尚子

【６点句】
（天）岸柳／（五）ちえみ／（佳）れいこ
昔から木だった人にかなわない　　　　　　　愛知県　宮川尚子

（人）明／（五）由紀子／（佳）れいこ
歩く木が出て行く迷彩服を着て　　　　　　　愛知県　中山恵子

（地）明／（五）ちえみ／（佳）岸柳
幻を見たのでしょうと木が笑う　　　　　　　新潟県　坂井冬子

（天）由紀子／（佳）文世・明・れいこ
あきらめて中東あたり流れる木　　　　　　　福井県　松原未湖

【５点句】
（天）ちえみ／（佳）由紀子・れいこ
人が見た時は並んでいる並木　　　　　　　　青森県　田鎖晴天

（人）ちえみ／（佳）明・由紀子
ベニア板張っただけです青い空　　　　　　　青森県　三浦ひとは

（地）岸柳／（佳）文世・れいこ
座っても立っても冬の木が見える　　　　　　埼玉県　戸田美佐緒

（地）れいこ／（佳）文世・明
木をやめて棒鱈になる九丁目　　　　　　　　愛知県　中山恵子

（五）れいこ／（佳）明・岸柳
ここにいる私は桜なんだもの　　　　　　　　宮城県　田口文世

（五）明／（佳）文世・由紀子・岸柳
嫌な顔されたのだろう木のくぼみ　　　　　　大阪府　小池正博

【４点】
（人）文世／（佳）明
柩の杢目は卑弥呼の保健室　　　　　　　　　愛媛県　中西　亜

（五）れいこ・岸柳
わたくしが死んだらきっと切られる木　　　　青森県　斎藤早苗

（五）明／（佳）由紀子・れいこ
警棒が伸びる蒟蒻畑まで　　　　　　　　　　大阪府　宮本きゅういち

（五）文世／（佳）明・ちえみ
杉の木よ脳梗塞を疑えよ　　　　　　　　　　長野県　宮本夢実

（五）文世／（佳）ちえみ・れいこ
いつだって筋肉質の木を選ぶ　　　　　　　　長野県　いとう岬

（五）れいこ／（佳）由紀子・ちえみ
置く所に置けば濃くなる木の匂い　　　　　　青森県　笹田かなえ

（佳）明・ちえみ・れいこ・岸柳
木から木へ飛び損なってジャズ喫茶　　　　　宮城県　大友逸星

（佳）文世・明・ちえみ・れいこ
手がかりはところどころにある木目　　　　　埼玉県　菅野耕平

（佳）文世・由紀子・ちえみ・岸柳
枕木を正しいほうに敷いてゆく　　　　　　　青森県　関川雪子

【３点句】
（地）由紀子
笑い出す木を撫ぜに行く戯画の中　　　　　　愛知県　中山恵子

（人）岸柳
凍裂音だれかに届きますように　　　　　　　富山県　久場征子

（五）ちえみ／（佳）れいこ
雑木林の一本である一本　　　　　　　　　　青森県　前田まえてる

（五）明／（佳）由紀子
木は繁る小半日ほど家出する　　　　　　　　長野県　丸山健三

（五）れいこ／（佳）文世
そんな気を起こさぬように枝を剪る　　　　　岩手県　菅沼道雄

（五）ちえみ／（佳）由紀子
ババ抜きをしながら豆の木を登る　　　　　　東京都　松橋帆波

（佳）文世・ちえみ・岸柳
梅であることを知らせるだけで良い　　　　　神奈川県　杉山太郎

（佳）文世・明・ちえみ
からだの中に偏屈な木が一本　　　　　　　　三重県　小河柳女

（佳）文世・ちえみ・岸柳
いろいろあったけど御神木になった　　　　　北海道　進藤一車

（佳）明・れいこ・岸柳
木を揺する弱気な僕が落ちてくる　　　　　　青森県　三浦蒼鬼

（佳）文世・明・由紀子
ハンカチの四隅を張って木のかたち　　　　　青森県　堤　文月

（佳）明・由紀子・れいこ
弁護士を呼んで柿の木伐る話　　　　　　　　東京都　松橋帆波

（佳）文世・由紀子・岸柳
合歓の木のように心配してしまう　　　　　　青森県　笹田かなえ

【２点句】
（五）文世
君の木を否定せよ　創造する前に　　　　　　千葉県　普川素床

（五）文世
「安全はない」木のてっぺんに置くいのち　　愛知県　船橋　伸

（五）文世
卑弥呼から細木和子へ木は無言　　　　　　　岩手県　畠山軍子

（五）岸柳
木に吊す縄をしごいているところ　　　　　　岡山県　岡田文子

（五）由紀子
雨の木の真下に綺語を聴きにゆく　　　　　　大阪府　小池正博

（佳）明・岸柳
木の影を踏む柔らかな時間帯　　　　　　　　新潟県　坂井冬子

（佳）明・ちえみ
戦争の好きな神さま桜の木　　　　　　　　　北海道　木暮健一

（佳）文世・明
胸の木にもぐら叩きが忍び寄る　　　　　　　青森県　坂本トシ

（佳）明・由紀子
回転木馬今日は書籍の特売日　　　　　　　　青森県　成田　勲

（佳）文世・由紀子
どうしても木偏の外に出てしまう　　　　　　愛媛県　中西　亜

（佳）ちえみ・岸柳
電柱になった木とお話をする　　　　　　　　滋賀県　遠山あきら

（佳）文世・明
止まり木は手ごわい夜にとっておく　　　　　青森県　高橋　樟

（佳）文世・ちえみ
認知症の疑い樹齢不明です　　　　　　　　　青森県　雪田如水

（佳）れいこ・岸柳
水の匂いさせて少年木を降りる　　　　　　　和歌山県　木本朱美

（佳）明・由紀子
負け戦ばかり机の刀傷　　　　　　　　　　　青森県　斎藤早苗

（佳）由紀子・れいこ
銀杏の木ところどころにあって母　　　　　　青森県　横山キミヱ

（佳）文世・岸柳
屈葬もひなたぼっこも木の下で　　　　　　　青森県　滋野さち

（佳）ちえみ・れいこ
約束はいつも桜の散るころに　　　　　　　　埼玉県　菅野耕平

（佳）由紀子・ちえみ
紅葉は象の墓場を動けない　　　　　　　　　北海道　浪越靖政

（佳）ちえみ・れいこ
号泣したいのだプラタナスは今も　　　　　　東京都　佐藤幸子

（佳）明・岸柳
恋人を吊るしてみたい桜の木　　　　　　　　愛知県　丸山　進

（佳）ちえみ・れいこ
ニセアカシアわかりあえないことばかり　　　青森県　堤　文月

（佳）由紀子・れいこ
柿たわわ白髪染めがみつからない　　　　　　青森県　堤　文月

（佳）文世・由紀子
左を向きたがる木の脇をくすぐる　　　　　　東京都　山本忠次郎

（佳）ちえみ・岸柳
どんぐりのなる樹ひとりになる話　　　　　　青森県　守田啓子

（佳）由紀子・ちえみ
二重橋前の雑木林なり　　　　　　　　　　　福井県　天谷由紀子

（佳）文世・岸柳
戦争を木枠に入れていいですか　　　　　　　宮城県　本村靖弘

（佳）由紀子・れいこ
ポケットでときどきくしゃみする苗木　　　　大阪府　赤松ますみ

（佳）明・由紀子
夕空が晴れて鮟鱇吊るされる　　　　　　　　青森県　鳴海賢治