第19回杉野十佐一賞
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【大賞(14点)】
(特)れいこ(秀)由紀子・ちえみ(佳)政二・ゆみ子・むさし
死ぬときはびわこになると思います
本多洋子(大阪府)

 思いがけず大賞を頂いて本当に驚いております。誠に有難うございました。
 その昔、ご当地のZ賞に何度も応募させて頂いた事を思い出しております。今回、この杉野十佐一賞には初めて応募致しました。
  「消」というお題を見ました時、わたくしが消えるのはきっと川柳が書けなくなった時だと思ったのです。そしてふと「死ぬときはびわこになると思います」という言葉が自然に口をついて出ました。何のためらいもなく、そのまま紙にしたためて投函いたしました。無欲でした。だから本当に驚いております。もう少し川柳を続けて行けるのかなぁと熱くなるものを感じております。有難うございました。

【準賞(9点)】
(特)むさし(秀)政二(佳)ゆみ子
コスモスがかっている消えかかっている  中西 亜(愛媛県)

【9点】
(秀)由紀子・ちえみ(佳)れいこ・ゆみ子・むさし
晴れ間から黒板消しが落ちてきた 宮城県 須川柊子
(秀)ちえみ・ゆみ子(佳)政二・由紀子・むさし
消息のはっきりしないファになった 兵庫県 河内谷恵
(秀)政二・れいこ(佳)由紀子・ちえみ・むさし
つぶ餡のままで消えようかと思う 大阪府 谷口 義
 
【8点】
(特)由紀子(佳)政二・ちえみ・むさし
ドロンと消えて蓮池で浮き上がる 高知県 萩原良子
(秀)れいこ・むさし(佳)由紀子・ちえみ
ヨーコさんはうちに帰ってしまわれた 岩手県 徳田ひろ子
(秀)由紀子(佳)政二・れいこ・ちえみ・ゆみ子・むさし
とんでもない所が消えているバナナ 愛知県 明名 蝶
 
【7点】
(特)政二(佳)れいこ・由紀子
散歩する水には映らない人と 兵庫県 八上桐子
(秀)むさし(佳)政二・れいこ・ちえみ・ゆみ子
稲妻の折れたあたりよどう見ても 新潟県 梅沢きく恵
 
【6点】
(特)ちえみ(佳)むさし
鮭一切れ頭はきっと泳いでる 新潟県 星井五郎
 
【5点】
(特)ゆみ子
消音で鳴らしつづけるベルマーク 高知県 小野善江
(秀)むさし(佳)由紀子・ちえみ
小鳥屋の引用文は消すんだよ 愛媛県 吉松澄子
(秀)れいこ(佳)政二・ちえみ
黒板にひとつの秋が現れる 青森県 南山藤花
(秀)政二(佳)由紀子・ちえみ
極上のぜんざい食べて消えてゆく 愛知県 竹内美千代
(秀)れいこ(佳)ちえみ・むさし
ワタクシヲ消シテアナタヲ組ミ立テル 青森県 岩崎眞里子
(秀)政二(佳)れいこ・むさし
石けんの泡の時間を終えました 東京都 伊藤こうか
(秀)むさし(佳)由紀子・ちえみ
虹を消す仕事ですからすみやかに 宮城県 浮 千草
(秀)ちえみ(佳)由紀子・むさし
消印はたしか鎖骨のあたりです 神奈川県 岡田弘子
 
【4点】
(秀)由紀子(佳)ちえみ
どんぶりのもようのトリの消えたころ 静岡県 米山明日歌
(秀)ゆみ子(佳)れいこ
金魚鉢の水取り替えに籍抜きに 青森県 きさらぎ彼句吾
(秀)ゆみ子(佳)由紀子
シッカロールふって「憂いはハイ消えた」 愛媛県 吉松澄子
(秀)政二(佳)ちえみ
一日が力いっぱい消えてゆく 大阪府 街中 悠
(佳)政二・れいこ・ちえみ・ゆみ子
「目的地周辺です」と消えた蝶 高知県 小野善江
(佳)政二・れいこ・ちえみ・むさし
消えるのは手を洗ってからにしよう 大阪府 谷口 義
(佳)れいこ・由紀子・ちえみ・ゆみ子
でもなのにけれどもしかし消えました 京都府 森田律子
(佳)政二・由紀子・ゆみ子・むさし
風船を追ってかあさん出て行った 青森県 三上玉夫
(佳)れいこ・ちえみ・ゆみ子・むさし
お遊びはここまでブレーカー落ちる 静岡県 句ノ一
(佳)れいこ・由紀子・ちえみ・ゆみ子
めざめると模様がぜんぶ消えていた 愛知県 瀧村小奈生
(佳)政二・れいこ・ちえみ・ゆみ子
ここからはコトバの消えていく時間 静岡県 米山明日歌
 
【3点】
(秀)ゆみ子
ひらがなのつみならけせるはずですが 愛媛県 原田否可立
(秀)ゆみ子
ゴシックを消去 氷柱が透きとおる 石川県 岡本 聡
(秀)ちえみ
百年の廊下を拭いて拭いて泣く 岩手県 徳田ひろ子
(秀)由紀子
消火器にしばたいている河馬の癖 青森県 笹田たかし
(秀)むさし
無理やりに消したところがよく響く 愛知県 今村美根子
(秀)れいこ
午前五時五十六分 消える虹 愛知県 明名 蝶
(佳)れいこ・由紀子・ゆみ子
お試し期間にカラスの黒を消しておく 愛媛県 村山浩吉
(佳)政二・由紀子・ゆみ子
シロナガスクジラを消して鳴る汽笛 青森県 奈良一艘
(佳)由紀子・ゆみ子・むさし
いいえ 消すのは母さんの方です 愛知県 廣田千恵子
(佳)政二・れいこ・ちえみ
フェードアウトしてゆく僕の安来節 青森県 濱山哲也
(佳)政二・れいこ・むさし
消えなくちゃ消えなくちゃって昼の月 青森県 まきこ
(佳)れいこ・由紀子・ゆみ子
人消えるそれはそういうこととして 京都府 こうだひでお
(佳)れいこ・由紀子・ゆみ子
原告消費期限 被告賞味期限 東京都 飯島章友
(佳)由紀子・ちえみ・むさし
ふあふあと消えゆく桃に触れた指 島根県 石橋芳山
(佳)れいこ・ゆみ子・むさし
前頭葉から滑走路が消えた 宮崎県 棧 舜吉
(佳)政二・れいこ・むさし
根気よく撫でているので御座います 青森県 まみどり
(佳)れいこ・ちえみ・むさし
品格を消されてわんこそばになる 愛知県 中川喜代子
(佳)政二・由紀子・ちえみ
消えてゆくころ消えてゆくころだから 兵庫県 八上桐子
(佳)由紀子・ちえみ・ゆみ子
足裏の汚れを消して着地する 大阪府 笠嶋恵美子
 
【2点】
(佳)由紀子・ちえみ
足の爪切って消えるつもりでした 新潟県 谷沢けい子
(佳)由紀子・ゆみ子
消防服に象形文字が降りかかる 愛知県 安藤なみ
(佳)ゆみ子・むさし
死刑囚として    山頭火を写経 青森県 月波与生
(佳)政二・れいこ
消えそうで消えない人たちのテレビ 青森県 斎藤早苗
(佳)ちえみ・ゆみ子
あだ名はね記憶喪失って言うの 青森県 南山藤花
(佳)政二・むさし
シャボン玉消えたぞうさんも消えた 愛媛県 井上せい子
(佳)政二・むさし
「さよなら」と手を振るきみを消しながら 三重県 山口亜都子
(佳)れいこ・むさし
目が合ったからまだ消えていませんね 大阪府 久保田紺
(佳)由紀子・ゆみ子
消えたんじゃないのよ庭に埋めたのよ 福岡県 城後朱美
(佳)ちえみ・ゆみ子
ひとつ灯ってひとつ半消える ちぇっ 愛媛県 能田勝利
(佳)れいこ・由紀子
芳一の耳累々と    総武線上り 青森県 月波与生
(佳)ちえみ・むさし
行方不明の僕を何方か知らないか 青森県 三浦蒼鬼
(佳)政二・由紀子
カマキリと歩いた日々は消しました 青森県 渡邊こあき
(佳)ゆみ子・むさし
予定ではきれいに消えるはずだった 宮城県 浮 千草
(佳)由紀子・ゆみ子
いないいないばあって2号機4号機 青森県 滋野さち
(佳)ちえみ・ゆみ子
発泡酒ガンガンあびているめ組 青森県 濱山哲也
(佳)ちえみ・ゆみ子
消化器に問題はない冬薔薇 滋賀県 重森恒雄
(佳)政二・ちえみ
水掻きの消えた辺りで生まれたの 京都府 和田洋子
(佳)政二・ゆみ子
ポン菓子のポンのところで消えました 大阪府 赤松ますみ
(佳)由紀子・ちえみ
息苦しいほどに青い空 消した 兵庫県 妹尾凛
(佳)ちえみ・ゆみ子
携帯にくしゃみをひとつして消える 北海道 悠 とし子
(佳)政二・由紀子
ばあちゃんのガラスの靴が転がった 青森県 坂本勝子
(佳)れいこ・ゆみ子
この人と瞬間移動する話 青森県 岩崎雪洲
(佳)政二・由紀子
消炭が思い出し笑いしている 青森県 林 紫苑
(佳)由紀子・ちえみ
まぁ視てな灰色になりつつ ドロン 宮城県 勝又明城
(佳)由紀子・ちえみ
雁首を揃え消毒してもらう 岡山県 福力明良
(佳)れいこ・ちえみ
ボタンはじけて発展的解消 京都府 森田律子
(佳)れいこ・ちえみ
消しゴムを半分持っていく未来 青森県 真美
(佳)れいこ・むさし
消えるまで擦った跡があるメール 滋賀県 北村幸子
(佳)由紀子・ちえみ
消さなくちゃ おこそとのほも えけせてねへめ 愛媛県 中西 亜
(佳)れいこ・ちえみ
電源を消してスーパーマンを呼ぶ 北海道 酒井麗水
(佳)政二・れいこ
消え残る時はのどかに青い味 大阪府 上野浩子 
(佳)れいこ・ゆみ子
ハレルヤハレルヤ消炎剤の空がある 北海道 澤野優美子
(佳)れいこ・由紀子
おとなしくホースは巻かれ木の箱へ 青森県 守田啓子
(佳)政二・ちえみ
もみ洗いして満月の染みを消す 大阪府 本多洋子
(佳)れいこ・ゆみ子
点滅の辺りに私置き去りに 京都府 北原照子
 
【1点】
(佳)由紀子
一行抹消てんこ盛りした蕎麦のせる 岡山県 近藤朋子
(佳)由紀子
牛消せぬ方程式が霧にある 青森県 草野力丸
(佳)政二
シャボン玉の終着駅についてゆく 青森県 則田 椿
(佳)政二
人消える消えないものを見せるため 神奈川県 杉山太郎
(佳)れいこ
消した過去西海岸に辿り着く 香川県 藤本ゆたか
(佳)政二
目の前から消え私のなかにいる 東京都 泉 明日香
(佳)ゆみ子
ゼラチン質残して君が消えた家 東京都 長峯 福太郎
(佳)むさし
消したのに遠くでポンと音が出る 愛知県 松長一歩
(佳)ゆみ子
雨女とサハラへ消えた雨男 愛媛県 能田勝利
(佳)ちえみ
消えかけているのにポンと出てくるの 島根県 石橋芳山
(佳)むさし
いもうとの影も消したね彼岸花 長野県 丸山健三
(佳)ちえみ
消したので余計目立ってしまいます 徳島県 徳長 怜
(佳)れいこ
透明な兵だけ残り居なくなる 宮城県 渡辺忠一
(佳)むさし
うしろの正面は誰ですか 消去 秋田県 田久保亜蘭
(佳)由紀子
あああああ消えていく薄曇りの空へ 愛知県 瀧村小奈生
(佳)政二
まだ結論出ていないのに彼岸花 奈良県 太田のりこ
(佳)れいこ
寝てる間に画面が消えて今日が来た 愛知県 稲垣康江
(佳)むさし
消すか消されるか試してみることだ 兵庫県 前田芙巳代
(佳)政二
輪郭を消してこの子の母になる 岩手県 田中苑子
(佳)れいこ
消えのこる泡からひょんなこと生まれ 北海道 酒井麗水
(佳)むさし
消しきれぬ傷から涌いてくるメダカ 大阪府 平井美智子
(佳)政二
目があったとたんしゅるんと消えた影 兵庫県 妹尾 凛
(佳)ゆみ子
虚虚虚のキョされど全てが愛おしい 鳥取県 藤原鬼桜
(佳)由紀子
全消去するなんて無花果の指 愛媛県 郷田みや
(佳)政二
ふっと消えたら思い出になれる 青森県 前輝
(佳)ゆみ子
夕焼けを背負ったまんま消えた父 京都府 谷口 文
(佳)政二
行間で雨の上がった音を聞く 青森県 白戸まつ子
(佳)ゆみ子
姉ちゃんの彼氏を消した参観日 香川県 藤本ゆたか
(佳)れいこ
ぼくを返品 当日消印有効です 青森県 赤平くみこ
(佳)由紀子
太平洋を消去するのは宇宙人 大阪府 寺川弘一
(佳)れいこ
旅に出てちょっと私を消してみる 宮城県 真田義子
(佳)ちえみ
絶滅危惧種に指定されましたよアナタ 山形県 相田みちる
(佳)ゆみ子
今日自分を消してワタシを残した 滋賀県 谷 恵子
(佳)ちえみ
そんな見つめられたら消えてしまいます 東京都 伊藤こうか
(佳)政二
消して消して自分も消える消しゴム 千葉県 普川素床
(佳)ゆみ子
子が消えたリナルナレナナルリウララ 愛媛県 高橋こう子
(佳)れいこ
消灯をしないコンビニ切手買う 青森県 常田チャコ
(佳)むさし
けんけんぱ僕の軌跡が透けていく 青森県
(佳)由紀子
どきどきは続くカツラが揺れている 大阪府 竹井紫乙
(佳)むさし
足首の辺りが消える夕まずめ 岡山県 木下草風
(佳)ゆみ子
その次のページも墨を塗るのです 北海道 木暮健一
(佳)政二
おしゃれじゃない服着て母さん来ちゃったね 青森県 てつ子
(佳)ゆみ子
消えるまでしばしの猶予 牙みがく 高知県 萩原良子
(佳)れいこ
母の部屋 記憶の中で息を止める 青森県 坂本トシ
(佳)むさし
廊下橋渡ってみんな居なくなる 京都府 内田真理子
(佳)政二
書いて消して書いてわたしになりました 青森県 中村誠子
(佳)むさし
脱皮するたびにワタシをひとつ消す 青森県 まきこ
(佳)政二
消印のない手紙書く 弟よ 青森県 中道文子
(佳)むさし
消えてゆく森を見つめているカラス 京都府 谷口 文
(佳)政二
五十二だったか ひばりも裕ちゃんも 東京都 北野響子
(佳)由紀子
腹這いのまま顎で消す李香蘭 愛知県 安藤なみ
(佳)政二
消しゴムの湿ったカスはわたしです 青森県 三上玉夫
(佳)ゆみ子
消した火へ灯を点けに行くひだりの手 奈良県 中村せつこ
(佳)むさし
折り返し点に消えない水溜り 青森県 中村誠子
(佳)由紀子
ホワイトを塗って塗って塗って・・・煙 青森県 岩崎雪洲
(佳)政二
いつだって消えそうな声になる良心 北海道 田村あすか
(佳)由紀子
ヒトスジシマカの一人として消える 滋賀県 重森恒雄
(佳)むさし
アリクイの舌が私を消しに来る 青森県 熊谷冬鼓
(佳)むさし
桃ひとつ残しアドレス消去する 北海道 浪越靖政
(佳)由紀子
シンバルの一打背中の影が消え 青森県 ひらく
(佳)政二
消しゴムのカスを笑ったボールペン 青森県 前田厚兵
(佳)れいこ
定型だ定型だ叫ぶ消しゴム 石川県 岡本 聡
(佳)むさし
願望のそのいちシャボン玉のよに。 青森県 小田原千秋
(佳)由紀子
窓辺には金魚と水で消える恋 愛媛県 井上せい子
(佳)ちえみ
消しゴムはずっと未来を見たかった 青森県 ひとは
(佳)むさし
消しゴムの滓は一揆を企てる 京都府 岩根彰子
(佳)政二
誘蛾灯家出少女が見付からぬ 愛媛県 除田六朗
(佳)れいこ
三日月の欠けた所にある吹雪 青森県 坂本清乃
(佳)むさし
フェイドアウトはイエローサブマリンで 熊本県 いわさき楊子
(佳)れいこ
伝言板を誰も消さない無人駅 大阪府 寺川弘一
(佳)むさし
今までの嘘を飛行機雲が消す 高知県 大野早苗
(佳)政二
老人に笑いが消えてます総理 京都府 奥山晴生
(佳)ゆみ子
痒いのは消えてしまった傷の痕 兵庫県 田村ひろ子
(佳)れいこ
消え去ったばかり座ぶとんの温もり 北海道 伊藤寿子
(佳)むさし
栓をしておきます笑顔消えぬよう 京都府 山本知佳子
(佳)政二
泣き虫の私を二本線で消す 長野県 興津幸代
(佳)ゆみ子
はっか飴ぼんのうひとつ消えました 山形県 舟山智恵

応募者ご芳名

【北海道】
新井笑葉・伊藤寿子・岩間啓子・木暮健一・酒井麗水・澤野優美子・田村あすか・浪越靖政・松木 秀・嶺岸柳舟・宗村政己・悠とし子
【青森】
赤平くみこ・アッコ・阿部治幸・石澤はる子・岩崎雪洲・岩崎眞里子・奥崎倭子・小田原千秋・小野五郎・角田古錐・翔・きさらぎ彼句吾・草野力丸・熊谷冬鼓・斎藤早苗・坂本勝子・坂本清乃・坂本トシ・笹田たかし・佐藤允昭・里村みつこ・滋野さち・白戸まつ子・須藤しんのすけ・眇靖女・碾鸛石・高田幸柳・盒鏡姥弌千葉かほる・月波与生・常田チャコ・中道文子・中村誠子・中村みのり・奈良一艘・成田勲・鳴海賢治・則田椿・濱山哲也・林紫苑・ひとは・ひらく・福井陽雪・前田厚兵・前輝・まきこ・松山芳生・真美・まみどり・三浦蒼鬼・三上玉夫・南山藤花・守田啓子・山本弘志・吉田州花・渡邊こあき・渡邊寂隆・てつ子
【岩手】
加差野静浪・田中苑子・はるひ・徳田ひろ子
【秋田】
一帆・田久保亜蘭
【宮城】
浮千草・勝又明城・真田義子・須川柊子・武川影法師・渡辺忠一
【山形】
相田みちる・伊東マコ・舟山智恵・松谷柚子坊
【福島】
坪内照光・中野敦子・府中三三男
【茨城】
岡本恵
【埼玉】
鈴木良二
【千葉】
老沼正一・普川素床・水立日月
【東京】
飯島章友・泉明日香・伊藤こうか・伊藤三十六・上原稔・北野響子・佐藤仲由・田崎信・長峯福太郎・藤田めぐみ・星出冬馬・柳本々々・山田こいし
【神奈川】
アズスン安須・阿部天気・岡田弘子・加藤ゆみ子・杉山太郎
【新潟】
梅沢きく恵・坂井冬子・谷沢けい子・星井五郎
【富山】
岡野満
【石川】
石倉多美子・岡本聡・奥野とみ子・藤村容子・宮田喜美子
【長野】
興津幸代・小池孝一・樹萄らき・丸山健三
【岐阜】
後藤順
【静岡】
句ノ一・柳谷益弘・米山明日歌
【愛知】
青砥和子・明名蝶・安藤なみ・稲垣康江・今村美根子・眦跳忙辧β軋湿奈生・竹内美千代・中川喜代子・廣田千恵子・深谷江利子・松長一歩・丸山進・水谷克行・三好光明
【三重】
小河柳女・山口亜都子
【滋賀】
大谷のり子・片山美津子・北村幸子・久保和友・重森恒雄・嶌清五郎・鈴木紀子・竹内歌子・谷 恵子・中村はるゑ
【京都】
岩根彰子・内田真理子・奥山晴生・北原照子・こうだひでお・高島啓子・谷口文・西田雅子・森田律子・山本昌乃・山本知佳子・和田洋子
【大阪】
赤松ますみ・上野浩子・ 笠嶋恵美子・久保田紺・阪井一夫・竹井紫乙・谷口義・寺川弘一・平井美智子・本多洋子・街中悠
【兵庫】
河内谷恵・斉藤幸男・妹尾凛・田村ひろ子・坪井篤子・東馬場美和子・前田芙巳代・八上桐子・柳口テルヨ
【奈良】
太田のりこ・中村せつこ・ひとり静
【鳥取】
斉尾くにこ・藤原鬼桜
【島根】
石橋芳山
【岡山】
岡崎一也・木下草風・近藤朋子・福力明良・藤井智史・馬屋原弘万・山本美枝・吉原信子
【広島】
笹重耕三
【山口】
兼行幸枝
【徳島】
徳長怜
【香川】
佐々木ええ一・嶋村幸・田岡弘・藤本ゆたか
【愛媛】
青野悦子・井上せい子・郷田みや・高橋こう子・中西亜・能田勝利・原田否可立・松本宗和・村山浩吉・山之内さち枝・山本毅・除田六朗・吉松澄子
【高知】
大野早苗・大野美惠・小野善江・楠瀬美香・竹内恵子・萩原良子・森鈴
【福岡】
大庭堅司・城後朱美
【佐賀】
古賀由美子
【熊本】
いわさき楊子
【宮崎】
稲毛寛・桟舜吉
【鹿児島】
石神紅雀・平瀬芙蓉
【沖縄】
渡嘉敷唯正・森山文切

計240名

徳永 政二 選(とくながせいじ・滋賀県・びわこ番傘川柳会所属)
佳作44 泣き虫の私を二本線で消す 長野県 興津幸代
佳作43 老人に笑いが消えてます総理 京都府 奥山晴生
佳作42 ばあちゃんのガラスの靴が転がった 青森県 坂本勝子
佳作41 誘蛾灯家出少女が見付からぬ 愛媛県 除田六朗
佳作40 もみ洗いして満月の染みを消す 大阪府 本多洋子
佳作39 消しゴムのカスを笑ったボールペン 青森県 前田厚兵
佳作38 消炭が思い出し笑いしている 青森県 林 紫苑
佳作37 ドロンと消えて蓮池で浮き上がる 高知県 萩原良子
佳作36 いつだって消えそうな声になる良心 北海道 田村あすか
佳作35 消しゴムの湿ったカスはわたしです 青森県 三上玉夫
佳作34 カマキリと歩いた日々は消しました 青森県 渡邊こあき
佳作33 五十二だったか ひばりも裕ちゃんも 東京都 北野響子
佳作32 消印のない手紙書く 弟よ 青森県 中道文子
佳作31 書いて消して書いてわたしになりました 青森県 中村誠子
佳作30 おしゃれじゃない服着て母さん来ちゃったね 青森県 てつ子
佳作29 「さよなら」と手を振るきみを消しながら 三重県 山口亜都子
佳作28 フェードアウトしてゆく僕の安来節 青森県 濱山哲也
佳作27 ここからはコトバの消えていく時間 静岡県 米山明日歌
佳作26 消して消して自分も消える消しゴム 千葉県 普川素床
佳作25 消え残る時はのどかに青い味 大阪府 上野浩子 
佳作24 稲妻の折れたあたりよどう見ても 新潟県 梅沢きく恵
佳作23 根気よく撫でているので御座います 青森県 まみどり
佳作22 黒板にひとつの秋が現れる 青森県 南山藤花
佳作21 行間で雨の上がった音を聞く 青森県 白戸まつ子
佳作20 「目的地周辺です」と消えた蝶 高知県 小野善江
佳作19 ふっと消えたら思い出になれる 青森県 前輝
佳作18 消えてゆくころ消えてゆくころだから 兵庫県 八上桐子
佳作17 シャボン玉消えたぞうさんも消えた 愛媛県 井上せい子
佳作16 目があったとたんしゅるんと消えた影 兵庫県 妹尾 凛
佳作15 消えそうで消えない人たちのテレビ 青森県 斎藤早苗
佳作14 輪郭を消してこの子の母になる 岩手県 田中苑子
佳作13 まだ結論出ていないのに彼岸花 奈良県 太田のりこ
佳作12 とんでもない所が消えているバナナ 愛知県 明名 蝶
佳作11 シロナガスクジラを消して鳴る汽笛 青森県 奈良一艘
佳作10 消息のはっきりしないファになった 兵庫県 河内谷恵
佳作9 死ぬときはびわこになると思います 大阪府 本多洋子
佳作8 消えるのは手を洗ってからにしよう 大阪府 谷口 義
佳作7 目の前から消え私のなかにいる 東京都 泉 明日香
佳作6 風船を追ってかあさん出て行った 青森県 三上玉夫
佳作5 ポン菓子のポンのところで消えました 大阪府 赤松ますみ
佳作4 人消える消えないものを見せるため 神奈川県 杉山太郎
佳作3 消えなくちゃ消えなくちゃって昼の月 青森県 まきこ
佳作2 シャボン玉の終着駅についてゆく 青森県 則田 椿
佳作1 水掻きの消えた辺りで生まれたの 京都府 和田洋子
       
秀逸5 一日が力いっぱい消えてゆく 大阪府 街中 悠
秀逸4 つぶ餡のままで消えようかと思う 大阪府 谷口 義
秀逸3 石けんの泡の時間を終えました 東京都 伊藤こうか
秀逸2 極上のぜんざい食べて消えてゆく 愛知県 竹内美千代
秀逸1 コスモスがかっている消えかかっている 愛媛県 中西 亜
       
特選 散歩する水には映らない人と 兵庫県 八上 桐子

選評

 今回、選をしながら考えさせられたことは、 日常をどう書くかである。迫ってくるものを 書くにはやはり日常は無視できない。どう書 くか、どう創作するか、その人の抱えている 問題をどうイメージさせて伝えるか。そんな ことを思う。

 秀逸
 一日が力いっぱい消えてゆく

 消えるとわかっていての「力いっぱい」が さわやかである。また「一日が」としたとこ ろが魅力。ていねいにまっすぐ生きようとす る気持ちが伝わる。

 つぶ餡のままで消えようかと思う

  作者は「つぶ餡」好みなのであろう。こだ わるものにこだわり、好きなものは好きと主 張して生きる。すべて自分自身の納得。その ことが「かと思う」から感じる。

 石けんの泡の時間を終えました

 「泡の時間」がおもしろい。「石けん」は 日常、「泡の時間」は、そこから少し浮かん だ想像の時間。これを作句時間だとすると、 「終えました」がとてもよくわかる。

 極上のぜんざい食べて消えてゆく

  明るさと強さを感じる「極上」がとてもい い。この世に生まれた限りはと、「極上」を 見て、聞いて、そして味わう。けして「ぜん ざい」だけでは終わったりしない人である。

 コスモスがかっている消えかかっている

  「がかっている」が生きるためには、ここ は「コスモス」でなければならない。そして 惹かれるのは、その中に消えたいと思うほど の「コスモス」のひろがりが目の前に浮かぶ ことである。

 特選
 散歩する水には映らない人と

 日常の言葉「散歩する」がここではうまく 作用している。一緒に歩いた雨上がりの水た まりもある道。ひとりになったさみしさがさ らっと書かれていることで、強く生きようと する現在が読め、味わい深い。

なかはら れいこ 選(なかはられいこ・岐阜県・ねじまき句会所属)
佳作44 消え残る時はのどかに青い味 大阪府 上野浩子
佳作43 消え去ったばかり座ぶとんの温もり 北海道 伊藤寿子
佳作42 伝言板を誰も消さない無人駅 大阪府 寺川弘一
佳作41 三日月の欠けた所にある吹雪 青森県 坂本清乃
佳作40 この人と瞬間移動する話 青森県 岩崎雪洲
佳作39 定型だ定型だ叫ぶ消しゴム 石川県 岡本 聡
佳作38 点滅の辺りに私置き去りに 京都府 北原照子
佳作37 ハレルヤハレルヤ消炎剤の空がある 北海道 澤野優美子
佳作36 ボタンはじけて発展的解消 京都府 森田律子
佳作35 根気よく撫でているので御座います 青森県 まみどり
佳作34 お遊びはここまでブレーカー落ちる 静岡県 句ノ一
佳作33 ここからはコトバの消えていく時間 静岡県 米山明日歌
佳作32 電源を消してスーパーマンを呼ぶ 北海道 酒井麗水
佳作31 おとなしくホースは巻かれ木の箱へ 青森県 守田啓子
佳作30 母の部屋 記憶の中で息を止める 青森県 坂本トシ
佳作29 原告消費期限 被告賞味期限 東京都 飯島章友
佳作28 目が合ったからまだ消えていませんね 大阪府 久保田紺
佳作27 消えるまで擦った跡があるメール 滋賀県 北村幸子
佳作26 消灯をしないコンビニ切手買う 青森県 常田チャコ
佳作25 芳一の耳累々と    総武線上り 青森県 月波与生
佳作24 金魚鉢の水取り替えに籍抜きに 青森県 きさらぎ彼句吾
佳作23 旅に出てちょっと私を消してみる 宮城県 真田義子
佳作22 稲妻の折れたあたりよどう見ても 新潟県 梅沢きく恵
佳作21 ぼくを返品 当日消印有効です 青森県 赤平くみこ
佳作20 消しゴムを半分持っていく未来 青森県 真美
佳作19 人消えるそれはそういうこととして 京都府 こうだひでお
佳作18 前頭葉から滑走路が消えた 宮崎県 棧 舜吉
佳作17 フェードアウトしてゆく僕の安来節 青森県 濱山哲也
佳作16 お試し期間にカラスの黒を消しておく 愛媛県 村山浩吉
佳作15 消えのこる泡からひょんなこと生まれ 北海道 酒井麗水
佳作14 消えるのは手を洗ってからにしよう 大阪府 谷口 義
佳作13 寝てる間に画面が消えて今日が来た 愛知県 稲垣康江
佳作12 品格を消されてわんこそばになる 愛知県 中川喜代子
佳作11 透明な兵だけ残り居なくなる 宮城県 渡辺忠一
佳作10 でもなのにけれどもしかし消えました 京都府 森田律子
佳作9 消えなくちゃ消えなくちゃって昼の月 青森県 まきこ
佳作8 めざめると模様がぜんぶ消えていた 愛知県 瀧村小奈生
佳作7 晴れ間から黒板消しが落ちてきた 宮城県 須川柊子
佳作6 消えそうで消えない人たちのテレビ 青森県 斎藤早苗
佳作5 消した過去西海岸に辿り着く 香川県 藤本ゆたか
佳作4 とんでもない所が消えているバナナ 愛知県 明名 蝶
佳作3 「目的地周辺です」と消えた蝶 高知県 小野善江
佳作2 石けんの泡の時間を終えました 東京都 伊藤こうか
佳作1 散歩する水には映らない人と 兵庫県 八上桐子
       
秀逸5 午前五時五十六分 消える虹 愛知県 明名 蝶
秀逸4 つぶ餡のままで消えようかと思う 大阪府 谷口 義
秀逸3 ワタクシヲ消シテアナタヲ組ミ立テル 青森県 岩崎眞里子
秀逸2 黒板にひとつの秋が現れる 青森県 南山藤花
秀逸1 ヨーコさんはうちに帰ってしまわれた 岩手県 徳田ひろ子
       
特選 死ぬときはびわこになると思います 大阪府 本多洋子

選評

 「消」という題のせいか、虚と実を、あるいは生死を往来するようなふしぎな作品が多くて読むのが楽しかった。まずは秀句から。

■秀句1:不在であることで逆に存在は強く意識される。この「ヨーコさん」の圧倒的な存在感は「しまわれた」という言い回しによって生まれたのだと思う。

■秀句2:黒板に現れる秋、というふしぎさに惹かれた。黒板の隅に柿とか栗とかが描かれていただけなのかもしれない。それとも、何も書かれていない黒板に秋を見たのだろうか。どちらであっても詩人の目である。

■秀句3:カタカナ表記がSFっぽい。まるでロボットの台詞のようでもある。人間関係の成り立ち難さが現れていて、ちょっとせつなくなった。

■秀句4:「つぶ餡」がすべて。本来は漉し餡を目指していたかのようで、文句なしにおもしろい。

■秀句5:「午前五時五十六分」という限定のリアルさによって「消える虹」という、ゆめゆめした甘さが完璧に押さえられている。真実とはなにかを考えさせられる1句。

■特選
 死ぬときはびわこになると思います

「死ぬときは○○○になると思います」という、ごく普通の構文で構成されているのにもかかわらず、まったく普通ではない。普通でなさは「びわこ」にある。○○○に「びわこ」が入るなんて普通ではない。もうひとつ、「死ぬとき」の「とき」も普通ではないことに気がついた。死んだら○○になる、というのは耳に馴染んだフレーズだけど、ここに書かれているのは、死んだ後のことではなくて、まさに死にゆくときの数秒間の意識なのだ。臨終の間際の朦朧とした意識と、機能が止まりかけた身体の器官が見せる幻。「びわこ」が琵琶湖であるとすれば、茫洋とした浮遊感のようなものと呼応する。湖には <向こう岸>というものが存在する。なんだか暗示的である。それらすべてをひっくるめて、強く惹かれた作品。

樋口 由紀子 選(ひぐちゆきこ・兵庫県・MANO所属)
佳作44 ヨーコさんはうちに帰ってしまわれた 岩手県 徳田ひろ子
佳作43 消えてゆくころ消えてゆくころだから 兵庫県 八上 桐子
佳作42 足裏の汚れを消して着地する 大阪府 笠嶋恵美子
佳作41 原告消費期限 被告賞味期限 東京都 飯島章友
佳作40 窓辺には金魚と水で消える恋 愛媛県 井上せい子
佳作39 おとなしくホースは巻かれ木の箱へ 青森県 守田啓子
佳作38 シンバルの一打背中の影が消え 青森県 ひらく
佳作37 ヒトスジシマカの一人として消える 滋賀県 重森恒雄
佳作36 ホワイトを塗って塗って塗って・・・煙 青森県 岩崎雪洲
佳作35 腹這いのまま顎で消す李香蘭 愛知県 安藤なみ
佳作34 めざめると模様がぜんぶ消えていた 愛知県 瀧村小奈生
佳作33 虹を消す仕事ですからすみやかに 宮城県 浮千草
佳作32 ふあふあと消えゆく桃に触れた指 島根県 石橋芳山
佳作31 風船を追ってかあさん出て行った 青森県 三上玉夫
佳作30 息苦しいほどに青い空 消した 兵庫県 妹尾 凛
佳作29 どきどきは続くカツラが揺れている 大阪府 竹井 紫乙
佳作28 消印はたしか鎖骨のあたりです 神奈川県 岡田 弘子
佳作27 消息のはっきりしないファになった 兵庫県 河内谷恵
佳作26 消さなくちゃ おこそとのほも えけせてねへめ 愛媛県 中西 亜
佳作25 まぁ視てな灰色になりつつ ドロン 宮城県 勝又明城
佳作24 雁首を揃え消毒してもらう 岡山県 福力明良
佳作23 でもなのにけれどもしかし消えました 京都府 森田律子
佳作22 太平洋を消去するのは宇宙人 大阪府 寺川弘一
佳作21 シロナガスクジラを消して鳴る汽笛 青森県 奈良一艘
佳作20 人消えるそれはそういうこととして 京都府 こうだひでお
佳作19 シッカロールふって「憂いはハイ消えた」 愛媛県 吉松澄子
佳作18 全消去するなんて無花果の指 愛媛県 郷田みや
佳作17 消炭が思い出し笑いしている 青森県 林紫苑
佳作16 いないいないばあって2号機4号機 青森県 滋野さち
佳作15 消防服に象形文字が降りかかる 愛知県 安藤なみ
佳作14 いいえ 消すのは母さんの方です 愛知県 廣田千恵子
佳作13 あああああ消えていく薄曇りの空へ 愛知県 瀧村小奈生
佳作12 つぶ餡のままで消えようかと思う 大阪府 谷口 義
佳作11 ばあちゃんのガラスの靴が転がった 青森県 坂本勝子
佳作10 芳一の耳累々と    総武線上り 青森県 月波与生
佳作9 消えたんじゃないのよ庭に埋めたのよ 福岡県 城後朱美
佳作8 お試し期間にカラスの黒を消しておく 愛媛県 村山浩吉
佳作7 足の爪切って消えるつもりでした 新潟県 谷沢けい子
佳作6 散歩する水には映らない人と 兵庫県 八上 桐子
佳作5 小鳥屋の引用文は消すんだよ 愛媛県 吉松澄子
佳作4 カマキリと歩いた日々は消しました 青森県 渡邊こあき
佳作3 極上のぜんざい食べて消えてゆく 愛知県 竹内美千代
佳作2 牛消せぬ方程式が霧にある 青森県 草野力丸
佳作1 一行抹消てんこ盛りした蕎麦のせる 岡山県 近藤朋子
       
秀逸5 死ぬときはびわこになると思います 大阪府 本多洋子
秀逸4 消火器にしばたいている河馬の癖 青森県 笹田たかし
秀逸3 とんでもない所が消えているバナナ 愛知県 明名 蝶
秀逸2 晴れ間から黒板消しが落ちてきた 宮城県 須川柊子
秀逸1 どんぶりのもようのトリの消えたころ 静岡県 米山明日歌
       
特選 ドロンと消えて蓮池で浮き上がる 高知県 萩原良子

選評

 今回、選をしていて、気になったのは散文調の川柳が全体的に増えていることである。実はこれは困った現象だと自戒を込めて思っている。だって、川柳は韻文の文芸である。散文と一線を引く覚悟がいるはずである。でも、散文調の川柳はわかりやすく、たしかに手っ取り早く、ひきつけられる。近年の大賞受賞作品<ササキサンを軽くあやしてから眠る><こんにゃくの素質も少しおありです>のせいでもある。散文調の方が入賞率が高い。韻文は成功率が低く、なかなか決まってくれない。また、韻文は型にはまり、見飽きたものになりやすい。それに比べて、散文調は言い回しにまだまだ可能性が残っているようで、いろいろと工夫されている。今回も私は散文調の川柳を抜いている。できれば韻文の方を抜きたかったが、ありきたりのパターン句が多く、意味内容に凭れきっている。それではいくら韻文であっても抜けない。しかし、散文調もそろそろピークが過ぎてきたように思う。ふわふわとして、飽きてくるという難点がある。韻文の方が後で効いている場合がわりと多い。月並み以上のものに仕上げるには、確かに散文調は一つの威力であったが、ややそれも月並み化しつつある。韻文は難しい。

 特選にいただいた<ドロンと消えて蓮池で浮き上がる>はあっと思わせるものがあった。せっかく、忍者のように「ドロンと」消えたのに、また出てくるんかい、とつっこみをいれたくなった。それも思わせぶりに「蓮池」である。蓮池に浮き上がったら、びっくりされたのだろうか。それともまわりにだれもいなくて、拍子抜けしたのだろうか。「消」をうまく茶化している。

広瀬 ちえみ 選(ひろせちえみ・宮城県・杜人 所属)
佳作44 水掻きの消えた辺りで生まれたの 京都府 和田洋子
佳作43 めざめると模様がぜんぶ消えていた 愛知県 瀧村小奈生
佳作42 一日が力いっぱい消えてゆく 大阪府 街中 悠
佳作41 消しゴムを半分持っていく未来 青森県 真美
佳作40 消しゴムはずっと未来を見たかった 青森県 ひとは
佳作39 発泡酒ガンガンあびているめ組 青森県 濱山哲也
佳作38 品格を消されてわんこそばになる 愛知県 中川喜代子
佳作37 消さなくちゃ おこそとのほも えけせてねへめ 愛媛県 中西 亜
佳作36 でもなのにけれどもしかし消えました 京都府 森田律子
佳作35 ここからはコトバの消えていく時間 静岡県 米山明日歌
佳作34 電源を消してスーパーマンを呼ぶ 北海道 酒井麗水
佳作33 雁首を揃え消毒してもらう 岡山県 福力明良
佳作32 もみ洗いして満月の染みを消す 大阪府 本多洋子
佳作31 まぁ視てな灰色になりつつ ドロン 宮城県 勝又明城
佳作30 ドロンと消えて蓮池で浮き上がる 高知県 萩原良子
佳作29 足裏の汚れを消して着地する 大阪府 笠嶋恵美子
佳作28 消えるのは手を洗ってからにしよう 大阪府 谷口 義
佳作27 極上のぜんざい食べて消えてゆく 愛知県 竹内美千代
佳作26 つぶ餡のままで消えようかと思う 大阪府 谷口 義
佳作25 そんな見つめられたら消えてしまいます 東京都 伊藤こうか
佳作24 消えてゆくころ消えてゆくころだから 兵庫県 八上桐子
佳作23 絶滅危惧種に指定されましたよアナタ 山形県 相田みちる
佳作22 行方不明の僕を何方か知らないか 青森県 三浦蒼鬼
佳作21 ボタンはじけて発展的解消 京都府 森田律子
佳作20 ひとつ灯ってひとつ半消える ちぇっ 愛媛県 能田勝利
佳作19 虹を消す仕事ですからすみやかに 宮城県 浮 千草
佳作18 稲妻の折れたあたりよどう見ても 新潟県 梅沢きく恵
佳作17 あだ名はね記憶喪失って言うの 青森県 南山藤花
佳作16 息苦しいほどに青い空 消した 兵庫県 妹尾 凛
佳作15 ふあふあと消えゆく桃に触れた指 島根県 石橋芳山
佳作14 お遊びはここまでブレーカー落ちる 静岡県 句ノ一
佳作13 ワタクシヲ消シテアナタヲ組ミ立テル 青森県 岩崎眞里子
佳作12 小鳥屋の引用文は消すんだよ 愛媛県 吉松澄子
佳作11 消化器に問題はない冬薔薇 滋賀県 重森恒雄
佳作10 消したので余計目立ってしまいます 徳島県 徳長 怜
佳作9 携帯にくしゃみをひとつして消える 北海道 悠 とし子
佳作8 消えかけているのにポンと出てくるの 島根県 石橋芳山
佳作7 とんでもない所が消えているバナナ 愛知県 明名 蝶
佳作6 足の爪切って消えるつもりでした 新潟県 谷沢けい子
佳作5 「目的地周辺です」と消えた蝶 高知県 小野善江
佳作4 黒板にひとつの秋が現れる 青森県 南山藤花
佳作3 ヨーコさんはうちに帰ってしまわれた 岩手県 徳田ひろ子
佳作2 どんぶりのもようのトリの消えたころ 静岡県 米山明日歌
佳作1 フェードアウトしてゆく僕の安来節 青森県 濱山哲也
       
秀逸5 消印はたしか鎖骨のあたりです 神奈川県 岡田弘子
秀逸4 死ぬときはびわこになると思います 大阪府 本多洋子
秀逸3 百年の廊下を拭いて拭いて泣く 岩手県 徳田ひろ子
秀逸2 晴れ間から黒板消しが落ちてきた 宮城県 須川柊子
秀逸1 消息のはっきりしないファになった 兵庫県 河内谷恵
       
特選 鮭一切れ頭はきっと泳いでる 新潟県 星井五郎

選評

 題「消」の集句を読んで、川柳は「私」の気持ちや人生の出来事を詠むものだったのかとあらためて思い知らされたような気がする。

 ですます調、はなし口調の多さは(私も安易に作ってしまうが)今回ほど顕著だったときはなかったかもしれない。これは回を重ねたことによるものなのか、いま川柳の位置がここにあるのか、私にはわからない。

 それはともかく、「私の気持ち」や「人生」をないがしろにするものではないが、私はどこか変な句を選んだ。佳作の

とんでもない所が消えているバナナ

どんぶりのもようのトリの消えたころ

 ここには「私」の気持ちや、高尚ぶった人生観はない。バナナのとんでもない所とはどこなのか? とんでもない所とバナナは切れているのか、切れていないのか。苦笑するしかないばかばかしさを見せられた。
 どんぶりのトリ(鳥)の模様が消えたことしか詠まれていない。どんぶりの味わいはここから始まるのかもしれない。勝手な鑑賞を受け止めてくれる作品だ。

 秀逸の5句も読み手の想像を広げてくれる。
 「消印」と「鎖骨」、「死」と「びわこ」、「晴れ間」と「黒板消し」、「消息」と「ファ」の組み合わせは、どれもどこかくにゅっと曲がっている変な作品だ。それが作品の空間をいいあんばいにしているのではないだろうか。また、「泣く」という感情的なことばは「百年の廊下」という大きな存在にかろうじて救われている。ひとつずつには意味のあることばが組み合わさることによってできるふしぎな、あるいは抽象的な情景に浸らせてくれる5句だった。

 特選は「消」のことばを使わなかった。だから選んだわけではない。鮭の肉体から切り離された頭に焦点を絞った作品だ。しかも泳いでいるという発想。ちょっぴり善良で、哀しい「私」をわかってほしいという作品が多い中で、この一句はそういう中途半端な「気持ち」を捨てている。頭だけ泳いでいるシュールな絵を見せていただいた。

竹内ゆみこ 選(たけうちゆみこ・京都府・第18回杉野十佐一賞受賞)
佳作44 はっか飴ぼんのうひとつ消えました 山形県 舟山智恵
佳作43 痒いのは消えてしまった傷の痕 兵庫県 田村ひろ子
佳作42 足裏の汚れを消して着地する 大阪府 笠嶋恵美子
佳作41 ポン菓子のポンのところで消えました 大阪府 赤松ますみ
佳作40 お遊びはここまでブレーカー落ちる 静岡県 句ノ一
佳作39 点滅の辺りに私置き去りに 京都府 北原照子
佳作38 携帯にくしゃみをひとつして消える 北海道 悠 とし子
佳作37 めざめると模様がぜんぶ消えていた 愛知県 瀧村小奈生
佳作36 とんでもない所が消えているバナナ 愛知県 明名 蝶
佳作35 消した火へ灯を点けに行くひだりの手 奈良県 中村せつこ
佳作34 前頭葉から滑走路が消えた 宮崎県 棧 舜吉
佳作33 ハレルヤハレルヤ消炎剤の空がある 北海道 澤野優美子
佳作32 消化器に問題はない冬薔薇 滋賀県 重森恒雄
佳作31 ここからはコトバの消えていく時間 静岡県 米山明日歌
佳作30 消えるまでしばしの猶予 牙みがく 高知県 萩原良子
佳作29 その次のページも墨を塗るのです 北海道 木暮健一
佳作28 「目的地周辺です」と消えた蝶 高知県 小野善江
佳作27 風船を追ってかあさん出て行った 青森県 三上玉夫
佳作26 子が消えたリナルナレナナルリウララ 愛媛県 高橋こう子
佳作25 今日自分を消してワタシを残した 滋賀県 谷 恵子
佳作24 消えたんじゃないのよ庭に埋めたのよ 福岡県 城後朱美
佳作23 いないいないばあって2号機4号機 青森県 滋野さち
佳作22 晴れ間から黒板消しが落ちてきた 宮城県 須川柊子
佳作21 姉ちゃんの彼氏を消した参観日 香川県 藤本ゆたか
佳作20 でもなのにけれどもしかし消えました 京都府 森田律子
佳作19 夕焼けを背負ったまんま消えた父 京都府 谷口 文
佳作18 コスモスがかっている消えかかっている 愛媛県 中西 亜
佳作17 予定ではきれいに消えるはずだった 宮城県 浮 千草
佳作16 虚虚虚のキョされど全てが愛おしい 鳥取県 藤原鬼桜
佳作15 人消えるそれはそういうこととして 京都府 こうだひでお
佳作14 ひとつ灯ってひとつ半消える ちぇっ 愛媛県 能田勝利
佳作13 この人と瞬間移動する話 青森県 岩崎雪洲
佳作12 死刑囚として    山頭火を写経 青森県 月波与生
佳作11 いいえ 消すのは母さんの方です 愛知県 廣田千恵子
佳作10 お試し期間にカラスの黒を消しておく 愛媛県 村山浩吉
佳作9 あだ名はね記憶喪失って言うの 青森県 南山藤花
佳作8 雨女とサハラへ消えた雨男 愛媛県 能田勝利
佳作7 ゼラチン質残して君が消えた家 東京都 長峯福太郎
佳作6 死ぬときはびわこになると思います 大阪府 本多洋子
佳作5 稲妻の折れたあたりよどう見ても 新潟県 梅沢きく恵
佳作4 シロナガスクジラを消して鳴る汽笛 青森県 奈良一艘
佳作3 原告消費期限 被告賞味期限 東京都 飯島章友
佳作2 発泡酒ガンガンあびているめ組 青森県 濱山哲也
佳作1 消防服に象形文字が降りかかる 愛知県 安藤なみ
       
秀逸5 消息のはっきりしないファになった 兵庫県 河内谷恵
秀逸4 シッカロールふって「憂いはハイ消えた」 愛媛県 吉松澄子
秀逸3 ゴシックを消去 氷柱が透きとおる 石川県 岡本 聡
秀逸2 ひらがなのつみならけせるはずですが 愛媛県 原田否可立
秀逸1 金魚鉢の水取り替えに籍抜きに 青森県 きさらぎ彼句吾
       
特選 消音で鳴らしつづけるベルマーク 高知県 小野善江

選評

特選句:ベルマーク教育助成財団のホームページによると、ベルマーク運動には「すべての子どもに等しく、豊かな環境のなかで教育を受けさせたい」という願いがあるそうだ。そんな立派な使命を持っているベルマーク。しかし、ベルマークがあるのは、お菓子などのパッケージの片隅。存在に気づいてほしいけれど、主役ではない自分がパッケージの中央に陣取ることはできない、だが、使命は果たさなければならない…。そんなジレンマを抱えたベルマークの取った行動が「消音で鳴らしつづける」ことだったのではないだろうか。ベルマークの行動は切なくもあり、おもしろくもある。「まじめだからこそ生まれる笑いがある」。そんな言葉をこの句は思い出させてくれる。

秀句1:籍を抜く(たぶん離婚)ことは一大事だと思っていただけに、金魚鉢の水の取り替えと同列にあることに驚いた。しかし、世の中の離婚に対する意識の変化を考えると、この感覚もあり得るかもしれないと、妙に納得した。

秀句2:すべてひらがなで書かれている。やわらかな可愛い罪を装ってはいるが、実は世間を揺るがすほどの重大な罪かもしれない。見かけにつられ、「はい、けせます」と言いそうになった自分を戒めた。

秀句3:余分なものを消去していくと、最後に残るのは本質。きっとそれは、純粋で一本筋の通ったもの。透きとおる氷柱にその姿を感じた。

秀句4:「ちちんぷいぷい。痛いの痛いの飛んでいけ」という言葉を思い出した。本当に消えるわけではないけれど、なんとなくそんな気分になる。暗示にかかるのも悪くないと思った。

秀句5:音階の真ん中に位置するファは、どっちつかず。あっちへふらふら、こっちへふらふら。「あの人今どうしてるの?」「そういえばファになったらしいよ。」自分の周囲にもいそうな気がしてきた。

 特選句や秀句のほかにも、想像の広がる句が多数ありました。すばらしい作品群に出会えたことを幸せに思います。ありがとうございました。

む さ し 選(むさし・青森県・おかじょうき川柳社代表)
佳作44 栓をしておきます笑顔消えぬよう 京都府 山本知佳子
佳作43 今までの嘘を飛行機雲が消す 高知県 大野早苗
佳作42 フェイドアウトはイエローサブマリンで 熊本県 いわさき楊子
佳作41 消しゴムの滓は一揆を企てる 京都府 岩根彰子
佳作40 願望のそのいちシャボン玉のよに。 青森県 小田原千秋
佳作39 消えなくちゃ消えなくちゃって昼の月 青森県 まきこ
佳作38 桃ひとつ残しアドレス消去する 北海道 浪越靖政
佳作37 アリクイの舌が私を消しに来る 青森県 熊谷冬鼓
佳作36 折り返し点に消えない水溜り 青森県 中村誠子
佳作35 消えるまで擦った跡があるメール 滋賀県 北村幸子
佳作34 風船を追ってかあさん出て行った 青森県 三上玉夫
佳作33 消えてゆく森を見つめているカラス 京都府 谷口 文
佳作32 脱皮するたびにワタシをひとつ消す 青森県 まきこ
佳作31 廊下橋渡ってみんな居なくなる 京都府 内田真理子
佳作30 石けんの泡の時間を終えました 東京都 伊藤こうか
佳作29 足首の辺りが消える夕まずめ 岡山県 木下草風
佳作28 けんけんぱ僕の軌跡が透けていく 青森県
佳作27 品格を消されてわんこそばになる 愛知県 中川喜代子
佳作26 ふあふあと消えゆく桃に触れた指 島根県 石橋芳山
佳作25 死ぬときはびわこになると思います 大阪府 本多洋子
佳作24 消印はたしか鎖骨のあたりです 神奈川県 岡田弘子
佳作23 お遊びはここまでブレーカー落ちる 静岡県 句ノ一
佳作22 前頭葉から滑走路が消えた 宮崎県 棧 舜吉
佳作21 予定ではきれいに消えるはずだった 宮城県 浮 千草
佳作20 とんでもない所が消えているバナナ 愛知県 明名 蝶
佳作19 根気よく撫でているので御座います 青森県 まみどり
佳作18 いいえ 消すのは母さんの方です 愛知県 廣田千恵子
佳作17 消えるのは手を洗ってからにしよう 大阪府 谷口 義
佳作16 消しきれぬ傷から涌いてくるメダカ 大阪府 平井美智子
佳作15 行方不明の僕を何方か知らないか 青森県 三浦蒼鬼
佳作14 消すか消されるか試してみることだ 兵庫県 前田芙巳代
佳作13 ドロンと消えて蓮池で浮き上がる 高知県 萩原良子
佳作12 うしろの正面は誰ですか 消去 秋田県 田久保亜蘭
佳作11 鮭一切れ頭はきっと泳いでる 新潟県 星井五郎
佳作10 シャボン玉消えたぞうさんも消えた 愛媛県 井上せい子
佳作9 いもうとの影も消したね彼岸花 長野県 丸山健三
佳作8 消したのに遠くでポンと音が出る 愛知県 松長一歩
佳作7 消息のはっきりしないファになった 兵庫県 河内谷恵
佳作6 晴れ間から黒板消しが落ちてきた 宮城県 須川柊子
佳作5 死刑囚として    山頭火を写経 青森県 月波与生
佳作4 目が合ったからまだ消えていませんね 大阪府 久保田紺
佳作3 「さよなら」と手を振るきみを消しながら 三重県 山口亜都子
佳作2 つぶ餡のままで消えようかと思う 大阪府 谷口 義
佳作1 ワタクシヲ消シテアナタヲ組ミ立テル 青森県 岩崎眞里子
       
秀逸5 ヨーコさんはうちに帰ってしまわれた 岩手県 徳田ひろ子
秀逸4 無理やりに消したところがよく響く 愛知県 今村美根子
秀逸3 虹を消す仕事ですからすみやかに 宮城県 浮 千草
秀逸2 稲妻の折れたあたりよどう見ても 新潟県 梅沢きく恵
秀逸1 小鳥屋の引用文は消すんだよ 愛媛県 吉松澄子
       
特選 コスモスがかっている消えかかっている 愛媛県 中西 亜

選評

 第19回杉野十佐一賞にたくさんのご応募をいただきありがとうございます。

 直接関係あるわけではないが「川柳Z賞」のことを思い出している。
 Z賞は30句を1つのまとまりとして応募し30句一まとまりとして評価される賞だった。一方、十佐一賞は2句を応募し1句ずつ評価される。
 簡単に言えば十佐一賞は1句の評価、Z賞は小さな句集の評価。
 比較すべきでないが、Z賞に少し関わっていた者としてどうしても思い出してしまう。
 「川柳Z賞」をやったのは当柳社第2代代表だった杉野草兵さん。
 「杉野十佐一賞」の杉野十佐一さんは当柳社初代代表であり草兵さんの父である。

 題には作りやすい題と作りにくい題があるように思うが、「消」は作りやすかったようだ。作りやすい題と作りにくい題、出来上がる作品にどう影響 するのだろう。ふとそんなことを思う。

特選
コスモスがかっている消えかかっている

 10音+8音であるが、奇異には感じない。一読したとき、後半の「消えかかっている」は解ったが、前半の「コスモスがかっている」を感じ取れな かった。「がかる」の使い方として見慣れているのは「青みがかる」とか「芝居がかる」など。まさか「コスモス」+「がかる」が出てくるとは思わな かった。「がかる」は「…の色をおびる」「…のような風になる」(広辞苑)という意味だから、「コスモスがかる」ということは「コスモスのような ふうになる」ということ。ところで、この「コスモス」って何だ?と広辞苑を引いたら「“しい秩序。転じて、それ自身のうちに秩序と調和とをもつ 宇宙または世界の意。▲ク科の一年草……。」と出て来た。秋に咲く赤や白の「秋桜」と書く植物だとばかり思ってこの句を特選に選んでしまった が、もしかしたら,もしれない。句としては,諒が分かりやすいようだが、分かりづらい△諒がぐんとおもしろい。いずれにしても並みの内容で も並みの表現でもない。