第20回杉野十佐一賞
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【大賞(11点)】
(特)ちえみ(秀)政二(佳)れいこ・由紀子・洋子
毎週金曜 息の発売日
佐久間裕子(滋賀県)

 この度は身に余る賞を頂き、本当にありがとうございました。 こんなに驚いたことはありません。

 川柳を勉強したくて、杉野十佐一賞に挑戦しました。これまで の入選句を読ませて頂き、語彙の豊富さや発想の豊かさに感 嘆しました。 私はと言うと、全然佳い句が作れなくて、スッキリしない毎日で した。

  この句を作って以来、金曜日が来るとつい唱えてしまうように なりました。今後、川柳が私に活力と希望を与える“息”になれ ばいいなと思います。 ありがとうございました。

【準賞(9点)】
(特)洋子(秀)れいこ(佳)むさし
息止めて止めて止めて止めて 欅      瀧村小奈生(愛知県)

【8点】
(秀)れいこ・ちえみ(佳)由紀子・洋子
六条御息所的今夜 青森県 笹田かなえ
(秀)ちえみ・むさし(佳)政二・洋子
息だけになったら森へ帰してね 滋賀県 北村幸子
 
【7点】
(秀)れいこ・洋子(佳)由紀子
ばかだな という時の息はシナモン 青森県 吉田州花
(秀)れいこ・由紀子(佳)ちえみ
テラってギガってナノらない息なんだ 愛媛県 中西亜
 
【6点】
(特)むさし(佳)洋子
ラマーズ法 さあ海原を吐きなさい 奈良県 清水すみれ
(秀)洋子・むさし
らしい息でしょふわふわに見えるでしょ 青森県 守田啓子
(秀)由紀子・むさし
多数決で決める 息を止めるひと 愛媛県 村山浩吉
(秀)ちえみ(佳)政二・れいこ・由紀子
すうはあすうはあなめらかにくさる 兵庫県 宮沢青
(秀)政二(佳)由紀子・ちえみ・むさし
お立ち寄りください息を吹き掛けに 島根県 石橋芳山
(秀)むさし(佳)れいこ・ちえみ・洋子
息を吹き込んで私の物にする 香川県 佐々木ええ一
(秀)由紀子(佳)政二・れいこ・むさし
エラ呼吸なんていまさら恥ずかしい 宮城県 須川柊子
 
【5点】
(特)政二
あの頃の息がしたくてちゃんと泣く 愛媛県 吉松澄子
(特)れいこ
プチプチの息の根止めてゆく聖夜 滋賀県 北村幸子
(特)由紀子
ローソク百本一息で消され 北海道 浪越 靖政
(秀)洋子(佳)政二・由紀子
一列の息一列のまんじゅしゃげ 京都府 内田真理子
(秀)洋子(佳)ちえみ・むさし
そうなんよ空と呼吸を合わすだけ 大阪府 川田由紀子
(秀)政二(佳)ちえみ・洋子
息継ぎをして芒野に立っている 大阪府 赤松ますみ
(秀)むさし(佳)政二・由紀子
3の次5がきて息を吹きかえす 高知県 小野善江
(佳)政二・れいこ・ちえみ・洋子・むさし
里芋のぬめりと息が合うのです 愛媛県 吉松澄子
(佳)政二・れいこ・由紀子・洋子・むさし
もみじとは息を交換していない 愛知県 安藤なみ
 
【4点】
(秀)由紀子(佳)れいこ
えら呼吸にするかどうかで妻と揉め 宮城県 渡辺忠一
(秀)政二(佳)由紀子
「し」に息がいりますあたらしい息が 兵庫県 八上桐子
(秀)由紀子(佳)むさし
こぶみっつオダンゴいつつ息ななつ 愛媛県 中西亜
(秀)ちえみ(佳)れいこ
ブレス記号に辿り着いたら抱き締めて 神奈川県 加藤ゆみ子
(秀)ちえみ(佳)むさし
ある時は尻尾で息をして帰る 愛知県 明名蝶
(秀)洋子(佳)由紀子
ウマズラハギの悩みもきっと鼻づまり 青森県 熊谷冬鼓
(佳)れいこ・ちえみ・洋子・むさし
吹き出しの中のわたしは生臭い 愛知県 青砥和子
(佳)政二・れいこ・由紀子・むさし
ぱっへるべるかのんと息を吐きなさい 東京都 柳本々々
(佳)政二・れいこ・ちえみ・洋子
大空へ帰った使用ずみの息 大阪府 小川佳恵
 
【3点】
(秀)政二
吸って吐くそれだけなのに気が合わぬ 青森県 まみどり
(秀)れいこ
くわがたの息子は父に似て堅い 青森県 三上玉夫
(佳)政二・れいこ・由紀子
鼻息の荒いフリルになりました 秋田県 一帆
(佳)れいこ・由紀子・ちえみ
吐く息にまじるアリューシャン列島 愛知県 瀧村小奈生
(佳)政二・由紀子・ちえみ
まあるい息から美しい人が出る 三重県 小河柳女
(佳)政二・ちえみ・洋子
はなびらが舞うから息ができないの 東京都 伊藤こうか
(佳)れいこ・洋子・むさし
周波数違った息が攻めてくる 大阪府 平井美智子
(佳)れいこ・由紀子・むさし
思春期の頃から息をしていない 鳥取県 藤原鬼桜
(佳)政二・ちえみ・むさし
ため息をつくから山椒魚になる 岩手県 徳田ひろ子
(佳)政二・れいこ・むさし
声帯をふるわせ鳥になる時間 福島県 中野敦子
(佳)れいこ・由紀子・洋子
ヌーの群れ走る足りない息のまま 奈良県 ひとり静
(佳)政二・れいこ・由紀子
三角も 四角も丸も 息の中   大阪府 山里はるえ
(佳)れいこ・洋子・むさし
吐ききると 秋が尖ってくるのです 兵庫県 前田芙巳代
(佳)政二・ちえみ・むさし
だめですか影がため息つくなんて 愛媛県 郷田みや
(佳)政二・れいこ・由紀子
わたくしのなかのいびつな庭の息 兵庫県 江口 ちかる
(佳)政二・ちえみ・むさし
補聴器と眼鏡はずしてからの息 兵庫県 八上桐子
 
【2点】
(佳)政二・むさし
申し訳ありません息はしているのです 北海道 田村あすか
(佳)れいこ・由紀子
息を吸う前はGPSでした 青森県 須藤しんのすけ
(佳)政二・むさし
さみしくて時々ゆびで息をする 徳島県 徳長 怜
(佳)れいこ・むさし
ともだちが少ないなりの呼吸法 大阪府 小原由佳
(佳)ちえみ・むさし
くしゃみして解剖台を追われたの 愛知県 安藤なみ
(佳)洋子・むさし
息吐いて海辺のカフカまで戻る 京都府 内田真理子
(佳)洋子・むさし
樹木葬やがて烈しい息をする 愛媛県 村山浩吉
(佳)れいこ・ちえみ
日曜の午後のためいき回収車 京都府 行田秀生
(佳)政二・由紀子
最後までふとんのなかは息でいっぱい 東京都 柳本々々
(佳)政二・むさし
コンビニの息にお焦げがついてます 京都府 岩田多佳子
(佳)れいこ・由紀子
四階でエレベーターを降りる息 愛知県 猫田千恵子
(佳)れいこ・ちえみ
ひと息ついて、いいなあと思う空 兵庫県 妹尾 凛
(佳)れいこ・洋子
ブレス記号任せじゃ光れないじゃない 青森県 きさらぎ彼句吾
(佳)洋子・むさし
素通りをするには息が深すぎる 大阪府 谷口義
(佳)れいこ・洋子
ため息は薔薇星雲を泳ぎきる 京都府 西田雅子
(佳)政二・由紀子
てふてふがこわいといったぼくの息 京都府 行田秀生
(佳)由紀子・むさし
海が見えます息止めて下されば 滋賀県 重森恒雄
(佳)由紀子・ちえみ
花畑渡る静かに息を吸う 滋賀県 竹内歌子
(佳)政二・洋子
水中花そっと息継ぎしたような 高知県 森乃鈴
(佳)れいこ・むさし
石塀小路の夏と密かな息曲がる 京都市 岩根彰子
(佳)れいこ・洋子
ため息でまわす風力発電所 青森県 月波与生
(佳)政二・ちえみ
沈黙の息に七味をふりかける 愛知県 川崎敏明
(佳)れいこ・洋子
窒息死ですねゴローンとラムネ瓶 岡山県 木下草風
(佳)洋子・むさし
難民の有刺鉄線くぐる息  青森県 濱山哲也
(佳)ちえみ・洋子
扉を閉めてから息をし始める 熊本県 いわさき楊子
(佳)由紀子・ちえみ
交響曲第九番の呼吸音 青森県 鳴海賢治
(佳)洋子・むさし
八月の祈り過換気症候群 大阪府 上嶋幸雀
(佳)ちえみ・むさし
嫌な奴と一緒の時はエラ呼吸 青森県 斎藤早苗
(佳)れいこ・由紀子
どうしても吐息が青江三奈になる 石川県 松谷早苗
(佳)政二・由紀子
ひ、ひ、ふーぬるりと赤い月が出る 愛知県 廣田千恵子(猫田千恵子)
(佳)ちえみ・洋子
三つ目の眼が穏やかに呼吸する 北海道 悠 とし子
(佳)れいこ・ちえみ
ファクスの受信用紙の息づかい 愛知県 今村美根子
(佳)れいこ・むさし
ため息を処理する役をお受けする 福井県 天谷由紀子
(佳)洋子・むさし
息吸ってもうじき夜叉になるところ 東京都 古家ちゑ子
(佳)れいこ・むさし
帰り道空へ吐く息海へ吐く息 奈良県 中村節子
(佳)ちえみ・洋子
この村のこの土として息をする 北海道 小林碧水
(佳)れいこ・洋子
鰯雲降ってくるまで深呼吸 青森県 滋野さち
(佳)政二・ちえみ
溜息を詩集に挟み栞とす 大阪府 雨森 茂喜
(佳)れいこ・むさし
ゼロカロリーの深呼吸です召し上がれ 青森県 三浦蒼鬼
(佳)れいこ・むさし
ため息がいっぱい落ちている広場 北海道 悠 とし子
 
【1点】
(佳)むさし
っぶくっぶくぶく 生きてたなんて…女偏 青森県 きさらぎ彼句吾
(佳)洋子
TSUTAYAまで酸素ボンベを借りに行く 青森県 濱山哲也
(佳)ちえみ
息が苦しいジョンレノンジョンレノン 北海道 松木 秀
(佳)ちえみ
苔の青さと息をする そっとそっと 滋賀県 金子純子
(佳)むさし
息吐いてまたおり返すけもの道 愛知県 深谷江利子
(佳)由紀子
ハリネズミが息む所有権移転 京都府 森田律子
(佳)政二
少年は時々息をし忘れる 秋田県 一帆
(佳)洋子
吐息でも激しい河になるのです 愛知県 稲垣康江
(佳)ちえみ
夜を来る猫の息づかいを真似て 岩手県 徳田ひろ子
(佳)洋子
鬼芒 火群のような息を吐く 青森県 赤平くみこ
(佳)政二
木洩れ日でしか吐けない息を貰う 青森県 ひらく
(佳)れいこ
黙黙と息するツアーに参加する 石川県 岡本聡
(佳)ちえみ
体育の日の水はしずかに起立する 北海道 澤野 優美子
(佳)洋子
薄すぎるビードロを未だ吹いている 青森県 則田椿
(佳)政二
僕のヒコーキは翼で息をする 滋賀県 金子純子
(佳)洋子
ほっと息つく仕種にて断罪す 高知県 鍵山佳代
(佳)由紀子
八月のバラは過呼吸症候郡 福島県 中野敦子
(佳)れいこ
ドアノブは人の呼吸を知っている 神奈川県 杉山太郎
(佳)むさし
むき出しのメール  しゃっくり止まらない 青森県 須藤しんのすけ
(佳)由紀子
雲にのるつもりで息をととのえて 青森県 月波与生
(佳)ちえみ
三日月湖ここではピュアに茶を立てる 宮城県 勝又明城
(佳)洋子
これからの予感すべらせ雪の息 石川県 岡本聡
(佳)ちえみ
仙人になってるやすらかな寝息 大阪府 荻野浩子
(佳)由紀子
片明かり聞き漏らさぬように 息 京都府 浜純子
(佳)ちえみ
大丈夫だいじょうぶって深呼吸 青森県 渡邊こあき
(佳)政二
生き方を問われ青空吸っている 京都府 山本知佳子
(佳)政二
どないやと飲み干すきょうを一息に 滋賀県 大橋啓子
(佳)むさし
息巻いて一等賞になったけど 青森県 まきこ
(佳)洋子
樹海から届く 渇いた息づかい 石川県 藤村容子
(佳)政二
人形は肩で息して泣くのです 大阪府 笠嶋恵美子
(佳)由紀子
商人(アキンド)は三方よしの永久(トワ)の息 滋賀県 嶌清五郎
(佳)政二
金木犀 やはり大きな息になる 京都府 山本昌乃
(佳)ちえみ
性格をアルカリ性に充電中 青森県 白戸まつ子
(佳)由紀子
正式な息は一吸い二吐きです 愛知県 丸山 進
(佳)政二
呼吸するたったひとつの自由です 三重県 小河柳女
(佳)由紀子
Brand new dayな息からパピプペポ 岡山県 藤井智史
(佳)むさし
湯につかるフフフと息を吹き返す 青森県 斎藤早苗
(佳)由紀子
らーめんの吐息でしたか藻でしたか 青森県 奈良一艘
(佳)由紀子
息継ぎが上手に出来て赤い金魚に 新潟県 塩田悦子
(佳)ちえみ
お風呂からサフランの息もれてくる 京都府 辻 嬉久子
(佳)由紀子
メタンガスポコンと一つ溜め池の息 愛知県 中川喜代子
(佳)洋子
深呼吸思考回路に風通す 宮崎県 棧舜吉
(佳)ちえみ
溜息の後はオモチャのチャッチャッチャ 兵庫県 田村ひろ子
(佳)由紀子
おぼろからエナメル質へ皮膚呼吸 京都府 森田律子
(佳)政二
ほめてごらん息がきちんとととのうよ 長野県 樹萄らき
(佳)ちえみ
掘りおこせば吐息ばかりの関が原 北海道 田村あすか
(佳)れいこ
縁側も桃色吐息も黄昏れる 新潟県 星井五郎
(佳)洋子
爪先に秋のため息海のため息 奈良県 ひとり静
(佳)ちえみ
ほんとうは溜め息なのね阿も吽も 神奈川県 加藤ゆみ子
(佳)政二
息は止む山折り線のてっぺんで 兵庫県 宮沢青
(佳)政二
伊勢佐木町のファの息がなつかしい 北海道 澤野 優美子
(佳)ちえみ
続けて下さい肋骨なんて気にせずに 埼玉県 野邊富優葉
(佳)ちえみ
ニンニクを食べて煙たい人に会う 青森県 岩淵黙人
(佳)政二
自画像の形にため息が溜る 岡山県 藏内明子
(佳)洋子
息を殺してほつほつと霧を吐く 滋賀県 重森恒雄
(佳)れいこ
ユーミンと息をあわせたみじん切り 愛知県 稲垣康江
(佳)政二
息継ぎをしながら戸籍出来上がる 大阪府 小原由佳
(佳)むさし
ちらばった吐息あつめてわたしに戻る 大阪府 小川佳恵
(佳)由紀子
息継ぎの下手なもぐらは叩かれる 愛知県 伊賀武久
(佳)むさし
狂わぬように息を殺して渦になる 石川県 藤村容子
(佳)洋子
ふっと漏らす秋はもうすぐ逝きますね 大阪府 雨森 茂喜
(佳)ちえみ
息吹ってぇー吐いてぇーはいっ オシマイ 青森県 碾鸛石
(佳)由紀子
息抜きに平均台をとぶ蛙 高知県 大野美恵
(佳)ちえみ
その鼻息はヒト食ってきましたね 大阪府 田口和代
(佳)れいこ
代代の金庫に息も詰めてある 北海道 伊藤寿子
(佳)政二
息継ぎがヘタでだあれもいなくなる 鳥取県 藤原鬼桜
(佳)由紀子
深海の右肺らしき玉手箱 青森県 岩崎眞里子
(佳)ちえみ
疑いは晴れたパセリのみじん切り 青森県 熊谷冬鼓
(佳)洋子
おっぱいにかかる寝息がやわらかい 青森県 赤平くみこ
(佳)政二
フゥッと吐く聞こえないよう目を閉じる 青森県 田中かかし
(佳)れいこ
売った息買った息から発芽する 長野県 丸山健三
(佳)由紀子
15才 息は36度9分 高知県 川添 郁子
(佳)むさし
息継ぎが下手でアナタに潜れない 青森県 ひとは
(佳)洋子
繭ほどく螺旋の息に沿うように 愛知県 青砥和子
(佳)むさし
息継ぎが下手で時々けつまずく 長野県 興津幸代
(佳)政二
病む人の横で私が深呼吸 東京都 泉 明日香
(佳)ちえみ
モアイ像に桃色吐息吹きかける 岡山県 小林茂子
(佳)由紀子
六合目あたりはここと息を吐く 高知県 鍵山佳代
(佳)洋子
モナリザは息ぬきをする閉館後 愛知県 中川喜代子
(佳)政二
雪になる隣りに亡母の息づかい 東京都 泉 明日香
(佳)由紀子
のほほんと溶けてゆくバターの吐息 兵庫県 妹尾 凛
(佳)れいこ
メトロノームのように律儀な呼気吸気 青森県 鈴木みさを
(佳)洋子
レース状に静まる押し花の息 徳島県 徳長 怜

応募者ご芳名

【北海道】
伊藤寿子・木暮健一・小林碧水・酒井麗水・澤野優美子・志村ふみ子・田村あすか・浪越靖政・松木 秀・嶺岸柳舟・宗村政己・悠とし子
【青森】
赤平くみこ・阿部治幸・石澤はる子・稲見則彦・岩崎眞里子・岩淵黙人・奥崎倭子・小田原千秋・小野五郎・きさらぎ彼句吾・熊谷冬鼓・斎藤早苗・坂本勝子・坂本清乃・笹田かなえ・笹田隆志・佐藤武・里村みつこ・滋野さち・白戸まつ子・鈴木貴子・鈴木みさを・須藤しんのすけ・眇靖女・碾鸛石・盒兇擦せ辧ε鎮罎かし・かほる・千葉風樹・月波与生・辻井洋子・常田チャコ・中村誠子・中村みのり・奈良一艘・鳴海賢治・野里風情・則田椿・濱山哲也・林紫苑・ひとは・ひらく・福多あられ・前田厚兵・まきこ・松山芳生・真美・まみどり・三浦蒼鬼・三上玉夫・南山藤花・村上あつこ・守田啓子・山本弘志・吉田州花・吉田吹喜・渡邊こあき・渡邊寂隆・綿谷夕雨子・葉閑女
【岩手】
加差野静浪・田中苑子・徳田ひろ子
【秋田】
一帆・田久保亜蘭
【宮城】
勝又明城・虚心譚海・須川柊子・南部多喜子・渡辺忠一
【山形】
伊東マコ・舟山智恵
【福島】
熊田進・中野敦子・府中二三男
【茨城】
岡本恵
【埼玉】
他儀過多・野邊富優葉
【千葉】
潮田春雄・普川素床
【東京】
飯島章友・泉明日香・伊藤こうか・上原稔・北野響子・越田清四郎・中島かよ・藤田めぐみ・古家ちゑ子・柳本々々・山田こいし
【神奈川】
阿部脳天気・岡田弘子・加藤ゆみ子・杉山太郎・やまぐち珠美
【新潟】
新井笑葉・浦田宗雄・塩田悦子・谷沢けい子・星井五郎
【石川】
石倉多美子・岡本聡・奥野とみ子・藤村容子・松谷早苗・宮田喜美子
【福井】
天谷由紀子・奥村美枝子
【長野】
興津幸代・川合大祐・ 小池孝一・樹萄らき・丸山健三
【岐阜】
泣き虫太郎・早川由香
【静岡】
句ノ一・米山明日歌
【愛知】
青砥和子・明名蝶・安藤なみ・伊賀武久・稲垣康江・今村美根子・川崎敏明・高田桂子・瀧村小奈生・竹内美千代・中川喜代子・猫田千恵子・平子久仁子・深谷江利子・松長一歩・丸山 進・水谷克行・三好光明
【三重】
小河柳女・山口亜都子
【滋賀】
大谷のり子・大橋啓子・片山美津子・金子純子・北村幸子・佐久間裕子・重森恒雄・嶌清五郎・竹内歌子・中村はるゑ
【京都】
岩田多佳子・岩根彰子・内田真理子・北原照子・行田秀生・高島啓子・谷口文・辻嬉久子・中野六助・西田雅子・浜純子・森下誠・森田律子・山本早苗・山本知佳子・山本昌乃・和田洋子
【大阪】
赤松ますみ・雨森茂喜・上嶋幸雀・上野浩子・小川佳恵・荻野浩子・小原由佳・笠嶋恵美子・川田由紀子・喜田啓之・阪井一夫・田口和代・竹井紫乙・山里はるえ・谷口義・次井義泰・寺川弘一・平井美智子・八木侑子
【兵庫】
江口ちかる・河内谷恵・妹尾凛・田村ひろ子・前田芙巳代・宮沢青・八上桐子・柳口テルヨ
【奈良】
板垣孝志・清水すみれ・中村節子・ひとり静
【和歌山】
三宅保州
【鳥取】
斉尾くにこ・藤原鬼桜
【島根】
石橋芳山
【岡山】
木下草風・藏内明子・小林茂子・福力明良・藤井智史・山本美枝
【広島】
笹重耕三
【徳島】
徳長怜
【香川】
佐々木ええ一・藤本ゆたか
【愛媛】
青野悦子・郷田みや・高橋こう子・中西亜・西村寛子・能田勝利・松本宗和・村山浩吉・吉松澄子
【高知】
大野美恵・小野善江・鍵山佳代・川添郁子・立花末美・萩原良子・三谷千賀子・森乃鈴
【福岡】
大庭堅司・城後朱美・永多一博・森 智鈴
【熊本】
いわさき楊子
【宮崎】
桟舜吉
【鹿児島】
平瀬芙蓉
【沖縄】
渡嘉敷唯正・森山文切

計248名

徳永 政二 選(とくながせいじ・滋賀県・びわこ番傘川柳会所属)
佳作44 もみじとは息を交換していない 愛知県 安藤なみ
佳作43 ため息をつくから山椒魚になる 岩手県 徳田ひろ子
佳作42 補聴器と眼鏡はずしてからの息 兵庫県 八上桐子
佳作41 里芋のぬめりと息が合うのです 愛媛県 吉松澄子
佳作40 雪になる隣りに亡母の息づかい 東京都 泉 明日香
佳作39 病む人の横で私が深呼吸 東京都 泉 明日香
佳作38 溜息を詩集に挟み栞とす 大阪府 雨森 茂喜
佳作37 フゥッと吐く聞こえないよう目を閉じる 青森県 田中かかし
佳作36 息継ぎがヘタでだあれもいなくなる 鳥取県 藤原鬼桜
佳作35 エラ呼吸なんていまさら恥ずかしい 宮城県 須川柊子
佳作34 だめですか影がため息つくなんて 愛媛県 郷田みや
佳作33 わたくしのなかのいびつな庭の息 兵庫県 江口 ちかる
佳作32 息継ぎをしながら戸籍出来上がる 大阪府 小原由佳
佳作31 自画像の形にため息が溜る 岡山県 藏内明子
佳作30 三角も 四角も丸も 息の中   大阪府 山里はるえ
佳作29 伊勢佐木町のファの息がなつかしい 北海道 澤野優美子
佳作28 息は止む山折り線のてっぺんで 兵庫県 宮沢 青
佳作27 ほめてごらん息がきちんとととのうよ 長野県 樹萄らき
佳作26 最後までふとんのなかは息でいっぱい 東京都 柳本々々
佳作25 3の次5がきて息を吹きかえす 高知県 小野善江
佳作24 一列の息一列のまんじゅしゃげ 京都府 内田真理子
佳作23 ひ、ひ、ふーぬるりと赤い月が出る 愛知県 猫田千恵子
佳作22 声帯をふるわせ鳥になる時間 福島県 中野敦子
佳作21 ぱっへるべるかのんと息を吐きなさい 東京都 柳本々々
佳作20 呼吸するたったひとつの自由です 三重県 小河柳女
佳作19 金木犀 やはり大きな息になる 京都府 山本昌乃
佳作18 人形は肩で息して泣くのです 大阪府 笠嶋恵美子
佳作17 どないやと飲み干すきょうを一息に 滋賀県 大橋啓子
佳作16 生き方を問われ青空吸っている 京都府 山本知佳子
佳作15 沈黙の息に七味をふりかける 愛知県 川崎敏明
佳作14 大空へ帰った使用ずみの息 大阪府 小川佳恵
佳作13 すうはあすうはあなめらかにくさる 兵庫県 宮沢 青
佳作12 さみしくて時々ゆびで息をする 徳島県 徳長 怜
佳作11 てふてふがこわいといったぼくの息 京都府 行田秀生
佳作10 僕のヒコーキは翼で息をする 滋賀県 金子純子
佳作9 コンビニの息にお焦げがついてます 京都府 岩田多佳子
佳作8 息だけになったら森へ帰してね 滋賀県 北村幸子
佳作7 木洩れ日でしか吐けない息を貰う 青森県 ひらく
佳作6 少年は時々息をし忘れる 秋田県 一 帆
佳作5 水中花そっと息継ぎしたような 高知県 森乃 鈴
佳作4 まあるい息から美しい人が出る 三重県 小河柳女
佳作3 鼻息の荒いフリルになりました 秋田県 一 帆
佳作2 はなびらが舞うから息ができないの 東京都 伊藤こうか
佳作1 申し訳ありません息はしているのです 北海道 田村あすか
       
秀逸5 息継ぎをして芒野に立っている 大阪府 赤松ますみ
秀逸4 毎週金曜 息の発売日 滋賀県 佐久間裕子
秀逸3 「し」に息がいりますあたらしい息が 兵庫県 八上桐子
秀逸2 お立ち寄りください息を吹き掛けに 島根県 石橋芳山
秀逸1 吸って吐くそれだけなのに気が合わぬ 青森県 まみどり
       
特選 あの頃の息がしたくてちゃんと泣く 愛媛県 吉松澄子

選評

 十佐一賞の魅力は、集まった句に幅があること、また、新しい書き方に挑戦しようとする気持ちが伝わることである。
 そしてそれらを、それぞれの選者が思いのまま選ぶのだが、そこには、選者にとってはきびしい、公平な合計点による結果が待っている。

【秀逸】
息継ぎをして芒野に立っている

 「息継ぎ」は希望。「芒野」は作者の現在の心境であり、実感だろう。
 シンプルな句の姿に覚悟のようなものが 感じられ迫ってくる。

毎週金曜 息の発売日

 なぜか昔の「週刊新潮は明日発売です」 のテレビコマーシャルを思いだす。そして 「花金」「花の金曜日」と続く。
 しかしここでは、新鮮な「息の発売日」 が見事に光っている。

「し」に息がいりますあたらしい息が

 「詩」や「死」を思ったりしたが、ここは 「し」のかたちそのものに注目した。
 なんでも受け入れてくれそうなポケットであり、「あたらしい息」を入れると揺れるかたちである。

お立ち寄りください息を吹き掛けに

 「息を吹き掛けにきました」と訪ねれば、「お待ちしていました」とよろこんで迎えてくれそうである。
 このユーモアがいい。よく見つけられたと思う。

吸って吐くそれだけなのに気が合わぬ

 「そうですか」と思わず返したくなるが、おもしろい。
 今は川柳に関わる年配の女性から聞くことが多いが、こんなことにあちこちで出会うこの頃である。

【特選】
あの頃の息がしたくてちゃんと泣く

 「ちゃんと」がいい。「ちゃんと泣く」とはどんな泣き方なんだろう。
 父を亡くした時、まだ学生だったからか悲しいというより、ただ泣けて泣けて仕方がなかったことがある。なにもかも忘れて泣けば、その悲しさは小さくなっていた。
 生きている不思議さが書かれているように思う。

なかはら れいこ 選(なかはられいこ・岐阜県・ねじまき句会所属)
佳作44 窒息死ですねゴローンとラムネ瓶 岡山県 木下草風
佳作43 メトロノームのように律儀な呼気吸気 青森県 鈴木みさを
佳作42 ゼロカロリーの深呼吸です召し上がれ 青森県 三浦蒼鬼
佳作41 ヌーの群れ走る足りない息のまま 奈良県 ひとり静
佳作40 ため息がいっぱい落ちている広場 北海道 悠とし子
佳作39 もみじとは息を交換していない 愛知県 安藤なみ
佳作38 大空へ帰った使用ずみの息 大阪府 小川佳恵
佳作37 売った息買った息から発芽する 長野県 丸山健三
佳作36 代代の金庫に息も詰めてある 北海道 伊藤寿子
佳作35 吐ききると 秋が尖ってくるのです 兵庫県 前田芙巳代
佳作34 帰り道空へ吐く息海へ吐く息 奈良県 中村節子
佳作33 声帯をふるわせ鳥になる時間 福島県 中野敦子
佳作32 ユーミンと息をあわせたみじん切り 愛知県 稲垣康江
佳作31 わたくしのなかのいびつな庭の息 兵庫県 江口ちかる
佳作30 ブレス記号に辿り着いたら抱き締めて 神奈川県 加藤ゆみ子
佳作29 鰯雲降ってくるまで深呼吸 青森県 滋野さち
佳作28 縁側も桃色吐息も黄昏れる 新潟県 星井五郎
佳作27 ひと息ついて、いいなあと思う空 兵庫県 妹尾 凛
佳作26 ため息を処理する役をお受けする 福井県 天谷由紀子
佳作25 ため息は薔薇星雲を泳ぎきる 京都府 西田雅子
佳作24 思春期の頃から息をしていない 鳥取県 藤原鬼桜
佳作23 四階でエレベーターを降りる息 愛知県 猫田千恵子
佳作22 ため息でまわす風力発電所 青森県 月波与生
佳作21 どうしても吐息が青江三奈になる 石川県 松谷早苗
佳作20 石塀小路の夏と密かな息曲がる 京都市 岩根彰子
佳作19 日曜の午後のためいき回収車 京都府 行田秀生
佳作18 三角も 四角も丸も 息の中   大阪府 山里はるえ
佳作17 ファクスの受信用紙の息づかい 愛知県 今村美根子
佳作16 吹き出しの中のわたしは生臭い 愛知県 青砥和子
佳作15 息を吹き込んで私の物にする 香川県 佐々木ええ一
佳作14 エラ呼吸なんていまさら恥ずかしい 宮城県 須川柊子
佳作13 ブレス記号任せじゃ光れないじゃない 青森県 きさらぎ彼句吾
佳作12 ドアノブは人の呼吸を知っている 神奈川県 杉山太郎
佳作11 吐く息にまじるアリューシャン列島 愛知県 瀧村小奈生
佳作10 里芋のぬめりと息が合うのです 愛媛県 吉松澄子
佳作9 黙黙と息するツアーに参加する 石川県 岡本 聡
佳作8 息を吸う前はGPSでした 青森県 須藤しんのすけ
佳作7 ぱっへるべるかのんと息を吐きなさい 東京都 柳本々々
佳作6 周波数違った息が攻めてくる 大阪府 平井美智子
佳作5 すうはあすうはあなめらかにくさる 兵庫県 宮沢 青
佳作4 えら呼吸にするかどうかで妻と揉め 宮城県 渡辺忠一
佳作3 ともだちが少ないなりの呼吸法 大阪府 小原由佳
佳作2 毎週金曜 息の発売日 滋賀県 佐久間裕子
佳作1 鼻息の荒いフリルになりました 秋田県 一 帆
       
秀逸5 六条御息所的今夜 青森県 笹田かなえ
秀逸4 息止めて止めて止めて止めて 欅 愛知県 瀧村小奈生
秀逸3 ばかだな という時の息はシナモン 青森県 吉田州花
秀逸2 くわがたの息子は父に似て堅い 青森県 三上玉夫
秀逸1 テラってギガってナノらない息なんだ 愛媛県 中西 亜
       
特選 プチプチの息の根止めてゆく聖夜 滋賀県 北村幸子

選評

 作品を書くときも読むときも、あたまのなかには〈川柳ってなんだろう〉がある。従って、この「杉野十佐一賞」のように、作品の取捨選択を任されたとき、川柳ってなんだろうと思わせてくれる作品であるか、否かが、わたしにとっては選句の大きな要素になる。

 プチプチの息の根止めてゆく聖夜

テラってギガってナノらない息なんだ

 どちらを特選にするか、悩みに悩んだ末、「プチプチ」の臨場感を選んだ。プチプチを潰すときの指先の感触や、潰さずにはいられなくなる、よくわからない、あの不可思議な衝動は、あるいは業のようなものなのかもしれないと思う。この「聖夜」の効果はバツグンだ。 一方、「テラって」は、〈川柳ってなんだろう〉を強く意識させてくれた一句であった。テラもギガもナノも単位をあらわす言葉であるが、ここではただの音として使われている。テラテラ光る、ギガギガ尖った、そのうえ名乗らない息。おもしろいなあと思う。なんだか川柳というジャンルが、怪物くんの腕のように、必要とあらば、ぐぃーんと伸びるものであるような気がして、ちょっとうれしくなった。

樋口 由紀子 選(ひぐちゆきこ・兵庫県・川柳カード 代表)
佳作44 一列の息一列のまんじゅしゃげ 京都府 内田真理子
佳作43 わたくしのなかのいびつな庭の息 兵庫県 江口ちかる
佳作42 三角も 四角も丸も 息の中   大阪府 山里はるえ
佳作41 のほほんと溶けてゆくバターの吐息 兵庫県 妹尾 凛
佳作40 まあるい息から美しい人が出る 三重県 小河柳女
佳作39 六合目あたりはここと息を吐く 高知県 鍵山佳代
佳作38 ばかだな という時の息はシナモン 青森県 吉田州花
佳作37 15才 息は36度9分 高知県 川添郁子
佳作36 深海の右肺らしき玉手箱 青森県 岩崎眞里子
佳作35 3の次5がきて息を吹きかえす 高知県 小野善江
佳作34 息抜きに平均台をとぶ蛙 高知県 大野美恵
佳作33 息継ぎの下手なもぐらは叩かれる 愛知県 伊賀武久
佳作32 ひ、ひ、ふーぬるりと赤い月が出る 愛知県 猫田千恵子
佳作31 どうしても吐息が青江三奈になる 石川県 松谷早苗
佳作30 海が見えます息止めて下されば 滋賀県 重森恒雄
佳作29 お立ち寄りください息を吹き掛けに 島根県 石橋芳山
佳作28 てふてふがこわいといったぼくの息 京都府 行田秀生
佳作27 ぱっへるべるかのんと息を吐きなさい 東京都 柳本々々
佳作26 おぼろからエナメル質へ皮膚呼吸 京都府 森田律子
佳作25 メタンガスポコンと一つ溜め池の息 愛知県 中川喜代子
佳作24 息継ぎが上手に出来て赤い金魚に 新潟県 塩田悦子
佳作23 らーめんの吐息でしたか藻でしたか 青森県 奈良一艘
佳作22 ヌーの群れ走る足りない息のまま 奈良県 ひとり静
佳作21 Brand new dayな息からパピプペポ 岡山県 藤井智史
佳作20 花畑渡る静かに息を吸う 滋賀県 竹内歌子
佳作19 正式な息は一吸い二吐きです 愛知県 丸山 進
佳作18 商人(アキンド)は三方よしの永久(トワ)の息 滋賀県 嶌清五郎
佳作17 すうはあすうはあなめらかにくさる 兵庫県 宮沢 青
佳作16 鼻息の荒いフリルになりました 秋田県 一 帆
佳作15 交響曲第九番の呼吸音 青森県 鳴海賢治
佳作14 片明かり聞き漏らさぬように 息 京都府 浜 純子
佳作13 毎週金曜 息の発売日 滋賀県 佐久間裕子
佳作12 雲にのるつもりで息をととのえて 青森県 月波与生
佳作11 八月のバラは過呼吸症候郡 福島県 中野敦子
佳作10 息を吸う前はGPSでした 青森県 須藤しんのすけ
佳作9 「し」に息がいりますあたらしい息が 兵庫県 八上桐子
佳作8 吐く息にまじるアリューシャン列島 愛知県 瀧村小奈生
佳作7 六条御息所的今夜 青森県 笹田かなえ
佳作6 思春期の頃から息をしていない 鳥取県 藤原鬼桜
佳作5 四階でエレベーターを降りる息 愛知県 猫田千恵子
佳作4 ハリネズミが息む所有権移転 京都府 森田律子
佳作3 ウマズラハギの悩みもきっと鼻づまり 青森県 熊谷冬鼓
佳作2 もみじとは息を交換していない 愛知県 安藤なみ
佳作1 最後までふとんのなかは息でいっぱい 東京都 柳本々々
       
秀逸5 テラってギガってナノらない息なんだ 愛媛県 中西亜
秀逸4 エラ呼吸なんていまさら恥ずかしい 宮城県 須川柊子
秀逸3 こぶみっつオダンゴいつつ息ななつ 愛媛県 中西 亜
秀逸2 多数決で決める 息を止めるひと 愛媛県 村山浩吉
秀逸1 えら呼吸にするかどうかで妻と揉め 宮城県 渡辺忠一
       
特選 ローソク百本一息で消され 北海道 浪越靖政

選評

 〈ローソク百本一息で消され〉は、一読して、わあっと思った。私なら一息で百本は消せない。この句は実景を詠んでいるのではないだろう。実際に可能か不可能か、また、そういった場面があるかないかも問題ではなさそうである。けれども、できるかどうかを想像して、ワクワクした。もし、百本のローソクを一息で消せたら、スカッとするし、たまたまその場面に出えたら、気分は高揚して、嬉しくなるだろうと思った。誰が何のためにそうしたのか、そのようなことは書かれていない。いわゆる問答形式の川柳ではない。前句があり、附け句のようなでもある。問いであるかもしれない。4・4・5・3とかなり破調であり、字足らずだが、意外なほどリズムが良く、すっと読ませる。一句から爽快な気分が伝わり、快感を味わえた。こんな雰囲気を味わせてしてくれる川柳はそうお目にかかれない。一句全体が比喩になっているようにも思う。言葉によって実在感をもたらせてくれる、そこが一番優れていると思った。

 〈えら呼吸にするかどうかで妻と揉め〉は、夫婦間の揉め事は多種多様であるが、「えら呼吸にするかどうかで」で揉めるのはまずないだろう。人はえら呼吸ではないから、魚か水中の生き物を見ながら、妻と揉めたのかと読んだが、「にするかどうかで」だから、自分たちのことだろうか。他の揉め事ならいざ知らず、えら呼吸とは他の人では思い浮かばない。巷のよくある揉め事はあらためて書かない、踏み込んでいかない、わざと逸らす書き方に作者の立ち位置があるように思う。思惑以上の働きがこの句にはある。

 〈多数決で決める 息を止めるひと〉はどきっとした。鋭い社会性川柳である。

 〈テラってギガってナノらない息なんだ〉
 〈エラ呼吸なんていまさら恥ずかしい〉
 〈こぶみっつオダンゴいつつ息ななつ〉
の三句はどうでもよさそうなことをわざわざ書いて日常を見つめているところがよかった。

広瀬 ちえみ 選(ひろせちえみ・宮城県・杜人 所属)
佳作44 お立ち寄りください息を吹き掛けに 島根県 石橋芳山
佳作43 補聴器と眼鏡はずしてからの息 兵庫県 八上桐子
佳作42 溜息を詩集に挟み栞とす 大阪府 雨森茂喜
佳作41 ファクスの受信用紙の息づかい 愛知県 今村美根子
佳作40 だめですか影がため息つくなんて 愛媛県 郷田みや
佳作39 モアイ像に桃色吐息吹きかける 岡山県 小林茂子
佳作38 息を吹き込んで私の物にする 香川県 佐々木ええ一
佳作37 疑いは晴れたパセリのみじん切り 青森県 熊谷冬鼓
佳作36 その鼻息はヒト食ってきましたね 大阪府 田口和代
佳作35 嫌な奴と一緒の時はエラ呼吸 青森県 斎藤早苗
佳作34 息吹ってぇー吐いてぇーはいっ オシマイ 青森県 碾鸛石
佳作33 三つ目の眼が穏やかに呼吸する 北海道 悠とし子
佳作32 交響曲第九番の呼吸音 青森県 鳴海賢治
佳作31 ニンニクを食べて煙たい人に会う 青森県 岩淵黙人
佳作30 続けて下さい肋骨なんて気にせずに 埼玉県 野邊富優葉
佳作29 沈黙の息に七味をふりかける 愛知県 川崎敏明
佳作28 ほんとうは溜め息なのね阿も吽も 神奈川県 加藤ゆみ子
佳作27 掘りおこせば吐息ばかりの関が原 北海道 田村あすか
佳作26 溜息の後はオモチャのチャッチャッチャ 兵庫県 田村ひろ子
佳作25 お風呂からサフランの息もれてくる 京都府 辻 嬉久子
佳作24 里芋のぬめりと息が合うのです 愛媛県 吉松澄子
佳作23 この村のこの土として息をする 北海道 小林碧水
佳作22 花畑渡る静かに息を吸う 滋賀県 竹内歌子
佳作21 吹き出しの中のわたしは生臭い 愛知県 青砥和子
佳作20 はなびらが舞うから息ができないの 東京都 伊藤こうか
佳作19 性格をアルカリ性に充電中 青森県 白戸まつ子
佳作18 テラってギガってナノらない息なんだ 愛媛県 中西 亜
佳作17 大空へ帰った使用ずみの息 大阪府 小川佳恵
佳作16 扉を閉めてから息をし始める 熊本県 いわさき楊子
佳作15 大丈夫だいじょうぶって深呼吸 青森県 渡邊こあき
佳作14 仙人になってるやすらかな寝息 大阪府 荻野浩子
佳作13 三日月湖ここではピュアに茶を立てる 宮城県 勝又明城
佳作12 くしゃみして解剖台を追われたの 愛知県 安藤なみ
佳作11 ため息をつくから山椒魚になる 岩手県 徳田ひろ子
佳作10 そうなんよ空と呼吸を合わすだけ 大阪府 川田由紀子
佳作9 体育の日の水はしずかに起立する 北海道 澤野優美子
佳作8 まあるい息から美しい人が出る 三重県 小河柳女
佳作7 日曜の午後のためいき回収車 京都府 行田秀生
佳作6 夜を来る猫の息づかいを真似て 岩手県 徳田ひろ子
佳作5 息継ぎをして芒野に立っている 大阪府 赤松ますみ
佳作4 ひと息ついて、いいなあと思う空 兵庫県 妹尾 凛
佳作3 苔の青さと息をする そっとそっと 滋賀県 金子純子
佳作2 息が苦しいジョンレノンジョンレノン 北海道 松木 秀
佳作1 吐く息にまじるアリューシャン列島 愛知県 瀧村小奈生
       
秀逸5 息だけになったら森へ帰してね 滋賀県 北村幸子
秀逸4 ある時は尻尾で息をして帰る 愛知県 明名 蝶
秀逸3 ブレス記号に辿り着いたら抱き締めて 神奈川県 加藤ゆみ子
秀逸2 すうはあすうはあなめらかにくさる 兵庫県 宮沢 青
秀逸1 六条御息所的今夜 青森県 笹田かなえ
       
特選 毎週金曜 息の発売日 滋賀県 佐久間裕子

選評

 題「息」の集句を読んで、川柳は現在行き交っていることばに左右されていると思った。第十九回の大賞作品「死ぬときはびわこになると思います」(本多洋子さん)の「びわこ」という固有名詞には驚かされた。今回はその影響とは一概には言えないが、「アリューシャン列島」「六条御息所」「ユーミン」「ジョンレノン」「モナリザ」等が見受けられた。固有名詞を使うときはそのことば自体がすでに抱えている背景を一句のなかで料理しなければならないことを強く意識するべきだと私は思う。また「ヌー」は近頃あちこちで使われている。何の影響なのだろう。俳句には季語(時間の積み重ねがある)があるが、それと固有名詞はちがう。川柳で使われる固有名詞はどちらかといえば作者の生きている現在を呼吸している。しかし一句のなかにピタリと嵌まったときは大きな力を持つのが固有名詞である。川柳におけることばの流通を良くも悪くも考えさせられた。
 特選句は「六条御息所」と「毎週金曜」のどちらにするか迷ったし、秀句と佳作の差をどうつけたらいいのか悩み抜いた。

 六条御息所的今夜

 「息」という題をはずしてやりたくなったのが本心。「ろくじょうのみやすんどころてきこんや」のうち「てきこんや」だけが作者のことばだ。しかしやられたなと思った。六条御息所の激しさがこの現代に生き生きと出現していると感じた。そして表記が漢字だけという作者の知的なことば遊び感覚が成功していると思う。六条御息所が好きだという女性が多いという。それは、嫉妬深くも知性も身分もあり毅然としており、(男性が苦手とする)六条御息所の存在が物語をおもしろくしているからである。あきられ訪ねても来やしない今夜。「的」が笑わせてくれる。六条御息所がユーモアになるなんて今日の今日まで知らなかったなあ。六条御息所にむける作者の視線に余裕が感じられる。

 毎週金曜 息の発売日

 たとえば樋口由紀子さんがネット配信している「金曜日の川柳」が思い起こされる。楽しい金曜日である。作者はそれをイメージしたのだろうか。また、週刊誌なども考えられる。あるいは金曜日の飲み会などもあてはめられる。しかし、それでは私はつまらないと思う。あまりにも日常臭いもので読みたくないのだ。「息」は「息」以外のなにものでもない。夜の片隅に息を売っている店があるのだ。ホースのようなものから毎週、息を補充する。どこかSFめいていて、次世代の人間はそんなふうにして生きなければならないかもしれない。この息苦しい世界を。

本多洋子 選(ほんだようこ・大阪府・第19回杉野十佐一賞受賞)
佳作44 この村のこの土として息をする 北海道 小林碧水
佳作43 レース状に静まる押し花の息 徳島県 徳長 怜
佳作42 もみじとは息を交換していない 愛知県 安藤なみ
佳作41 鰯雲降ってくるまで深呼吸 青森県 滋野さち
佳作40 モナリザは息ぬきをする閉館後 愛知県 中川喜代子
佳作39 繭ほどく螺旋の息に沿うように 愛知県 青砥和子
佳作38 水中花そっと息継ぎしたような 高知県 森乃 鈴
佳作37 おっぱいにかかる寝息がやわらかい 青森県 赤平くみこ
佳作36 はなびらが舞うから息ができないの 東京都 伊藤こうか
佳作35 吐ききると 秋が尖ってくるのです 兵庫県 前田芙巳代
佳作34 ふっと漏らす秋はもうすぐ逝きますね 大阪府 雨森茂喜
佳作33 ラマーズ法 さあ海原を吐きなさい 奈良県 清水すみれ
佳作32 息を殺してほつほつと霧を吐く 滋賀県 重森恒雄
佳作31 扉を閉めてから息をし始める 熊本県 いわさき楊子
佳作30 大空へ帰った使用ずみの息 大阪府 小川佳恵
佳作29 里芋のぬめりと息が合うのです 愛媛県 吉松澄子
佳作28 爪先に秋のため息海のため息 奈良県 ひとり静
佳作27 息だけになったら森へ帰してね 滋賀県 北村幸子
佳作26 深呼吸思考回路に風通す 宮崎県 棧 舜吉
佳作25 吹き出しの中のわたしは生臭い 愛知県 青砥和子
佳作24 八月の祈り過換気症候群 大阪府 上嶋幸雀
佳作23 三つ目の眼が穏やかに呼吸する 北海道 悠とし子
佳作22 ため息でまわす風力発電所 青森県 月波与生
佳作21 ブレス記号任せじゃ光れないじゃない 青森県 きさらぎ彼句吾
佳作20 息吸ってもうじき夜叉になるところ 東京都 古家ちゑ子
佳作19 樹木葬やがて烈しい息をする 愛媛県 村山浩吉
佳作18 樹海から届く 渇いた息づかい 石川県 藤村容子
佳作17 息吐いて海辺のカフカまで戻る 京都府 内田真理子
佳作16 ヌーの群れ走る足りない息のまま 奈良県 ひとり静
佳作15 六条御息所的今夜 青森県 笹田かなえ
佳作14 これからの予感すべらせ雪の息 石川県 岡本 聡
佳作13 ため息は薔薇星雲を泳ぎきる 京都府 西田雅子
佳作12 息を吹き込んで私の物にする 香川県 佐々木ええ一
佳作11 周波数違った息が攻めてくる 大阪府 平井美智子
佳作10 ほっと息つく仕種にて断罪す 高知県 鍵山佳代
佳作9 薄すぎるビードロを未だ吹いている 青森県 則田 椿
佳作8 素通りをするには息が深すぎる 大阪府 谷口 義
佳作7 鬼芒 火群のような息を吐く 青森県 赤平くみこ
佳作6 吐息でも激しい河になるのです 愛知県 稲垣康江
佳作5 息継ぎをして芒野に立っている 大阪府 赤松ますみ
佳作4 難民の有刺鉄線くぐる息  青森県 濱山哲也
佳作3 毎週金曜 息の発売日 滋賀県 佐久間裕子
佳作2 TSUTAYAまで酸素ボンベを借りに行く 青森県 濱山哲也
佳作1 窒息死ですねゴローンとラムネ瓶 岡山県 木下草風
       
秀逸5 ウマズラハギの悩みもきっと鼻づまり 青森県 熊谷冬鼓
秀逸4 そうなんよ空と呼吸を合わすだけ 大阪府 川田由紀子
秀逸3 一列の息一列のまんじゅしゃげ 京都府 内田真理子
秀逸2 ばかだな という時の息はシナモン 青森県 吉田州花
秀逸1 らしい息でしょふわふわに見えるでしょ 青森県 守田啓子
       
特選 息止めて止めて止めて止めて 欅 愛知県 瀧村小奈生

選評

 今回の題「息」というのが、人間の生死に直接的にかかわる言葉なので作句にしても選句にしても非常に難しかったと思う。投句四九六句には一つひとつ真剣に対峙させて頂いたつもりである。

秀1
らしい息でしょふわふわに見えるでしょ

 「らしい息」とは具体的に何らしい息なのか読み手にわからない。ただ何か小さな生き物を愛おしく見つめている作者が見える。羽化したばかりの蝶かもしれない。青虫の赤ちゃんかもしれない。黄色いヒヨコかもしれない。勝手な想像は許して頂きたい。詩人まどみちおの優しい視線を思い出している。

秀2
ばかだな という時の息はシナモン

 「ばかだな」は自分に対して呟いているのか他人に対して優しく口をついて出た言葉なのか、ここではどちらにも読み取れる。いずれにしてもこれはいわゆる人を馬鹿にした言葉ではなくて、優しさを持って人の心に寄りそう息づかいを感じる。だからその息はちょっぴり哀しさと甘さの漂うシナモンのような香りがする。

秀3
ウマズラハギの悩みもきっと鼻づまり

 ウマズラハギはフグ目カワハギ科に属する魚。馬の顔を連想させることからその名前がついた。写真で見ると、いかにものっぺりと飄々とした顔立ち。これは鼻づまりを起こしそう。「ウマズラハギの悩みも」とあるから作者もきっと鼻づまり症候群に悩まされているのだろう。息からウマズラハギに至る連想は虚をついていてユーモアがあって面白い。

秀4
一列の息一列のまんじゅしゃげ

 まんじゅしゃげの花言葉は、秋一斉に咲く強烈な赤色から「情熱」。お彼岸に合わせたように咲くので別名彼岸花とも云う。まんじゅしゃげという語感からは花言葉どおり情熱的な生の赤を印象づける。一列の息という歯切れのよい表現と、たたみ掛けるような一列のリフレインは、強烈な赤と生を表現していて余りある。無駄のないリズミカルな息を感じ取ることが出来た。

秀5
そうなんよ空と呼吸を合わすだけ

 この句の前後に軽い会話が続いていることが想像できる。読者をもその会話に引きづり込んでしまいそうな面白味がある。それはきっと上五の「そうなんよ」の力。空と呼吸を合わすという大らかさも魅力。

特選
息止めて止めて止めて止めて 欅

 この作品を一読したとき、あっこれは破調の句だなと思った。しかし何度もなんども口に出して読んでみると、以外にも十七音できっちり納まっていることに気付いた。5・9・3の斬新な定型である。私は破調を嫌う人間でも定型を固守する人間でもないが、この作品には非常に新しさを感じた。言葉としては「息」「止めて」「欅」の三語しか使っていない。「止めて」を四回も繰り帰すところと、次の「欅」との間の一字アキの部分に、作者の言いたい事がぎっしり詰まっているように思った。作者の前には大きな大きな欅の木の存在がある。欅は高さ20mから40mにも達するニレ科ケヤキ属の落葉高木、その紅葉は殊のほか美しい。高い枝葉から青空が程よく透けて、枝を支える太い幹からは樹木の気を余すことなく感受できる。欅を仰いで大きく息を止めた作者は、自然への脅威と生への感動の中に、深く身を沈めたのではないかと思った。

む さ し 選(むさし・青森県・おかじょうき川柳社代表)
佳作44 ため息がいっぱい落ちている広場 北海道 悠とし子
佳作43 息吸ってもうじき夜叉になるところ 東京都 古家ちゑ子
佳作42 周波数違った息が攻めてくる 大阪府 平井美智子
佳作41 難民の有刺鉄線くぐる息  青森県 濱山哲也
佳作40 ゼロカロリーの深呼吸です召し上がれ 青森県 三浦蒼鬼
佳作39 息継ぎが下手で時々けつまずく 長野県 興津幸代
佳作38 息継ぎが下手でアナタに潜れない 青森県 ひとは
佳作37 お立ち寄りください息を吹き掛けに 島根県 石橋芳山
佳作36 補聴器と眼鏡はずしてからの息 兵庫県 八上桐子
佳作35 ため息を処理する役をお受けする 福井県 天谷由紀子
佳作34 狂わぬように息を殺して渦になる 石川県 藤村容子
佳作33 ちらばった吐息あつめてわたしに戻る 大阪府 小川佳恵
佳作32 だめですか影がため息つくなんて 愛媛県 郷田みや
佳作31 帰り道空へ吐く息海へ吐く息 奈良県 中村節子
佳作30 エラ呼吸なんていまさら恥ずかしい 宮城県 須川柊子
佳作29 思春期の頃から息をしていない 鳥取県 藤原鬼桜
佳作28 素通りをするには息が深すぎる 大阪府 谷口 義
佳作27 ぱっへるべるかのんと息を吐きなさい 東京都 柳本々々
佳作26 もみじとは息を交換していない 愛知県 安藤なみ
佳作25 八月の祈り過換気症候群 大阪府 上嶋幸雀
佳作24 石塀小路の夏と密かな息曲がる 京都市 岩根彰子
佳作23 吐ききると 秋が尖ってくるのです 兵庫県 前田芙巳代
佳作22 湯につかるフフフと息を吹き返す 青森県 斎藤早苗
佳作21 そうなんよ空と呼吸を合わすだけ 大阪府 川田由紀子
佳作20 声帯をふるわせ鳥になる時間 福島県 中野敦子
佳作19 コンビニの息にお焦げがついてます 京都府 岩田多佳子
佳作18 こぶみっつオダンゴいつつ息ななつ 愛媛県 中西 亜
佳作17 息巻いて一等賞になったけど 青森県 まきこ
佳作16 ともだちが少ないなりの呼吸法 大阪府 小原由佳
佳作15 嫌な奴と一緒の時はエラ呼吸 青森県 斎藤早苗
佳作14 ある時は尻尾で息をして帰る 愛知県 明名 蝶
佳作13 吹き出しの中のわたしは生臭い 愛知県 青砥和子
佳作12 むき出しのメール  しゃっくり止まらない 青森県 須藤しんのすけ
佳作11 ため息をつくから山椒魚になる 岩手県 徳田ひろ子
佳作10 海が見えます息止めて下されば 滋賀県 重森恒雄
佳作9 里芋のぬめりと息が合うのです 愛媛県 吉松澄子
佳作8 くしゃみして解剖台を追われたの 愛知県 安藤なみ
佳作7 申し訳ありません息はしているのです 北海道 田村あすか
佳作6 さみしくて時々ゆびで息をする 徳島県 徳長 怜
佳作5 樹木葬やがて烈しい息をする 愛媛県 村山浩吉
佳作4 息吐いて海辺のカフカまで戻る 京都府 内田真理子
佳作3 息吐いてまたおり返すけもの道 愛知県 深谷江利子
佳作2 息止めて止めて止めて止めて 欅 愛知県 瀧村小奈生
佳作1 っぶくっぶくぶく 生きてたなんて…女偏 青森県 きさらぎ彼句吾
       
秀逸5 3の次5がきて息を吹きかえす 高知県 小野善江
秀逸4 息を吹き込んで私の物にする 香川県 佐々木ええ一
秀逸3 多数決で決める 息を止めるひと 愛媛県 村山浩吉
秀逸2 息だけになったら森へ帰してね 滋賀県 北村幸子
秀逸1 らしい息でしょふわふわに見えるでしょ 青森県 守田啓子
       
特選 ラマーズ法 さあ海原を吐きなさい 奈良県 清水すみれ

選評

 第20回杉野十佐一賞に494作品のご応募をいただきました。
 2句詠ですからおよそ250人の方々が応募してくださったことになります。
 まことにありがとうございます。
 「十佐一賞、もう20回になるんだ」「記念すべき節目の回だな」と感慨深く思っています。
 みなさま、今後ともよろしくお願い申し上げます。

特選
ラマーズ法 さあ海原を吐きなさい

 この句に出会ったとき「ラマーズ法」が何であるか知りませんでした。一瞬外国の法律かと思いましたが、変だなと思いパソコン用広辞苑を引きました。「ラマーズ‐ほう【ラマーズ法】(フランスの産科医Fernand Lamaze1890〜1957が旧ソ連の精神予防性無痛分娩法を改めたもの)無痛分娩法の一種。呼吸法を訓練し、分娩時の疼痛緩和をはかる。」と出ていてなるほどと思いました。題が「息」だから呼吸法を訓練するラマーズ法なのですが、この取り合わせは特別驚くほどのことではありません。「ラマーズ法」の次に1字空けて「さあ海原を吐きなさい」にはびっくりしました。「ラマーズ法」は分娩法ですから「吐きなさい」ではなく「産みなさい」というフレーズが来るものとばかり思っていたのです。ところが、あっさり裏切られました。それと、産むものは生き物であるとばかり思っていましたが、これもあっさり裏切られました。都合2回いい感じに裏切られた訳です。この二重の裏切られ方、実に心地よいものでした。川柳というのは何か発見があったり驚きがあったりしないとおもしろくも何ともありません。スケールが大きくおもしろい句を寄せていただき感謝致します。