第22回杉野十佐一賞
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【大賞(11点)】
(秀)政二・れいこ・明日歌(佳)由紀子・むさし
ウォシュレットになるまでは極道じゃった
小林康浩(大阪府)

 この度は杉野土佐一賞大賞、ありがとうございます。正直驚いております。
 昨年初投句し、二度目のチャレンジで受賞できたことは大変光栄に存じます。
 意味性に拘り過ぎないぎりぎりのところを詠むのは、なかなか難しいことでした。
 言葉そのものの持つパワーに任せて詠む。言葉が勝手に弾けてゆく感触を大切にする。そんなことを意識しました。このような嬉しい結果になったことへ感謝いたします。

【準賞(10点)】
(秀)由紀子・ちえみ・むさし(佳)れいこ
サムライが道を担いで集まった      中前棋人(静岡県)
【9点】
(特)ちえみ(秀)れいこ(佳)政二
道になる 道を聞かれているあいだ 徳島県 徳長 怜
(特)明日歌(秀)むさし(佳)由紀子
オカメインコの冠羽 路地裏の品格 青森県 守田啓子
 
【8点】
(秀)れいこ(佳)政二・由紀子・ちえみ・明日歌・むさし
裏道はたぶん5時から卵とじ 岩手県 徳田ひろ子
 
【7点】
(特)れいこ(佳)ちえみ・明日歌
ややあって道具屋が出す裁ち鋏 石川県 岡本 聡
(秀)政二・ちえみ(佳)由紀子
つきのない道をくすくすわらいして 兵庫県 妹尾 凛
 
【6点】
(特)由紀子(佳)れいこ
お辞儀する道に落ちてる詩と金魚 愛媛県 村山浩吉
(秀)政二・ちえみ
ご注文の道です ごゆっくりどうぞ 宮城県 須川柊子
(秀)明日歌(佳)れいこ・由紀子・むさし
青春を東海道で巻き鮨に 東京都 飯島章友
(秀)ちえみ(佳)政二・明日歌・むさし
ティーポットあたため道を淹れますね 京都府 内田真理子
 
【5点】
(特)むさし
輪ゴムを広げる 産道が現れる 愛知県 安藤なみ
(特)政二
母さんのように歩いてみてごらん 福岡県 柴田美都
(秀)政二(佳)れいこ・むさし
産道のとちゅうの鹿をなでてきた 兵庫県 八上桐子
(秀)むさし(佳)政二・由紀子
さらさらすぎるぜミチ、ざらざらしようぜ 愛媛県 中西 亜
(秀)由紀子(佳)れいこ・ちえみ
訃報届けに白鳥が横切る 北海道 伊藤寿子
(秀)明日歌(佳)れいこ・ちえみ
エリーゼのための道まであと五分 愛知県 中川喜代子
(秀)むさし(佳)れいこ・由紀子
右足はもう道なりになっている 京都府 河村啓子
(佳)れいこ・由紀子・ちえみ・明日歌・むさし
こんな道どないですかと投げはった 静岡県 中前棋人
(佳)れいこ・由紀子・ちえみ・明日歌・むさし
道になる途中の歯間ブラシです 大阪府 谷口 義
 
【4点】
(秀)明日歌(佳)由紀子
Y字路で蠢き横尾忠則に 高知県 小野善江
(秀)むさし(佳)明日歌
真っ直ぐな道だった 山羊は曲がった 青森県 鳴海賢治
(秀)ちえみ(佳)明日歌
塩まいておくれ裸の王が来る 岡山県 永見心咲
(秀)れいこ(佳)明日歌
道焼いてサノノチガミノオトメとばれる 神奈川県 加藤ゆみ子
(佳)政二・由紀子・ちえみ・むさし
道はもうあたたかそうに眠ってる 滋賀県 小梶忠雄
(佳)政二・れいこ・ちえみ・むさし
道だったことを忘れちゃった道 秋田県 赤石ゆう
 
【3点】
(秀)由紀子
しょろしょろとビオラ哭かせて道半ば 青森県 笹田隆志
(秀)由紀子
玉砂利を敷くセーラー服を洗う 青森県 守田啓子
(秀)れいこ
ぐずぐずに道をくずして食べる夜 宮城県 加藤久子
(秀)明日歌
ぬるりっと山陰道は鵺の殻 鳥取県 斉尾くにこ
(秀)政二
この道でよかった父が待っていた 兵庫県 田村ひろ子
(秀)由紀子
くしゃみして河馬にはカバの使い道 奈良県 板垣孝志
(佳)れいこ・ちえみ・明日歌
鶴瓶に出会う気がして道変える 愛知県 林 泰行
(佳)政二・れいこ・ちえみ
なんでもないみちが雑草し合ってる 東京都 伊藤こうか
(佳)由紀子・明日歌・むさし
ライオンの通った道から帰るヌー 秋田県 田久保亜蘭
(佳)由紀子・ちえみ・むさし
道だよね雨雲レーダーによれば 愛媛県 吉松澄子
(佳)政二・れいこ・ちえみ
瘡蓋と道はゆっくりと剥がす 宮城県 加藤久子
(佳)政二・由紀子・明日歌
歩道橋母さん布団は干さないで 愛知県 林 泰行
(佳)由紀子・ちえみ・明日歌
ここからは屈折率が変わります 滋賀県 北村幸子
(佳)政二・れいこ・明日歌
弟の匂いの残る分かれ道 京都府 谷口 文
(佳)ちえみ・明日歌・むさし
そろそろなんでしょう道が孵るのは 東京都 柳本々々
(佳)政二・れいこ・由紀子
へんとつくりのあいだの道をとぼとぼと 滋賀県 峯裕見子
(佳)れいこ・ちえみ・明日歌
景品にもらう一本の逃げ道 徳島県 徳長 怜
(佳)れいこ・ちえみ・むさし
重いかと何度も訊いた道ですね 滋賀県 峯裕見子
(佳)政二・れいこ・ちえみ
風にそよいでいる道のようなもの 京都府 西田雅子
(佳)政二・れいこ・むさし
入口は出口を保証していない 大阪府 寺川弘一
(佳)政二・れいこ・ちえみ
やわらかな毛布になった帰り道 福井県 天谷由紀子
(佳)政二・ちえみ・むさし
どっち道 ああどっち道だったんだ 大阪府 雨森 茂喜
(佳)れいこ・由紀子・むさし
ゼブラ・ゾーンで出逢う象の群れ 香川県 嶋村 幸
(佳)政二・ちえみ・むさし
地下道の出口でこおろぎになった 大阪府 笠嶋恵美子
(佳)政二・明日歌・むさし
拾い上げても拾い上げても垂れてくる道 東京都 柳本々々
 
【2点】
(佳)れいこ・由紀子
帰り道わたしをしあわせにしたい 大阪府 弘津秋の子
(佳)れいこ・ちえみ
信号の先の妖しい純喫茶 岩手県 徳田ひろ子
(佳)政二・れいこ
坂道がひとのかたちになりたがる 宮城県 月波与生
(佳)政二・れいこ
雪の夜は道がひしめきあうらしく 愛知県 吉田修三
(佳)れいこ・明日歌
魚の道光るデッサンはそよぐ 北海道 伊藤寿子
(佳)由紀子・ちえみ
御堂筋鼻のにきびが治らない 兵庫県 宮沢 青
(佳)明日歌・むさし
道草で桃をひろった桃太郎 愛知県 河合邦夫
(佳)明日歌・むさし
ミサイルの軌道へ ケンパケンケンパ 東京都 北野響子
(佳)ちえみ・むさし
ライオンになるなら右を行きなさい 岩手県 熊谷岳朗
(佳)ちえみ・明日歌
レッスンワンそろそろ道が曲がります 京都府 和田洋子
(佳)れいこ・むさし
あなたまで届くと良いな 導火線 岡山県 しばたかずみ
(佳)政二・由紀子
道の果て穴の余った革ベルト 京都府 岩田多佳子
(佳)れいこ・むさし
道続くみんなどこかへ行く途中 大阪府 久保田清美
(佳)れいこ・明日歌
道ならぬ道にもちゃんと犬の糞 愛知県 丸山 進
(佳)政二・むさし
持ち上げた道からどっと砂の山 大阪府 能登和子
(佳)政二・むさし
この道がわたしの空を生みました 岩手県 熊谷岳朗
(佳)れいこ・明日歌
全方向が道 発芽準備中 岐阜県 早川柚香
(佳)政二・れいこ
おもちゃ箱ひっくり返す道になる 福井県 みつ木もも花
(佳)由紀子・明日歌
隧道の雫首筋より沁みる 岡山県 木下草風
(佳)由紀子・ちえみ
サンセット通ㇼに置いてきた踵 京都府 岩根彰子
(佳)れいこ・由紀子
ひらめいてシュッキュッパッと道になる 愛知県 明名 蝶
(佳)政二・むさし
さっきまで道だったのに消えている 北海道 岩間啓子
(佳)れいこ・ちえみ
裏道を欽ちゃん走りして抜ける 鳥取県 平尾正人
(佳)政二・明日歌
逆走の道にぬるっとある世界 石川県 岡本 聡
(佳)政二・むさし
花散ったそこからの道とびなさい 青森県 坂本清乃
(佳)れいこ・ちえみ
何とかなるバス通りまで出られたら 滋賀県 大橋啓子
(佳)ちえみ・明日歌
トコロテンですが仁義は通します 青森県 碾鸛石
(佳)明日歌・むさし
巻き添えになりたい 同じ道にします 愛媛県 能田勝利
(佳)ちえみ・明日歌
一般道での不倫は禁止です 青森県 土田雅子
(佳)政二・むさし
まっすぐな道から父が還らない 新潟県 塩田悦子
(佳)政二・むさし
荒縄がいっぽん横たわる道だ 香川県 嶋村 幸
 
【1点】
(佳)むさし
道のヘソ辺りで父を見失う 北海道 木暮健一
(佳)政二
屋根裏に三日月さんを通すみち 静岡県 句の一
(佳)明日歌
長い道 桃井の見せる背中にも 京都府 谷口 文
(佳)むさし
道のつなぎ目カタカタ鳴って夜はお終い 京都府 内田真理子
(佳)れいこ
太古より木の実降る道裁判所 京都府 西田雅子
(佳)むさし
道なんか横切っていく逢いに行く 岐阜県 早川柚香
(佳)由紀子
一字書の「道」見る時の首の骨 大阪府 徳山泰子
(佳)明日歌
朝になったら静かに帰す道でした 福井県 酒井暁美
(佳)むさし
コンビニもオープンカフェもある轍 秋田県 赤石ゆう
(佳)由紀子
みっちゃんみちみちテロリストになった 大阪府 小林康浩
(佳)れいこ
私からするする赤道を剥がす 滋賀県 北村幸子
(佳)明日歌
合鍵を作りあぐねてきた 河口 宮城県 勝又明城
(佳)政二
?偏どこを歩いて来たんだろ 秋田県 田久保亜蘭
(佳)明日歌
桜蕊降る友のないポケットに 宮城県 月波与生
(佳)政二
花の咲く道を選んで来たつもり 青森県 石澤はる子
(佳)ちえみ
頬杖をついてこの道選んだの 滋賀県 片山美津子
(佳)由紀子
水の道why why石がはしゃいでる 大阪府 野間 幸恵
(佳)政二
カナカナ鳴いて道はゆっくりつづいている 滋賀県 安井茂樹
(佳)由紀子
道具箱   空っぽ    進化しない母 愛媛県 吉原美佐
(佳)由紀子
パンくずを撒かずに歩き出した道 京都府 竹内知子
(佳)れいこ
海割れて我ひなげしを採りにゆく 静岡県 水品団石
(佳)ちえみ
パン屑を落しておいたはずなのに 熊本県 いわさき楊子
(佳)むさし
一本道から影が抜けてる走ってる 高知県 小野善江
(佳)むさし
嘘・うそと選ばなかった方の道 青森県 中村誠子
(佳)れいこ
耳なりを道なり ひとりのつらなり 兵庫県 宮沢 青
(佳)政二
清水谷へ行く道は二本ある 滋賀県 重森恒雄
(佳)れいこ
程々の辺りで光る歩道橋 青森県 熊谷冬鼓
(佳)由紀子
縁日は晴着振り撒う稚児の道 兵庫県 柳口テルヨ
(佳)れいこ
ピーポーに身体畳んで道渡す 愛知県 安井紀代子
(佳)明日歌
哲学的にカテーテルジャンクション 京都府 蟹口和枝
(佳)由紀子
夏季限定 流し道化師はじめます 東京都 飯島章友
(佳)ちえみ
道筋をたててスーダラ節歌う 愛媛県 西村寛子
(佳)由紀子
ぱいなつぷる 金木犀の道すがら 青森県 笹田かなえ
(佳)政二
歩く人拒んだことのない道だ 新潟県 星井五郎
(佳)ちえみ
道歩むポイントカード持ちながら 青森県 南山藤花
(佳)由紀子
星雲が開く筆先は跳ねている 静岡県 渡辺遊石
(佳)政二
薔薇ぬめり道徳的に咲いている  秋田県 一 帆
(佳)由紀子
カピバラの顔買いに行く遍路道 岡山県 小林茂子
(佳)明日歌
お引き受けくださるか わたくしの臓器 青森県 碾鸛石
(佳)むさし
茄子の花誰かを真似て生きてきた 青森県 熊谷冬鼓
(佳)由紀子
きぬかつぎヌルリと剥けた 道だった 奈良県 中村せつこ
(佳)明日歌
三日月が照らした道は6H 宮城県 須川柊子
(佳)むさし
結局はもときた道に戻る影 広島県 笹重耕三
(佳)由紀子
リアス国道昼下りの幻聴 青森県 小野五郎
(佳)明日歌
濃霧する道でスピードランニング 鳥取県 斉尾くにこ
(佳)政二
なだらかな吐息が道になるのです 青森県 まみどり
(佳)明日歌
鉄条線ムーミン村へ帰れない 青森県 千葉風樹
(佳)政二
脱げそうな靴引きずって引きずって 滋賀県 大谷のり子
(佳)ちえみ
サフランサフラン 帰る道にも来た道にも 青森県 笹田かなえ
(佳)政二
水道水のちからをかりる下半身 北海道 澤野優美子
(佳)ちえみ
道すがらふらりと寄ってみたこの世 山梨県 加藤当白
(佳)ちえみ
焼肉がにおう赤道のあたりです 大阪府 田口和代
(佳)政二
成りたいをなりたかったに未だしない 青森県 村井規子
(佳)ちえみ
花びらがそうよそうよと道にまで 滋賀県 小梶忠雄
(佳)明日歌
センターラインの歪み泣いているらしい 青森県 小野五郎
(佳)政二
その道は月の光に濡れている 愛知県 猫田千恵子
(佳)むさし
てのひらに私の道がありました 新潟県 星井五郎
(佳)れいこ
空をゆく鳥には鳥にみえる道 愛知県 猫田千恵子
(佳)むさし
巡礼がまたすれ違う帰り道 宮城県 須田隆行
(佳)政二
父は子へどんと一本道贈る 高知県 森乃 鈴
(佳)由紀子
人間が作った道を熊通う 東京都 泉 明日香
(佳)明日歌
アカペラの道で夕陽を捏ねてます 青森県 三浦蒼鬼
(佳)政二
いつまでも道があるとは思えない 千葉県 潮田春雄
(佳)明日歌
弥勒菩薩のくすり指まで辿りつく 高知県 萩原良子
(佳)ちえみ
雷が光った方の道を行く 福岡県 もり ともみち
(佳)由紀子
マンモスの臍の緒までの淡い道 愛知県 安藤なみ
(佳)むさし
逃げ道は私の後ろにありますが 青森県 ひとは
(佳)ちえみ
回帰軌道ただいまパンが焦げている 京都府 岩田多佳子
(佳)由紀子
真っ直ぐにピアスの穴を抜ける道 島根県 石橋芳山
(佳)明日歌
踏み締めて私の道になったみち 奈良県 中村せつこ
(佳)むさし
逃げてきた道にときどき丸い月 兵庫県 田村ひろ子
(佳)ちえみ
遊歩道ゆっくり曲がるあっソクラテス 京都府 和田洋子
(佳)由紀子
産道を抜けて戴く金二両 岡山県 藤井智史
(佳)れいこ
幾重にも折りたたまれて帰り道 愛知県 瀧村小奈生
(佳)むさし
つきあたりを右に行ったら迷路です 青森県 中村誠子
(佳)政二
父さんの時間詰まった道具箱 青森県 村上あつこ
(佳)由紀子
万力で作るみずいろ朝の道 大阪府 野間幸恵
(佳)れいこ
横道に逸れてそのままこの町に 滋賀県 高野久美子
(佳)明日歌
私道ですからご遠慮願います 福井県 天谷由紀子
(佳)ちえみ
そっち行っちゃダメってご先祖様が言う 青森県 斎藤早苗
(佳)由紀子
通りゃんせひとりで唄いこっちゆく 長野県 小池孝一
(佳)明日歌
雲は北斎JAFはとっくにスギタくん 青森県 濱山哲也
(佳)むさし
道草がたりなかったと思う午後 青森県 ひらく
(佳)政二
かっぽれとご一緒します回り道 青森県 佐藤雅秀
(佳)ちえみ
湾岸を走ればわたし青になる 愛知県 丹下 純
(佳)由紀子
ジグザグの道を越えれば太平洋 福井県 奥村美枝子
(佳)明日歌
道程をくるくる手繰るおばあさん 奈良県 ひとり静
(佳)由紀子
階段国道登って着いた竜飛崎 宮崎県 棧 舜吉
(佳)明日歌
水中花ひそかに捜す逃げ道を 大阪府 里山はるえ
(佳)れいこ
行く道の地図もないまま秋日和 高知県 立花末美
(佳)ちえみ
近道をゆけばイガグリ落ちてくる 大阪府 浅井ゆず
(佳)ちえみ
帰り道もう何もない何もない 宮城県 浮 千草
(佳)由紀子
0123456は溶ける道 岡山県 藤井智史

応募者ご芳名

【北海道】
伊藤寿子・岩間啓子・木暮健一・酒井麗水・嶺岸柳舟・宗村政己・松木 秀・浪越靖政・澤野優美子
【青森】
石澤はる子・稲見則彦・小野五郎・かほる・きさらぎ彼句吾・熊谷冬鼓・斎藤早苗・坂本清乃・佐藤雅秀・佐藤武・須郷井蛙・鈴木みさを・碾鸛石・盒鏡姥弌千葉風樹・土田雅子・常田チャコ・中村誠子・奈良一艘・鳴海賢治・にじの真美・則田椿・濱山哲也・ひとは・ひらく・まきこ・松山芳生・まみどり・三浦蒼鬼・三浦清雪・南山藤花・村井規子・村上あつこ・守田啓子・山野茶花子・吉田州花・綿谷夕雨子・渡邊こあき・渡邊寂隆・夏草ふぶき・吉田吹喜・笹田かなえ・笹田隆志・滋野さち・野里風情
【岩手】
加差野静浪・熊谷岳朗・田中苑子・徳田ひろ子
【宮城】
浮千草・勝又明城・加藤久子・虚心譚海・須川柊子・武川影法師・月波与生・須田隆行
【秋田】
赤石ゆう・田久保亜蘭・一帆
【福島】
中野敦子
【埼玉】
細川岩男・野邊富優葉
【千葉】
老沼正一・潮田春雄
【東京】
伊藤三十六・上原稔・北野響子・中島かよ・幻住斎・山田こいし・伊藤こうか・泉明日香・飯島章友・柳本々々
【神奈川】
加藤ゆみ子・岡田弘子
【新潟】
新井笑葉・塩田悦子・谷沢ふみ・夏井せいじ・星井五郎
【石川】
石倉多美子・岡本聡・表よう子・藤村容子・松谷早苗
【福井】
天谷由紀子・奥村美枝子・近藤富子・酒井暁美・みつ木もも花
【山梨】
加藤当白
【長野】
興津幸代・小池孝一・樹萄らき・丸山健三
【岐阜】
早川柚香
【静岡】
句の一・渡辺遊石・佐野由利子・水品団石・中前棋人
【愛知】
明名蝶・伊賀武久・稲垣康江・今村美根子・川崎敏明・中川喜代子・水谷克行・安井紀代子・安藤なみ・河合邦夫・丸山 進・吉田修三・高田桂子・三好光明・松長一歩・青砥和子・瀧村小奈生・丹下純・中村まさゑ・土園映子・猫田千恵子・林泰行
【三重】
小河柳女・山口亞都子・青砥たかこ
【滋賀】
大谷のり子・大橋啓子・片山美津子・北村幸子・小梶忠雄・小西幸子・重森恒雄・嶌清五郎・高野久美子・中村はるゑ・畑山美幸・峯裕見子・村井隆行・安井茂樹・松延博子
【京都】
岩田多佳子・河村啓子・北原照子・谷口文・森田律子・山本早苗・山本知佳子・蟹口和枝・岩根彰子・山本昌乃・西田雅子・竹内知子・内田真理子・和田洋子
【大阪】
浅井ゆず・オカダキキ・荻野浩子・笠嶋恵美子・川田由紀子・久保田清美・合田瑠美子・阪井一夫・田口和代・谷口義・次井義泰・寺川弘一・徳山泰子・能登和子・平井美智子・弘津秋の子・雨森茂喜・小川佳恵・小林康浩・神田良子・竹井紫乙・野間幸恵・里山はるえ
【兵庫】
小林みちよ・妹尾凛・田村ひろ子・坪井篤子・豊福清月・中西南子・柳口テルヨ・山元三恵子・宮沢青・八上桐子
【奈良】
板垣孝志・太田のりこ・きむらまさこ・中村せつこ・ひとり静・目黒友遊・岡谷 樹
【和歌山】
三宅保州
【鳥取】
斉尾くにこ・平尾正人
【島根】
石橋芳山
【岡山】
木下草風・小林茂子・近藤朋子・しばたかずみ・永見心咲・福力明良・藤井智史
【広島】
笹重耕三
【徳島】
徳長怜
【香川】
嶋村幸
【愛媛】
青野舞・大内せつ子・鎌倉俊一・高橋こう子・田中なお・土居新山・中西亜・西村寛子・能田勝利・村山浩吉・山内房子・山之内さち枝・吉松澄子・吉原美佐
【高知】
大野美恵・小野善江・竹内恵子・立花末美・萩原良子・森乃鈴
【福岡】
大庭堅司・柴田美都・城後朱美・もり ともみち
【熊本】
いわさき楊子・阪本ちえこ・興呂木和朗
【宮崎】
稲毛寛・棧舜吉
【鹿児島】
平瀬芙蓉
【沖縄】
渡嘉敷唯正・森山文切

計252名

徳永 政二 選(とくながせいじ・滋賀県・びわこ番傘川柳会所属)
佳作44 まっすぐな道から父が還らない 新潟県 塩田悦子
佳作43 荒縄がいっぽん横たわる道だ 香川県 嶋村幸
佳作42 道の果て穴の余った革ベルト 京都府 岩田多佳子
佳作41 かっぽれとご一緒します回り道 青森県 佐藤雅秀
佳作40 どっち道 ああどっち道だったんだ 大阪府 雨森 茂喜
佳作39 花散ったそこからの道とびなさい 青森県 坂本清乃
佳作38 父さんの時間詰まった道具箱 青森県 村上あつこ
佳作37 道だったことを忘れちゃった道 秋田県 赤石ゆう
佳作36 さらさらすぎるぜミチ、ざらざらしようぜ 愛媛県 中西亜
佳作35 逆走の道にぬるっとある世界 石川県 岡本聡
佳作34 いつまでも道があるとは思えない 千葉県 潮田春雄
佳作33 父は子へどんと一本道贈る 高知県 森乃鈴
佳作32 入口は出口を保証していない 大阪府 寺川弘一
佳作31 その道は月の光に濡れている 愛知県 猫田千恵子
佳作30 成りたいをなりたかったに未だしない 青森県 村井規子
佳作29 道はもうあたたかそうに眠ってる 滋賀県 小梶忠雄
佳作28 瘡蓋と道はゆっくりと剥がす 宮城県 加藤久子
佳作27 水道水のちからをかりる下半身 北海道 澤野優美子
佳作26 脱げそうな靴引きずって引きずって 滋賀県 大谷のり子
佳作25 なだらかな吐息が道になるのです 青森県 まみどり
佳作24 さっきまで道だったのに消えている 北海道 岩間啓子
佳作23 地下道の出口でこおろぎになった 大阪府 笠嶋恵美子
佳作22 へんとつくりのあいだの道をとぼとぼと 滋賀県 峯裕見子
佳作21 薔薇ぬめり道徳的に咲いている  秋田県 一帆
佳作20 歩く人拒んだことのない道だ 新潟県 星井五郎
佳作19 風にそよいでいる道のようなもの 京都府 西田雅子
佳作18 拾い上げても拾い上げても垂れてくる道 東京都 柳本々々
佳作17 持ち上げた道からどっと砂の山 大阪府 能登和子
佳作16 清水谷へ行く道は二本ある 滋賀県 重森恒雄
佳作15 やわらかな毛布になった帰り道 福井県 天谷由紀子
佳作14 歩道橋母さん布団は干さないで 愛知県 林泰行
佳作13 この道がわたしの空を生みました 岩手県 熊谷岳朗
佳作12 おもちゃ箱ひっくり返す道になる 福井県 みつ木もも花
佳作11 カナカナ鳴いて道はゆっくりつづいている 滋賀県 安井茂樹
佳作10 花の咲く道を選んで来たつもり 青森県 石澤はる子
佳作9 ?偏どこを歩いて来たんだろ 秋田県 田久保亜蘭
佳作8 雪の夜は道がひしめきあうらしく 愛知県 吉田修三
佳作7 裏道はたぶん5時から卵とじ 岩手県 徳田ひろ子
佳作6 なんでもないみちが雑草し合ってる 東京都 伊藤こうか
佳作5 弟の匂いの残る分かれ道 京都府 谷口文
佳作4 道になる 道を聞かれているあいだ 徳島県 徳長 怜
佳作3 坂道がひとのかたちになりたがる 宮城県 月波与生
佳作2 屋根裏に三日月さんを通すみち 静岡県 句の一
佳作1 ティーポットあたため道を淹れますね 京都府 内田真理子
       
秀逸5 この道でよかった父が待っていた 兵庫県 田村ひろ子
秀逸4 ご注文の道です ごゆっくりどうぞ 宮城県 須川柊子
秀逸3 ウォシュレットになるまでは極道じゃった 大阪府 小林康浩
秀逸2 つきのない道をくすくすわらいして 兵庫県 妹尾凛
秀逸1 産道のとちゅうの鹿をなでてきた 兵庫県 八上桐子
       
特選 母さんのように歩いてみてごらん 福岡県 柴田美都

選評

 「道」はむずかしかったと思う。
 それは、いろいろなところで書かれてきて、なお新しく感じるかのむずかしさである。
 それにもかかわらず、応募のみなさんのこれでもかの熱意が伝わってくる選だった。

【秀逸5】
この道でよかった父が待っていた

 子どもの頃の思い出とも読めるが、 ここは、お父さんが亡くなられてのことだと読んだ。
 作者の求めてきたものが、父の思い描いていたものと違わなかった。そのうれしさが書かれている。

【秀逸4】
ご注文の道です ごゆっくりどうぞ

 いいですね、こんなお店。注文すればほしい「道」が手に入るお店。それもゆっくり味わってくださいと。
 楽しい、ありがたい、訪ねてみたいお店である。

【秀逸3】
ウォシュレットになるまでは極道じゃった

 「ウォシュレット」と「極道」の取り合わせがなんともおもしろい。納得する。また、どんな「極道」だったのかを想像させてくれる。

【秀逸2】
つきのない道をくすくすわらいして

 この「つき」は運の世界ではなく、素直に「月」と読ませていただいた。
 この暗い現実を明るくあろうとする 「くすくすわらい」に惹かれる。

【秀逸1】
産道のとちゅうの鹿をなでてきた

 「産道」の句はたくさんあったが、この「鹿」にはかなわなかった。
 親しみを感じるこの「鹿」はいったい何なのか、はっきりわからないまま光っている不思議な「鹿」である。

【特選】
母さんのように歩いてみてごらん

 競い合いの場ではめずらしい大胆な書き方である。シンプルなのもいい。
 足を踏んばりながらこれからを生きる幼子の姿が目に浮かぶ。
 そして、その子を支える母さんの手があたたかい。

なかはら れいこ 選(なかはられいこ・岐阜県・ねじまき句会所属)
佳作44 弟の匂いの残る分かれ道 京都府 谷口文
佳作43 行く道の地図もないまま秋日和 高知県 立花末美
佳作42 重いかと何度も訊いた道ですね 滋賀県 峯裕見子
佳作41 道続くみんなどこかへ行く途中 大阪府 久保田清美
佳作40 おもちゃ箱ひっくり返す道になる 福井県 みつ木もも花
佳作39 道だったことを忘れちゃった道 秋田県 赤石ゆう
佳作38 横道に逸れてそのままこの町に 滋賀県 高野久美子
佳作37 幾重にも折りたたまれて帰り道 愛知県 瀧村小奈生
佳作36 風にそよいでいる道のようなもの 京都府 西田雅子
佳作35 裏道を欽ちゃん走りして抜ける 鳥取県 平尾正人
佳作34 あなたまで届くと良いな 導火線 岡山県 しばたかずみ
佳作33 道ならぬ道にもちゃんと犬の糞 愛知県 丸山 進
佳作32 空をゆく鳥には鳥にみえる道 愛知県 猫田千恵子
佳作31 道になる途中の歯間ブラシです 大阪府 谷口義
佳作30 何とかなるバス通りまで出られたら 滋賀県 大橋啓子
佳作29 やわらかな毛布になった帰り道 福井県 天谷由紀子
佳作28 全方向が道 発芽準備中 岐阜県 早川柚香
佳作27 へんとつくりのあいだの道をとぼとぼと 滋賀県 峯裕見子
佳作26 右足はもう道なりになっている 京都府 河村啓子
佳作25 景品にもらう一本の逃げ道 徳島県 徳長 怜
佳作24 なんでもないみちが雑草し合ってる 東京都 伊藤こうか
佳作23 坂道がひとのかたちになりたがる 宮城県 月波与生
佳作22 ひらめいてシュッキュッパッと道になる 愛知県 明名蝶
佳作21 入口は出口を保証していない 大阪府 寺川弘一
佳作20 信号の先の妖しい純喫茶 岩手県 徳田ひろ子
佳作19 雪の夜は道がひしめきあうらしく 愛知県 吉田修三
佳作18 ゼブラ・ゾーンで出逢う象の群れ 香川県 嶋村幸
佳作17 ピーポーに身体畳んで道渡す 愛知県 安井紀代子
佳作16 程々の辺りで光る歩道橋 青森県 熊谷冬鼓
佳作15 耳なりを道なり ひとりのつらなり 兵庫県 宮沢青
佳作14 帰り道わたしをしあわせにしたい 大阪府 弘津秋の子
佳作13 瘡蓋と道はゆっくりと剥がす 宮城県 加藤久子
佳作12 海割れて我ひなげしを採りにゆく 静岡県 水品団石
佳作11 エリーゼのための道まであと五分 愛知県 中川喜代子
佳作10 産道のとちゅうの鹿をなでてきた 兵庫県 八上桐子
佳作9 サムライが道を担いで集まった 静岡県 中前棋人
佳作8 私からするする赤道を剥がす 滋賀県 北村幸子
佳作7 こんな道どないですかと投げはった 静岡県 中前棋人
佳作6 太古より木の実降る道裁判所 京都府 西田雅子
佳作5 訃報届けに白鳥が横切る 北海道 伊藤寿子
佳作4 魚の道光るデッサンはそよぐ 北海道 伊藤寿子
佳作3 青春を東海道で巻き鮨に 東京都 飯島章友
佳作2 鶴瓶に出会う気がして道変える 愛知県 林泰行
佳作1 お辞儀する道に落ちてる詩と金魚 愛媛県 村山浩吉
       
秀逸5 裏道はたぶん5時から卵とじ 岩手県 徳田ひろ子
秀逸4 道焼いてサノノチガミノオトメとばれる 神奈川県 加藤ゆみ子
秀逸3 ぐずぐずに道をくずして食べる夜 宮城県 加藤久子
秀逸2 道になる 道を聞かれているあいだ 徳島県 徳長 怜
秀逸1 ウォシュレットになるまでは極道じゃった 大阪府 小林康浩
       
特選 ややあって道具屋が出す裁ち鋏 石川県 岡本聡

選評

【特選】
ややあって道具屋が出す裁ち鋏

 日本語のおもしろさを再確認させてくれる作品に多く巡り合えてうれしかった。なかでも特選に選ばせていただいた作品の「ややあって」には圧倒された。「ややあって」の直前には何があって、「やや」の間には何が起きたのだろう。と、想像力を刺激してくれる。道具屋の匂いや、武骨で無口な道具屋の店主の姿が目に浮かぶようで、物語の一端を垣間見たような気分になった。

【秀逸1】
ウォシュレットになるまでは極道じゃった

 「ウォシュレット」と「極道」の取り合わせはショッキングであった。どちらかを喩として読むこともできそうだけど、個人的にはどちらもそのまま受け取った方がおもしろいとは思う。間違ってたら申し訳ないが「じゃった」は広島弁なのだろうか。極道らしさをあらわしたかったのかもしれないが、「だった」でもよかったのではないかと思ったことも明記しておく。

【秀逸2】
道になる 道を聞かれているあいだ

 「道になる」は地味にすごい。作品を通して人柄をうんぬん言うのは評価の基準として誤っているとは思う。だけど、たかが道を聞かれたくらいで(意識のうえで)道になってしまうひとを好きだなあと思うのは致し方ない。この話者、時間を聞かれたら時計になるのだろうな、きっと。

【秀逸3】
ぐずぐずに道をくずして食べる夜

 「道」を食べるという発想がおもしろかった。「ぐずぐず」「くずす」という語の繋がり方もうまいと思う。

【秀逸4】
道焼いてサノノチガミノオトメとばれる

 無知をさらすようだけど「サノノチガミノオトメ」を知らず、ネットで検索して万葉集の中の一首を見つけた。悲恋の女官が「あら、ばれちゃった」と舌を出している様子が目に浮かぶ。キュートである。

【秀逸5】
裏道はたぶん5時から卵とじ

 「卵とじ」でいただいた。「とじ」は「閉じ」でもあり、裏道や5時とつながるよすがとして機能しているように思う。

樋口 由紀子 選(ひぐちゆきこ・兵庫県・「晴」所属)
佳作44 0123456は溶ける道 岡山県 藤井智史
佳作43 階段国道登って着いた竜飛崎 宮崎県 棧舜吉
佳作42 道になる途中の歯間ブラシです 大阪府 谷口義
佳作41 ジグザグの道を越えれば太平洋 福井県 奥村美枝子
佳作40 ひらめいてシュッキュッパッと道になる 愛知県 明名蝶
佳作39 通りゃんせひとりで唄いこっちゆく 長野県 小池孝一
佳作38 万力で作るみずいろ朝の道 大阪府 野間 幸恵
佳作37 産道を抜けて戴く金二両 岡山県 藤井智史
佳作36 真っ直ぐにピアスの穴を抜ける道 島根県 石橋芳山
佳作35 マンモスの臍の緒までの淡い道 愛知県 安藤なみ
佳作34 サンセット通ㇼに置いてきた踵 京都府 岩根彰子
佳作33 人間が作った道を熊通う 東京都 泉 明日香
佳作32 隧道の雫首筋より沁みる 岡山県 木下草風
佳作31 ライオンの通った道から帰るヌー 秋田県 田久保亜蘭
佳作30 道はもうあたたかそうに眠ってる 滋賀県 小梶忠雄
佳作29 ゼブラ・ゾーンで出逢う象の群れ 香川県 嶋村幸
佳作28 ここからは屈折率が変わります 滋賀県 北村幸子
佳作27 御堂筋鼻のにきびが治らない 兵庫県 宮沢青
佳作26 オカメインコの冠羽 路地裏の品格 青森県 守田啓子
佳作25 右足はもう道なりになっている 京都府 河村啓子
佳作24 リアス国道昼下りの幻聴 青森県 小野五郎
佳作23 きぬかつぎヌルリと剥けた 道だった 奈良県 中村せつこ
佳作22 歩道橋母さん布団は干さないで 愛知県 林泰行
佳作21 カピバラの顔買いに行く遍路道 岡山県 小林茂子
佳作20 星雲が開く筆先は跳ねている 静岡県 渡辺遊石
佳作19 ぱいなつぷる 金木犀の道すがら 青森県 笹田かなえ
佳作18 夏季限定 流し道化師はじめます 東京都 飯島章友
佳作17 縁日は晴着振り撒う稚児の道 兵庫県 柳口テルヨ
佳作16 道だよね雨雲レーダーによれば 愛媛県 吉松澄子
佳作15 さらさらすぎるぜミチ、ざらざらしようぜ 愛媛県 中西亜
佳作14 へんとつくりのあいだの道をとぼとぼと 滋賀県 峯裕見子
佳作13 こんな道どないですかと投げはった 静岡県 中前棋人
佳作12 パンくずを撒かずに歩き出した道 京都府 竹内知子
佳作11 道具箱   空っぽ    進化しない母 愛媛県 吉原美佐
佳作10 水の道why why石がはしゃいでる 大阪府 野間 幸恵
佳作9 つきのない道をくすくすわらいして 兵庫県 妹尾凛
佳作8 みっちゃんみちみちテロリストになった 大阪府 小林康浩
佳作7 一字書の「道」見る時の首の骨 大阪府 徳山泰子
佳作6 ウォシュレットになるまでは極道じゃった 大阪府 小林康浩
佳作5 裏道はたぶん5時から卵とじ 岩手県 徳田ひろ子
佳作4 青春を東海道で巻き鮨に 東京都 飯島章友
佳作3 帰り道わたしをしあわせにしたい 大阪府 弘津秋の子
佳作2 Y字路で蠢き横尾忠則に 高知県 小野善江
佳作1 道の果て穴の余った革ベルト 京都府 岩田多佳子
       
秀逸5 くしゃみして河馬にはカバの使い道 奈良県 板垣孝志
秀逸4 サムライが道を担いで集まった 静岡県 中前棋人
秀逸3 玉砂利を敷くセーラー服を洗う 青森県 守田啓子
秀逸2 訃報届けに白鳥が横切る 北海道 伊藤寿子
秀逸1 しょろしょろとビオラ哭かせて道半ば 青森県 笹田隆志
       
特選 お辞儀する道に落ちてる詩と金魚 愛媛県 村山浩吉

選評

 お辞儀する道に落ちてる詩と金魚

 挨拶、お礼、遠慮、辞退、などの理 由で頭を下げた。すると、落ちているものが見えた。それが「詩と金魚」。理 想と現実かもしれない。この川柳は上から下まで読み下すことができる。が、 よく考えてみると意味は通じない。ふつうに読ませて。最後に逆転させる。 わかりやすい地点に着地しない。「詩と金魚」がへんなのだ。それでいてへん だと気づかせない。さらりと「詩と金魚」にびっくりした。この言葉を並列するだけで参ったと思った。まったく別物の、質感も触感もまったく違う、それ ぞれの言葉でふくらみと広がりを作っている。「詩」は詩集とか具体的なもの ではないだろう。詩とは日常とはまた別次元の、想像力の次元のもの。ここ では夢のあるものだろう。金魚も真っ赤で新しいなにかを象徴しているよう なもの。金魚は死んでなどいなくて、ピチピチ跳ねていると思いたい。それ らはお辞儀しなかったら、見過していたかもしれないなどと余計な解釈をす る必要ないように思う。意味の理屈をはぐらかしている。

 しょろしょろとビオラ哭かせて道半ば

 しょろしょろと情けないような、不思議な音をさせて、ビオラを弾いている。が、弾いているつもりだが、哭かせているようでもある。考えてみればなにごとも私は道半ばである、と読んだ。最初「しょろしょろ」の擬音語の誘いに惹かれた。「哭かせ」の漢字にはあとづさりした。次に「て」で切れているのかどうかで悩んだ。ビオラを哭かせていたらとか、ビオラを哭かせてなんかいるから道半ばなのだという自戒をこめての意味だろう。「道半ば」というのは作者にとっては重いことなのだろうか。それとも、ああ、今も中途半端なんだという程度だろうか。説明とか報告とか、因果関係を言っているのではないのならもっといいのに思った。

広瀬 ちえみ 選(ひろせちえみ・宮城県・杜人 所属)
佳作44 帰り道もう何もない何もない 宮城県 浮千草
佳作43 近道をゆけばイガグリ落ちてくる 大阪府 浅井ゆず
佳作42 トコロテンですが仁義は通します 青森県 碾鸛石
佳作41 湾岸を走ればわたし青になる 愛知県 丹下純
佳作40 何とかなるバス通りまで出られたら 滋賀県 大橋啓子
佳作39 そっち行っちゃダメってご先祖様が言う 青森県 斎藤早苗
佳作38 地下道の出口でこおろぎになった 大阪府 笠嶋恵美子
佳作37 遊歩道ゆっくり曲がるあっソクラテス 京都府 和田洋子
佳作36 回帰軌道ただいまパンが焦げている 京都府 岩田多佳子
佳作35 雷が光った方の道を行く 福岡県 もり ともみち
佳作34 エリーゼのための道まであと五分 愛知県 中川喜代子
佳作33 ややあって道具屋が出す裁ち鋏 石川県 岡本聡
佳作32 一般道での不倫は禁止です 青森県 土田雅子
佳作31 裏道を欽ちゃん走りして抜ける 鳥取県 平尾正人
佳作30 花びらがそうよそうよと道にまで 滋賀県 小梶忠雄
佳作29 焼肉がにおう赤道のあたりです 大阪府 田口和代
佳作28 やわらかな毛布になった帰り道 福井県 天谷由紀子
佳作27 道すがらふらりと寄ってみたこの世 山梨県 加藤 当白
佳作26 サフランサフラン 帰る道にも来た道にも 青森県 笹田かなえ
佳作25 サンセット通ㇼに置いてきた踵 京都府 岩根彰子
佳作24 訃報届けに白鳥が横切る 北海道 伊藤寿子
佳作23 道はもうあたたかそうに眠ってる 滋賀県 小梶忠雄
佳作22 そろそろなんでしょう道が孵るのは 東京都 柳本々々
佳作21 ライオンになるなら右を行きなさい 岩手県 熊谷岳朗
佳作20 道歩むポイントカード持ちながら 青森県 南山藤花
佳作19 道筋をたててスーダラ節歌う 愛媛県 西村寛子
佳作18 鶴瓶に出会う気がして道変える 愛知県 林泰行
佳作17 景品にもらう一本の逃げ道 徳島県 徳長 怜
佳作16 裏道はたぶん5時から卵とじ 岩手県 徳田ひろ子
佳作15 道だよね雨雲レーダーによれば 愛媛県 吉松澄子
佳作14 重いかと何度も訊いた道ですね 滋賀県 峯裕見子
佳作13 パン屑を落しておいたはずなのに 熊本県 いわさき楊子
佳作12 風にそよいでいる道のようなもの 京都府 西田雅子
佳作11 こんな道どないですかと投げはった 静岡県 中前棋人
佳作10 頬杖をついてこの道選んだの 滋賀県 片山美津子
佳作9 レッスンワンそろそろ道が曲がります 京都府 和田洋子
佳作8 御堂筋鼻のにきびが治らない 兵庫県 宮沢青
佳作7 ここからは屈折率が変わります 滋賀県 北村幸子
佳作6 どっち道 ああどっち道だったんだ 大阪府 雨森 茂喜
佳作5 信号の先の妖しい純喫茶 岩手県 徳田ひろ子
佳作4 道だったことを忘れちゃった道 秋田県 赤石ゆう
佳作3 道になる途中の歯間ブラシです 大阪府 谷口義
佳作2 瘡蓋と道はゆっくりと剥がす 宮城県 加藤久子
佳作1 なんでもないみちが雑草し合ってる 東京都 伊藤こうか
       
秀逸5 つきのない道をくすくすわらいして 兵庫県 妹尾凛
秀逸4 ティーポットあたため道を淹れますね 京都府 内田真理子
秀逸3 ご注文の道です ごゆっくりどうぞ 宮城県 須川柊子
秀逸2 塩まいておくれ裸の王が来る 岡山県 永見心咲
秀逸1 サムライが道を担いで集まった 静岡県 中前棋人
       
特選 道になる 道を聞かれているあいだ 徳島県 徳長 怜

選評

 道になる 道を聞かれているあいだ

 見逃してしまいそうな句の作りだが、味わいのある作品だ。道をわかりやすく教えるのはむずかしいものだ。信号をいくつ越えて、右に曲がり左に〇〇を見てまっすぐに……。そうこうしているうちに道そのものになっているような気がしてくる。ナビに現れる矢印のように道は道を歩いている。

 塩まいておくれ裸の王が来る サムライが道を担いで集まった

 どちらも、政治情勢を詠んでいるともとれるが、読みの多様性を持っている。幕末のように時代が変化する時に集まったサムライたちの熱気を感じさせる。政治だけではなくどんなジャンルでもサムライの出現を待っている。真のサムライを!などと言うと胡散臭くなるのであるが……。

 ご注文の道です ごゆっくりどうぞ

 レストランであるいはアマゾンで注文した道。それがまずかろうが不良品だろうが歩くしかない。自分が選んだ道だから、などとクサイことは言わない。それもこれもどうぞゆっくり味わってください。

 ティーポットあたため道を淹れますね

 ティーポットから道がでてくるなんて想像もできない裏切りである。明日はわからないけど、今日一日は幸せな道を歩けそうだ。理想的な一日のはじまり、あるいはティータイム。

 つきのない道をくすくすわらいして

 今日は無月だし、そのうえ何かついていなかったなあ。くすくすわらいができるのだから、さほどのことではないのだろう。「つき」とひらがなにしたことによって広がりを得た。 あたりまえだけれど、ここに集まっている作品は選者を試しているという感が年々強くなっている。選は怖ろしい。

米山明日歌 選(よねやまあすか・兵庫県・第21回杉野十佐一賞受賞)
佳作44 一般道での不倫は禁止です 青森県 土田雅子
佳作43 水中花ひそかに捜す逃げ道を 大阪府 里山はるえ
佳作42 道程をくるくる手繰るおばあさん 奈良県 ひとり静
佳作41 巻き添えになりたい 同じ道にします 愛媛県 能田勝利
佳作40 雲は北斎JAFはとっくにスギタくん 青森県 濱山哲也
佳作39 私道ですからご遠慮願います 福井県 天谷由紀子
佳作38 塩まいておくれ裸の王が来る 岡山県 永見心咲
佳作37 踏み締めて私の道になったみち 奈良県 中村せつこ
佳作36 道になる途中の歯間ブラシです 大阪府 谷口義
佳作35 弥勒菩薩のくすり指まで辿りつく 高知県 萩原良子
佳作34 アカペラの道で夕陽を捏ねてます 青森県 三浦蒼鬼
佳作33 逆走の道にぬるっとある世界 石川県 岡本聡
佳作32 トコロテンですが仁義は通します 青森県 碾鸛石
佳作31 センターラインの歪み泣いているらしい 青森県 小野五郎
佳作30 そろそろなんでしょう道が孵るのは 東京都 柳本々々
佳作29 レッスンワンそろそろ道が曲がります 京都府 和田洋子
佳作28 拾い上げても拾い上げても垂れてくる道 東京都 柳本々々
佳作27 魚の道光るデッサンはそよぐ 北海道 伊藤寿子
佳作26 鉄条線ムーミン村へ帰れない 青森県 千葉風樹
佳作25 濃霧する道でスピードランニング 鳥取県 斉尾くにこ
佳作24 三日月が照らした道は6H 宮城県 須川柊子
佳作23 隧道の雫首筋より沁みる 岡山県 木下草風
佳作22 お引き受けくださるか わたくしの臓器 青森県 碾鸛石
佳作21 景品にもらう一本の逃げ道 徳島県 徳長 怜
佳作20 全方向が道 発芽準備中 岐阜県 早川柚香
佳作19 ここからは屈折率が変わります 滋賀県 北村幸子
佳作18 哲学的にカテーテルジャンクション 京都府 蟹口 和枝
佳作17 ミサイルの軌道へ ケンパケンケンパ 東京都 北野響子
佳作16 真っ直ぐな道だった 山羊は曲がった 青森県 鳴海賢治
佳作15 歩道橋母さん布団は干さないで 愛知県 林泰行
佳作14 道草で桃をひろった桃太郎 愛知県 河合邦夫
佳作13 ティーポットあたため道を淹れますね 京都府 内田真理子
佳作12 道ならぬ道にもちゃんと犬の糞 愛知県 丸山 進
佳作11 こんな道どないですかと投げはった 静岡県 中前棋人
佳作10 桜蕊降る友のないポケットに 宮城県 月波与生
佳作9 合鍵を作りあぐねてきた 河口 宮城県 勝又明城
佳作8 朝になったら静かに帰す道でした 福井県 酒井暁美
佳作7 ややあって道具屋が出す裁ち鋏 石川県 岡本聡
佳作6 鶴瓶に出会う気がして道変える 愛知県 林泰行
佳作5 弟の匂いの残る分かれ道 京都府 谷口文
佳作4 長い道 桃井の見せる背中にも 京都府 谷口文
佳作3 道焼いてサノノチガミノオトメとばれる 神奈川県 加藤ゆみ子
佳作2 ライオンの通った道から帰るヌー 秋田県 田久保亜蘭
佳作1 裏道はたぶん5時から卵とじ 岩手県 徳田ひろ子
       
秀逸5 ぬるりっと山陰道は鵺の殻 鳥取県 斉尾くにこ
秀逸4 ウォシュレットになるまでは極道じゃった 大阪府 小林康浩
秀逸3 青春を東海道で巻き鮨に 東京都 飯島章友
秀逸2 エリーゼのための道まであと五分 愛知県 中川喜代子
秀逸1 Y字路で蠢き横尾忠則に 高知県 小野善江
       
特選 オカメインコの冠羽 路地裏の品格 青森県 守田啓子

選評

【特選】
 オカメインコの冠羽 路地裏の品格

 読むたびに、路地裏の景が立ってきまし た。オカメインコという庶民的な具象が、冴え、物音がするたびに、冠羽を上げる仕草が、キリリとした下町のおじちゃんを思わせ、歩いている側の背も伸びるような気がしました。

【秀逸】
 Y字路で蠢き横尾忠則に

 蠢いているうちに、横尾忠則になってしまったY字路は、極彩色で気分も高揚させてくれます。が、その先に不安も感じられます。横尾忠則にまんまと填められてしまいました。

【秀逸】
 エリーゼのための道まであと五分

 「エリーゼのために」は、ピアノを習っている人には、憧れの曲です。エリーゼのための道。すごく気になります。しかもあと五分なのです。

【秀逸】
 青春を東海道で巻き鮨に

 東海道五十三次が、すぐに思い浮かびました。東海道は、海あり山ありと具だくさんです。まさに青春の思い出です。それをぐるりと巻き鮨に。太巻きですね。しかも、酢の味。

【秀逸】
 ウオッシュレットになるまでは極道じゃった

 散々悪事を働いてきた人だからこそ、人の気持ちのわかる人になった。ウオッシュレットを使うたびに、「極道だったんだ」と言ってしまう私がいた。

【秀逸】
 ぬるりっと山陰道は鵺の殻

 はからずも今年二回も山陰道を通った。この句を読み納得できた。あのなんとも言えぬ静けさと暗さは、殻の中に入ってしまったからだったのだ。

  最初で最後であろう、十佐一賞の選。わくわくしながら、させていただきました。チャンスをいただけたこと幸せにおもいます。ありがとうございました。

む さ し 選(むさし・青森県・おかじょうき川柳社代表)
佳作44 荒縄がいっぽん横たわる道だ 香川県 嶋村幸
佳作43 道だったことを忘れちゃった道 秋田県 赤石ゆう
佳作42 拾い上げても拾い上げても垂れてくる道 東京都 柳本々々
佳作41 道草がたりなかったと思う午後 青森県 ひらく
佳作40 まっすぐな道から父が還らない 新潟県 塩田悦子
佳作39 さっきまで道だったのに消えている 北海道 岩間啓子
佳作38 つきあたりを右に行ったら迷路です 青森県 中村誠子
佳作37 逃げてきた道にときどき丸い月 兵庫県 田村ひろ子
佳作36 逃げ道は私の後ろにありますが 青森県 ひとは
佳作35 この道がわたしの空を生みました 岩手県 熊谷岳朗
佳作34 巻き添えになりたい 同じ道にします 愛媛県 能田勝利
佳作33 巡礼がまたすれ違う帰り道 宮城県 須田 隆行
佳作32 てのひらに私の道がありました 新潟県 星井五郎
佳作31 道になる途中の歯間ブラシです 大阪府 谷口義
佳作30 花散ったそこからの道とびなさい 青森県 坂本清乃
佳作29 持ち上げた道からどっと砂の山 大阪府 能登和子
佳作28 どっち道 ああどっち道だったんだ 大阪府 雨森 茂喜
佳作27 ゼブラ・ゾーンで出逢う象の群れ 香川県 嶋村幸
佳作26 こんな道どないですかと投げはった 静岡県 中前棋人
佳作25 ウォシュレットになるまでは極道じゃった 大阪府 小林康浩
佳作24 結局はもときた道に戻る影 広島県 笹重耕三
佳作23 茄子の花誰かを真似て生きてきた 青森県 熊谷冬鼓
佳作22 道草で桃をひろった桃太郎 愛知県 河合邦夫
佳作21 ティーポットあたため道を淹れますね 京都府 内田真理子
佳作20 道はもうあたたかそうに眠ってる 滋賀県 小梶忠雄
佳作19 ミサイルの軌道へ ケンパケンケンパ 東京都 北野響子
佳作18 地下道の出口でこおろぎになった 大阪府 笠嶋恵美子
佳作17 ライオンになるなら右を行きなさい 岩手県 熊谷岳朗
佳作16 入口は出口を保証していない 大阪府 寺川弘一
佳作15 嘘・うそと選ばなかった方の道 青森県 中村誠子
佳作14 一本道から影が抜けてる走ってる 高知県 小野善江
佳作13 産道のとちゅうの鹿をなでてきた 兵庫県 八上桐子
佳作12 道だよね雨雲レーダーによれば 愛媛県 吉松澄子
佳作11 裏道はたぶん5時から卵とじ 岩手県 徳田ひろ子
佳作10 そろそろなんでしょう道が孵るのは 東京都 柳本々々
佳作9 重いかと何度も訊いた道ですね 滋賀県 峯裕見子
佳作8 コンビニもオープンカフェもある轍 秋田県 赤石ゆう
佳作7 道なんか横切っていく逢いに行く 岐阜県 早川柚香
佳作6 あなたまで届くと良いな 導火線 岡山県 しばたかずみ
佳作5 青春を東海道で巻き鮨に 東京都 飯島章友
佳作4 道のつなぎ目カタカタ鳴って夜はお終い 京都府 内田真理子
佳作3 道続くみんなどこかへ行く途中 大阪府 久保田清美
佳作2 ライオンの通った道から帰るヌー 秋田県 田久保亜蘭
佳作1 道のヘソ辺りで父を見失う 北海道 木暮健一
       
秀逸5 右足はもう道なりになっている 京都府 河村啓子
秀逸4 サムライが道を担いで集まった 静岡県 中前棋人
秀逸3 オカメインコの冠羽 路地裏の品格 青森県 守田啓子
秀逸2 真っ直ぐな道だった 山羊は曲がった 青森県 鳴海賢治
秀逸1 さらさらすぎるぜミチ、ざらざらしようぜ 愛媛県 中西亜
       
特選 輪ゴムを広げる 産道が現れる 愛知県 安藤なみ

選評

 第22回杉野十佐一賞に504句のご応募をいただきました。
 ハイレベルの句が数多く寄せられ主催者としてまことにありがたく思っております。
 みなさま、今後ともよろしくお願いします。

【特選】
 輪ゴムを広げる 産道が現れる

 選句に着手したのは10月初旬。
 まずは100句に、それを60句に、更に50句へと絞っている内にひと月が瞬く間に過ぎた。
 特選候補として最後に残ったのは「輪ゴムを広げる 産道が現れる」と「さらさらすぎるぜミチ、ざらざらしようぜ」の2句。
 双方とも特に難しい言葉を使うことなく、定型にとらわれていない。
 「輪ゴム」の句は真ん中に1字空けがあり、「さらさら」の句は真ん中に「、」が一つ。
 一方は「輪ゴム」から「産道」へ場面を変え、もう一方は「さらさら」から「ざらざら」に質感を変えている。
 同じようなテクニックを使った2句だが、「さらさら」の句は「道」でなく「ミチ」と書いて異質な雰囲気も醸し出している。
 結果、1字空けを使って読者の目を「輪ゴム」から「産道」へ移動させ、同時に場面のズーム・アップもするという、ムービーを思わせるおもしろさに惹かれて「輪ゴム」の句へ軍配を上げた。
 この「産道」だが、何故か「分娩に際して、胎児が通過する経路(広辞苑)」のこととは思えない。
 人間とは異質なものが生まれて来そうな気がする。
 介護ロボットとかミサイルとかが誕生するなんて考えは変だろうか。
 輪ゴムを使ったマジックを見ているようだ。
 それにしても、どうして破調の句に惹かれたのだろう。