第23回杉野十佐一賞
  • 第23回杉野十佐一賞ホーム
  • 徳永政二選
  • なかはられいこ選
  • 樋口由紀子選
  • 広瀬ちえみ選
  • 小林康浩選
  • むさし選
【大賞(9点)】
(特)ちえみ(佳)政二・由紀子・康浩・むさし
別室の黒羊羹はどうなるの
吉松澄子(愛媛県)

 憧れの賞をいただきありがとうございました。
 夢のようで何度もメールを確かめました。
 子どものころから空想の世界で遊ぶのが好きで、そんな作品に惹かれます。
 「黒羊羹」は、ふっと、「どうなるの」は、ぱっと、イメージが広がりました。ちょっ と幼いかなあ、と迷いましたが「別室」を得て、ほっとしました。 あの黒羊羹は、その後どうなったのでしょう。あれは特別な黒羊羹でしたよ。
 思いがけず評価していただき感謝申し上げます。
 ありがとうございました。

【準賞(8点)】
(特)れいこ(佳)政二・ちえみ・むさし
黒鍵のすきまに鳥がいた昨日      澤野優美子(北海道)
【7点】    
(特)康浩(佳)れいこ・由紀子    
黒板をかつぎ退職いたします 静岡県 句ノ一
(秀)ちえみ・むさし(佳)康浩    
何だろう黒いおつりを貰ったよ 福井県 天谷由紀子
(秀)由紀子(佳)政二・れいこ・ちえみ・むさし    
おもしろい黒になるまでかき混ぜる 秋田県 佐々木智恵子
     
【6点】    
(特)むさし(佳)れいこ    
あの日見た父はかすれたバーコード 大阪府 浅井ゆず
(秀)れいこ(佳)由紀子・ちえみ・康浩    
コーヒーはブラック的な漢和辞典 東京都 飯島章友
     
【5点】    
(特)政二    
黒がいい もう充分に生きたから 宮城県 須川柊子
(特)由紀子    
イマジンを聞きながら黒になる切手 高知県 大野美恵
(秀)むさし(佳)由紀子・ちえみ    
火縄銃に込める丹波の黒豆 岡山県 木下草風
(秀)ちえみ(佳)政二・れいこ    
黒のこと抱きしめてみてしたたるから 三重県 山口亜都子
(秀)政二(佳)康浩・むさし    
ときどきは白に相談してる黒 京都府 西田雅子
(秀)れいこ(佳)由紀子・ちえみ    
天啓と水羊羹の舌ざわり 秋田県 赤石ゆう
(秀)むさし(佳)政二・れいこ    
「ん」の続きあるので点をうたないで 青森県 中村誠子
(秀)むさし(佳)れいこ・康浩    
梟の閨にふたご座流星群 岩手県 徳田ひろ子
(秀)れいこ(佳)政二・むさし    
叱られて小さな黒い点になる 長野県 興津幸代
(秀)ちえみ(佳)政二・由紀子    
つれづれなるままに黒ずみましょうよ 東京都 伊藤こうか
(秀)康浩(佳)政二・ちえみ    
黙り込むみんな黒には恩があり 大阪府 小原由佳
(佳)政二・れいこ・ちえみ・康浩・むさし    
こうみえて黒はけっこうおひとよし 高知県 萩原良子
     
【4点】    
(秀)由紀子(佳)ちえみ    
黒文字で五大老に切り分ける 愛知県 中川喜代子
(秀)政二(佳)由紀子    
想像をふくらませよと黒が言う 石川県 宮田喜美子
(秀)康浩(佳)むさし    
ニンゲンを一度やったら解るだろ 秋田県 田久保亜蘭
(秀)れいこ(佳)むさし    
魂はどこだとQRコードかざす 京都府 河村啓子
(秀)ちえみ(佳)れいこ    
暗闇で松崎しげるに並ばれる 愛知県 林 泰行
(秀)政二(佳)康浩    
はつこいの学生服にあっホタル 福岡県 柴田美都
(秀)由紀子(佳)ちえみ    
おんもまっくらぐーぐるしゃんくるよ 京都府 内田真理子
(秀)政二(佳)由紀子    
日常をうまい具合になぞる黒 秋田県 佐々木智恵子
(秀)由紀子(佳)康浩    
梟の都合で闇が白くなる 青森県 三浦蒼鬼
(秀)れいこ(佳)ちえみ    
黒でいるための水深五メートル 鳥取県 平尾正人
(秀)政二(佳)むさし    
水たまり見つめ続けているカラス 奈良県 ひとり静
(秀)むさし(佳)由紀子    
黒い向日葵あの子隠していませんか 高知県 萩原良子
(佳)れいこ・由紀子・ちえみ・むさし    
許します潜水艦になりなさい 青森県 まみどり
(佳)れいこ・由紀子・ちえみ・むさし    
ともすれば舌から黒くなりますよ 神奈川県 岡田弘子
(佳)れいこ・由紀子・ちえみ・康浩    
刑に処す全部32分音符 山梨県 加藤当白
     
【3点】    
(秀)康浩    
エンドロールでは黒の修理に追われ 東京都 柳本々々
(秀)康浩    
公文書がブルカを着けてやってくる 青森県 滋野さち
(秀)ちえみ    
お父ちゃん濡れたら泥に戻れるで 滋賀県 北村幸子
(秀)康浩    
腹黒い二人で見てるショーケース 大阪府 小原由佳
(秀)由紀子    
漆黒を宇宙くじらに隠そうか 兵庫県 妹尾 凛
(佳)政二・ちえみ・むさし    
走ったら追い越せたかも知れぬ黒 愛知県 前田ゆうこ
(佳)政二・れいこ・ちえみ    
玄関に揃えてあげる今日の黒 徳島県 徳長 怜
(佳)政二・れいこ・由紀子    
春の野の黒い帽子のひとになる 滋賀県 重森恒雄
(佳)れいこ・ちえみ・康浩    
堕天使、チャリで向かってるっていま 兵庫県 宮沢 青
(佳)れいこ・由紀子・康浩    
八咫烏マークシートな歩き方 愛知県 中川喜代子
(佳)れいこ・由紀子・むさし    
喪服着て全部なかったことにする 愛媛県 吉原美佐
(佳)れいこ・ちえみ・むさし    
会釈するブラックアウトしたままで 佐賀県 真島久美子
(佳)政二・由紀子・ちえみ    
もうちょっと黒になったら入れたげる 兵庫県 村井広子
(佳)政二・れいこ・康浩    
影法師畳めばほんの一握り 大阪府 里山はるえ
(佳)由紀子・ちえみ・康浩    
ガラガラポン落ちてきたのはルドンの眼 岡山県 小林茂子
(佳)由紀子・ちえみ・康浩    
思い出はイカスミだって恥ずかしい 愛知県 明名 蝶
(佳)政二・康浩・むさし    
黒で書く本音と黒で消す本音 佐賀県 真島久美子
(佳)由紀子・康浩・むさし    
旧姓と向き合うブラックコーヒー 広島県 笹重耕三
     
【2点】    
(佳)ちえみ・康浩    
困ったものよ仄暗いのが出て行かぬ 愛媛県 能田勝利
(佳)由紀子・ちえみ    
泣きじゃくろうチクろうタクろう中目黒 東京都 飯島章友
(佳)政二・むさし    
暗闇で握った黒が生温い 新潟県 星井五郎
(佳)政二・むさし    
水辺へと手負いの黒をつれてゆく 徳島県 徳長 怜
(佳)政二・由紀子    
ファブリーズするドラキュラの黒マント 愛知県 今村美根子
(佳)政二・ちえみ    
大人でも子供でもなく黒さとう 青森県 笹田かなえ
(佳)康浩・むさし    
会長の後ろに黒い哺乳瓶 愛媛県 土居新山
(佳)政二・由紀子    
八月のぬり絵に黒をよく使う 新潟県 塩田悦子
(佳)れいこ・ちえみ    
ミルク飲む 少しグレーになって寝る 青森県 吉田吹喜
(佳)由紀子・康浩    
あっちっちダルメシアンの黒いとこ 青森県 笹田かなえ
(佳)政二・れいこ    
影が通ります生まれ変わります 京都府 和田洋子
(佳)れいこ・由紀子    
由緒正しい黒で鵺など棲まわせる 奈良県 太田のりこ
(佳)政二・由紀子    
黒豆になってかすれて行きました 大阪府 谷口 義
(佳)れいこ・ちえみ    
ロボットと黒い接吻して暮らす 青森県 井上健蔵
(佳)由紀子・ちえみ    
ブラックペッパー何者だったのか 大阪府 谷口 義
(佳)ちえみ・むさし    
帯は黒 立ちどまってはいられない 兵庫県 田村ひろ子
(佳)政二・れいこ    
安らかに眠りなさいと黒がくる 長野県 小池孝一
(佳)れいこ・むさし    
父さんのピースのにおい黒電話 愛知県 今村美根子
(佳)由紀子・むさし    
ひょいと手を伸ばすと戦争につきあたる 青森県 ・・霜石
(佳)ちえみ・むさし    
前頭葉から黒百合咲いたって 愛媛県 大内せつ子
(佳)れいこ・むさし    
クロネコの尻尾を踏んで待たせてる 千葉県 老沼正一
(佳)ちえみ・康浩    
黒飴をひとつもらって別れたが 宮城県 浮 千草
(佳)政二・ちえみ    
わたしだとわかる黒子が一つある 滋賀県 安井茂樹
(佳)政二・れいこ    
逆光のひまわり一本ふり返る 滋賀県 北村幸子
(佳)由紀子・康浩    
黒星3つ残り12はややややや 愛知県 伊賀武久
     
【1点】    
(佳)れいこ    
Tシャツ黒だとなんか落ち着くわ 滋賀県 立岡詩織
(佳)ちえみ    
墨を磨る 絹を一枚ずつ脱がせ 青森県 千葉風樹
(佳)康浩    
奥深くシャットダウンをまさぐりぬ 大阪府 竹井紫乙
(佳)れいこ    
淋しくて笑う 前歯に海苔付けて 石川県 松谷早苗
(佳)由紀子    
そのままそのまま 進行形の黒 愛媛県 能田勝利
(佳)ちえみ    
こすったらアカン黒白つけるまで 岡山県 木下草風
(佳)むさし    
火のにおいさせたまんまの黒でいる 石川県 藤村容子
(佳)れいこ    
あやしくやさしいコウモリ傘になる 京都府 谷口 文
(佳)政二    
あきらめの悪い私の中の黒 福井県 天谷由紀子
(佳)むさし    
もう過ぎたことです黒く塗りましょう 長野県 興津幸代
(佳)康浩    
解答をみんな揃えたブラックホール 大阪府 寺川弘一
(佳)むさし    
ほらここが黒くなってるから死ねる 大阪府 川田由紀子
(佳)康浩    
掠れ筆森はますます深くなる 静岡県 渡辺遊石
(佳)政二    
黒の中へ消えてゆくのは痛くない 滋賀県 畑山美幸
(佳)康浩    
無差別となる群衆のシルエット 山梨県 加藤当白
(佳)むさし    
流木が横たわってる膝がしら 兵庫県 坪井篤子
(佳)ちえみ    
黒鍵はもうたそがれてゆく兆し 大阪府 雨森茂喜
(佳)康浩    
時系列を縛るイカスミのパスタ 京都府 森田律子
(佳)れいこ    
蟻追って逆光の子は遠くなる 愛知県 青砥和子
(佳)由紀子    
#2018■■■■■■■■■■■□ 愛媛県 中西 亜
(佳)ちえみ    
茄子を焼く原子炉どうなってるのかな 青森県 斎藤早苗
(佳)れいこ    
へいせいがしばられて金庫にしまわれて 愛媛県 中西 亜
(佳)政二    
ただ黒は白を愛したかっただけ 福岡県 もり ともみち
(佳)むさし    
まあいいか背黒鰯にされちゃった 青森県 坂本清乃
(佳)康浩    
金髪でうたってならぬヨイトマケの唄 北海道 木暮健一
(佳)康浩    
黒いです本能消した充電器 東京都 星出冬馬
(佳)れいこ    
ほんのりと・みを帯びて 風土性 北海道 木暮健一
(佳)政二    
何もかも承知で父は黒でいる 福井県 奥村美枝子
(佳)由紀子    
おひかえなすって右太ももの黒揚羽 島根県 石橋芳山
(佳)ちえみ    
ゴチックが急に襲ってくるのです 愛知県 安藤なみ
(佳)れいこ    
日蝕のゆらぎの闇になでられる 大阪府 小川佳恵
(佳)政二    
時代から取り残された黒である 和歌山県 木本朱夏
(佳)康浩    
日焼けした頬これからも信じるよ 京都府 和田洋子
(佳)由紀子    
月光に影 ん 黒子ではないか 石川県 岡本 聡
(佳)康浩    
アンタはアンタやと陀羅尼助が黒い 滋賀県 峯 裕見子
(佳)政二    
どうってことないと言い切ってからの黒 東京都 伊藤こうか
(佳)康浩    
いただいた朝にもちゃんといる鴉 青森県 岩崎眞里子
(佳)政二    
頼ったり頼られたりとつく焦げ目 青森県 熊谷冬鼓
(佳)むさし    
悲しみを笑いに変えてきたホクロ 岩手県 鷹嘴閲雄
(佳)政二    
もう少しで黒になります大人です 岩手県 熊谷岳朗
(佳)由紀子    
叩いても叩いてもファソラのシャープ 愛媛県 郷田みや
(佳)ちえみ    
切札の泣き黒子なんぞおまへんね 滋賀県 村井隆行
(佳)政二    
描けるかな黒が不在の絵の具箱 三重県 山口亜都子
(佳)康浩    
泣きそうを閉じ込めているジェットのピアス 京都府 竹内知子
(佳)政二    
温い話をたっぷり聞いた黒電話 大阪府 本多洋子
(佳)政二    
黒は黒白は白です南無阿弥陀 青森県 稲見則彦
(佳)れいこ    
ハンカチに包んだ黒が滲み出す 京都府 西田雅子
(佳)由紀子    
黒板は緑になった 痒くなる 福井県 酒井暁美
(佳)ちえみ    
引き金はたしかに黒いチューリップ 愛媛県 吉松澄子
(佳)むさし    
引き波のにおいは底のない闇夜 大阪府 宮井いずみ
(佳)れいこ    
家系図に黒毛和牛とありました 鳥取県 斉尾くにこ
(佳)ちえみ    
やわらかい洞窟に入ってくる岬 青森県 守田啓子
(佳)康浩    
おあつらえそこに包丁ありました 青森県 ・橋せい子
(佳)れいこ    
並んだ背の同じ黒ではない喪服 兵庫県 坪井篤子
(佳)由紀子    
どよめきの漆黒になるまで 湾に 宮城県 勝又明城
(佳)ちえみ    
黒紋付の案山子一体用意する 兵庫県 杉浦まりこ
(佳)むさし    
黒塗りの文書に白い闇がある 北海道 松木 秀
(佳)政二    
百歳まで生き抜く黒の無重力 岡山県 小林茂子
(佳)むさし    
黥面文身鼻の穴から蕎麦の花 青森県 小野五郎
(佳)康浩    
泣き黒子お天道様にあるらしい 高知県 森乃鈴
(佳)ちえみ    
黒よりも淋しい夜のマンドリン 和歌山県 木本朱夏
(佳)むさし    
ああ見えて肚黒だったんだ ススキ 大阪府 上嶋幸雀
(佳)政二    
いつの日か笑い飛ばしてみたい黒 埼玉県 野邊富優葉
(佳)由紀子    
生意気なミック・ジャガーのヘアヌード 青森県 須藤しんのすけ
(佳)康浩    
黒猫を抱いて彦乃になる今宵 石川県 石倉多美子
(佳)れいこ    
白黒をつけて安眠豆もやし 青森県 小山田英子
(佳)政二    
踊りましょ黒い夢の中でまた 京都府 蟹口 和枝
(佳)由紀子    
ガラケーと言うからスマホは黒である 滋賀県 村井隆行
(佳)れいこ    
ブラックコーヒー綾織の時間の 福井県 みつ木もも花
(佳)由紀子    
アクリルが発情したらしい 黒い 青森県 小野五郎
(佳)由紀子    
ウルトラマン諦め黒蜥蜴になった 新潟県 星井五郎
(佳)ちえみ    
敵ながらいい味を出す黒砂糖 愛媛県 大葉美千代
(佳)むさし    
黒々と塗り潰してもまだ私 青森県 ひとは
(佳)れいこ    
黒い影をたたむ 一日の終わり 兵庫県 山元三恵子
(佳)由紀子    
黒猫の尻尾ひょるひょる催眠術 長野県 樹萄らき
(佳)康浩    
墨吐いて生き延びるイカ介護一 愛媛県 重岡薫
(佳)由紀子    
ゴドー待つ 取ってみようか泣き黒子 静岡県 米山明日歌
(佳)ちえみ    
腕まくりしている黒に賭けている 長野県 小池孝一
(佳)むさし    
蜥蜴にも揚羽蝶にもなる喪服 静岡県 渡辺遊石
(佳)康浩    
モノクロのひまわり友達幻想 愛媛県 高橋こう子
(佳)れいこ    
三毛は一途に憧れているクロネコヤマト 大阪府 田口和代
(佳)政二    
白いところも黒いところもある身体 滋賀県 安井 茂樹
(佳)康浩    
輪郭が薄いよ黒を飲みなさい 青森県 佐藤 雅秀
(佳)れいこ    
排水口もブラック・ホールも情報過多 香川県 嶋村幸
(佳)むさし    
逃げ込んだ夜の扉が開く音 青森県 綿谷夕雨子
(佳)康浩    
真夜中のシンガーミシン亡母の音 大阪府 能登和子
(佳)由紀子    
礼服に殺虫剤が吹き溜まる 東京都 伊藤三十六
(佳)むさし    
だんごむしだったアイドリングだった 熊本県 いわさき楊子
(佳)康浩    
柔らかな黒はまどろむトルメキア 愛知県 猫田千恵子
(佳)れいこ    
年齢不詳の男から焦げ目 青森県 奈良一艘
(佳)政二    
夢二の黒猫きっと男でしょう 愛媛県 三宅淳子
(佳)むさし    
青空を飛びつづけてもまだカラス 三重県 小川はつこ
(佳)康浩    
入り口に美輪明宏の黒蜥蜴 静岡県 米山明日歌
(佳)政二    
黒から生まれ黒に還ってゆくんだね 京都府 蟹口 和枝
(佳)ちえみ    
黒髪を失ってから放し飼い 大阪府 能登和子
(佳)むさし    
黒を拾ってからのでこぼこの道 福井県 みつ木もも花
(佳)康浩    
嫁ぐ子へ兵糧丸の作り方 埼玉県 野邊富優葉
(佳)れいこ    
天の川やる気スイッチ紛失中 秋田県 一帆
(佳)政二    
何もないから黒く塗ることになる 滋賀県 村片芳子
(佳)ちえみ    
きっぱりと言おう わたしは黒胡麻だ 京都府 谷口文
(佳)むさし    
蛇口から黒い噂さがぽとりぽとり 青森県 稲見則彦
(佳)政二    
人愛すたびにわたしは焦げてゆく 岩手県 熊谷岳朗
(佳)由紀子    
一億二千万年過ぎてシダの黒光る 大阪府 井上文子
(佳)むさし    
しらす干し億の目玉に億の海 宮城県 渡辺忠一
(佳)康浩    
支配者はハシブトさんとハシボソさん 青森県 濱山哲也
(佳)むさし    
ゆらゆらとひと息ついて黒になる 京都府 佐藤 暁音
(佳)れいこ    
違いますアンタの黒とオレの黒 奈良県 中村せつこ
(佳)由紀子    
正露丸の黒とカラスの黒の差 兵庫県 河内谷恵
(佳)康浩    
愛憎のすべてをチャラにして喪服 青森県 吉田吹喜
(佳)むさし    
ゾゾタウンのゾゾは妖しい黒子だな 愛知県 明名蝶

応募者ご芳名

【北海道Α
岩間啓子・木暮健一・澤野優美子・浪越靖政・松木 秀・嶺岸柳舟
【青森県(52)】
石澤はる子・稲見則彦・井上健蔵・岩崎眞里子・尾上 宏・小野五郎・小山田英子・かほる・きさらぎ彼句吾・熊谷冬鼓・香田龍馬・斎藤早苗・斉藤ふみ子・坂本清乃・笹田かなえ・笹田隆志・佐藤雅秀・佐藤 武・沢田百合子・滋野さち・須藤しんのすけ・・・霜石・・橋せい子・・森一呑・瀧尻善英・千葉風樹・辻井洋子・辻口風来坊・土田雅子・中村誠子・夏草ふぶき・奈良一艘・成田我楽・鳴海賢治・にじの真美・野里風情・則田 椿・濱山哲也・ひとは・福多あられ・まきこ・まみどり・三浦蒼鬼・南山藤花・村井規子・村上あつこ・守田啓子・??田州花・吉田吹喜・渡邊こあき・渡邊寂隆・綿谷夕雨子
【岩手県ァ
加差野静浪・熊谷岳朗・鷹嘴閲雄・田中苑子・徳田ひろ子
【宮城県ァ
浮 千草・勝又明城・須川柊子・月波与生・渡辺忠一
【秋田県ぁ
赤石ゆう・一帆・佐々木智恵子・田久保亜蘭
【山形県 
伊東マコ
【茨城県 
岡本 恵
【埼玉県◆
巌窟王・野邊富優葉
【千葉県◆
津田 暹・老沼正一
【東京都】
飯島章友・伊藤三十六・伊藤こうか・上原 稔・上村 脩・とがしのりこ・中島かよ・星出冬馬・柳本々々・山田こいし
【神奈川県】
岡田弘子・加藤ゆみ子・芝岡勘右衛門
【新潟県ァ
新井笑葉・塩田悦子・谷沢けい子・夏井せいじ・星井五郎
【石川県А
石倉多美子・岡本 聡・奥野とみ子・表よう子・藤村容子・松谷早苗・宮田喜美子
【福井県ぁ
天谷由紀子・奥村美枝子・酒井暁美・みつ木もも花
【山梨県 
加藤当白
【長野県ぁ
興津幸代・小池孝一・樹萄らき・丸山健三
【静岡県Α
句ノ一・佐野由利子・中前棋人・水品団石・米山明日歌・渡辺遊石
【愛知県粥
青砥和子・明名 蝶・安藤なみ・伊賀武久・稲垣康江・今村美根子・神谷良子・川崎敏明・佐治光明・高田桂子・瀧村小奈生・中川喜代子・猫田千恵子・林 泰行・古橋文子・前田ゆうこ・松長一歩・三好光明・安井紀代子・吉田修三
【三重県ぁ
青砥たかこ・小川はつこ・小河柳女・山口亜都子
【滋賀県】
大谷のり子・大橋啓子・片山美津子・北村幸子・重森恒雄・嶌清五郎・鈴木紀子・立岡詩織・畑山美幸・原 茂幸・松延博子・峯裕見子・村井隆行・村片芳子・安井茂樹
【京都府】
岩根彰子・内田真理子・蟹口和枝・河村啓子・北原照子・木戸利枝・佐藤暁音・竹内知子・谷口 文・西田雅子・森田律子・山本知佳子・行田秀生・和田洋子
【大阪府(24)】
浅井ゆず・雨森茂喜・井上文子・上嶋幸雀・オカダキキ・小川佳恵・小原由佳・笠嶋恵美子・川田由紀子・久保田清美・里山はるえ・嶋澤喜八郎・田口和代・竹井紫乙・谷口義・次井義泰・寺川弘一・道家えい子・能登和子・平井美智子・弘津秋の子・本多洋子・宮井いずみ・夕 凪子
【兵庫県】
河内谷恵・小林みちよ・杉浦まりこ・妹尾 凛・田村ひろ子・坪井篤子・中西南子・濱邉稲佐嶽・宮沢 青・村井広子・八上桐子・山元三恵子
【奈良県ァ
安土理恵・太田のりこ・きむらまさこ・中村せつこ・ひとり静
【和歌山県】
木本朱夏・小藪豊喜・三宅保州
【鳥取県◆
斉尾くにこ・平尾正人
【島根県 
石橋芳山
【岡山県А
木下草風・小林茂子・近藤朋子・しばたかずみ・永見心咲・福力明良・藤井智史
【広島県 
笹重耕三
【徳島県 
徳長 怜
【香川県 
嶋村 幸
【愛媛県(25)】
青野 舞・大内せつ子・大西 進・大葉美千代・越智トシ子・鎌倉俊一・郷田みや・重岡 薫・仙波草苑・高橋こう子・田中なお・土居新山・中西 亜・西村寛子・能田勝利・星野美根子・堀 遊子・本田醇子・三宅淳子・村山浩吉・山内房子・山之内さち枝・山本 毅・吉原美佐・吉松澄子
【高知県ァ
大野美恵・小野善江・立花末美・萩原良子・森乃 鈴
【福岡県ぁ
大庭堅司・柴田美都・城後朱美・もりともみち
【佐賀県 
真島久美子
【熊本県◆
いわさき楊子・阪本ちえこ
【鹿児島県 
平瀬芙蓉
【沖縄県◆
渡嘉敷唯正・森山文切

計268名

徳永政二 選(とくながせいじ・滋賀県・びわこ番傘川柳会所属)
佳作44 逆光のひまわり一本ふり返る 滋賀県 北村幸子
佳作43 影法師畳めばほんの一握り 大阪府 里山はるえ
佳作42 黙り込むみんな黒には恩があり 大阪府 小原由佳
佳作41 人愛すたびにわたしは焦げてゆく 岩手県 熊谷岳朗
佳作40 何もないから黒く塗ることになる 滋賀県 村片芳子
佳作39 黒から生まれ黒に還ってゆくんだね 京都府 蟹口 和枝
佳作38 夢二の黒猫きっと男でしょう 愛媛県 三宅淳子
佳作37 黒豆になってかすれて行きました 大阪府 谷口義
佳作36 わたしだとわかる黒子が一つある 滋賀県 安井 茂樹
佳作35 白いところも黒いところもある身体 滋賀県 安井 茂樹
佳作34 黒のこと抱きしめてみてしたたるから 三重県 山口亜都子
佳作33 黒で書く本音と黒で消す本音 佐賀県 真島久美子
佳作32 安らかに眠りなさいと黒がくる 長野県 小池孝一
佳作31 もうちょっと黒になったら入れたげる 兵庫県 村井広子
佳作30 「ん」の続きあるので点をうたないで 青森県 中村誠子
佳作29 踊りましょ黒い夢の中でまた 京都府 蟹口 和枝
佳作28 いつの日か笑い飛ばしてみたい黒 埼玉県 野邊富優葉
佳作27 春の野の黒い帽子のひとになる 滋賀県 重森恒雄
佳作26 百歳まで生き抜く黒の無重力 岡山県 小林茂子
佳作25 叱られて小さな黒い点になる 長野県 興津幸代
佳作24 八月のぬり絵に黒をよく使う 新潟県 塩田悦子
佳作23 黒は黒白は白です南無阿弥陀 青森県 稲見則彦
佳作22 温い話をたっぷり聞いた黒電話 大阪府 本多洋子
佳作21 描けるかな黒が不在の絵の具箱 三重県 山口亜都子
佳作20 もう少しで黒になります大人です 岩手県 熊谷岳朗
佳作19 頼ったり頼られたりとつく焦げ目 青森県 熊谷冬鼓
佳作18 どうってことないと言い切ってからの黒 東京都 伊藤こうか
佳作17 玄関に揃えてあげる今日の黒 徳島県 徳長 怜
佳作16 時代から取り残された黒である 和歌山県 木本朱夏
佳作15 何もかも承知で父は黒でいる 福井県 奥村美枝子
佳作14 黒鍵のすきまに鳥がいた昨日 北海道 澤野優美子
佳作13 ただ黒は白を愛したかっただけ 福岡県 もり ともみち
佳作12 つれづれなるままに黒ずみましょうよ 東京都 伊藤こうか
佳作11 大人でも子供でもなく黒さとう 青森県 笹田かなえ
佳作10 水辺へと手負いの黒をつれてゆく 徳島県 徳長 怜
佳作9 ファブリーズするドラキュラの黒マント 愛知県 今村美根子
佳作8 黒の中へ消えてゆくのは痛くない 滋賀県 畑山美幸
佳作7 暗闇で握った黒が生温い 新潟県 星井五郎
佳作6 影が通ります生まれ変わります 京都府 和田洋子
佳作5 別室の黒羊羹はどうなるの 愛媛県 吉松澄子
佳作4 あきらめの悪い私の中の黒 福井県 天谷由紀子
佳作3 走ったら追い越せたかも知れぬ黒 愛知県 前田ゆうこ
佳作2 こうみえて黒はけっこうおひとよし 高知県 萩原良子
佳作1 おもしろい黒になるまでかき混ぜる 秋田県 佐々木 智恵子
       
秀逸5 水たまり見つめ続けているカラス 奈良県 ひとり静
秀逸4 日常をうまい具合になぞる黒 秋田県 佐々木 智恵子
秀逸3 はつこいの学生服にあっホタル 福岡県 柴田美都
秀逸2 ときどきは白に相談してる黒 京都府 西田雅子
秀逸1 想像をふくらませよと黒が言う 石川県 宮田喜美子
       
特選 黒がいい もう充分に生きたから 宮城県 須川柊子

選評

 今回の選は、黒、黒、黒の毎日だった。もう黒について書くことはないのではと思 えるほどであった。
 黒にこだわり、黒を考え、黒との挌闘であっただろう。
 そして、集まった530句、ありがたいことだと思う。

【秀逸】
水たまり見つめ続けているカラス

 「水たまり」と「カラス」の取り合わせ が新鮮。そして、「カラス」を作者自身と 読めば、「水たまり」の想像がひろがり、 おもしろい。

日常をうまい具合になぞる黒
 長く生きているとだんだん黒くなってく る。だから、その日常に合わせて生きる方 が楽。
 「なぞる黒」、やはり黒には黒である。

はつこいの学生服にあっホタル
 「はつこい」のひらがな表記もいいが、 そのことより、学生服の黒に浮かんでは消 える「ホタル」がいい。
 「あっ」が生きている。

ときどきは白に相談してる黒
 強そうに見えている黒は、実はそうでは なく、「どうしたらいいのか」と、これか らをこっそり白に相談しているのである。
 川柳のユーモア。

想像をふくらませよと黒が言う
 思わず「ハイ、そうします」と言ってし まいそうな黒の存在感。
 黒だからこそ想像をふくらませることができ、黒だからこそ成り立つ。
 まいったなあと思う。

【特選】
黒がいい もう充分に生きたから

 作者の現在の気持ちがそのまま伝わって くる。この「充分」を実感として読ませて いただいた。
 いろいろなことが込められている人生。 そう思うと味わい深い。

 

 題詠がいいか、雑詠がいいかの問題はあるが、競い合うということでは題詠だし、 残る句にこだわるならやはり雑詠だろう。
しかし、今回の選考、題詠であることを あまり意識しないで選ばせていただいた。
作り込んだ句の競い合いではなく、作者の個性を感じる句であってほしいと思う。

なかはられいこ 選(なかはられいこ・岐阜県・ねじまき句会所属)
佳作44 こうみえて黒はけっこうおひとよし 高知県 萩原良子
佳作43 違いますアンタの黒とオレの黒 奈良県 中村せつこ
佳作42 影が通ります生まれ変わります 京都府 和田洋子
佳作41 由緒正しい黒で鵺など棲まわせる 奈良県 太田のりこ
佳作40 天の川やる気スイッチ紛失中 秋田県 一帆
佳作39 クロネコの尻尾を踏んで待たせてる 千葉県 老沼正一
佳作38 年齢不詳の男から焦げ目 青森県 奈良一艘
佳作37 逆光のひまわり一本ふり返る 滋賀県 北村幸子
佳作36 排水口もブラック・ホールも情報過多 香川県 嶋村幸
佳作35 三毛は一途に憧れているクロネコヤマト 大阪府 田口和代
佳作34 父さんのピースのにおい黒電話 愛知県 今村美根子
佳作33 黒い影をたたむ 一日の終わり 兵庫県 山元三恵子
佳作32 安らかに眠りなさいと黒がくる 長野県 小池孝一
佳作31 ブラックコーヒー綾織の時間の 福井県 みつ木もも花
佳作30 ロボットと黒い接吻して暮らす 青森県 井上健蔵
佳作29 白黒をつけて安眠豆もやし 青森県 小山田英子
佳作28 喪服着て全部なかったことにする 愛媛県 吉原美佐
佳作27 あの日見た父はかすれたバーコード 大阪府 浅井ゆず
佳作26 影法師畳めばほんの一握り 大阪府 里山はるえ
佳作25 並んだ背の同じ黒ではない喪服 兵庫県 坪井篤子
佳作24 家系図に黒毛和牛とありました 鳥取県 斉尾くにこ
佳作23 ハンカチに包んだ黒が滲み出す 京都府 西田雅子
佳作22 暗闇で松崎しげるに並ばれる 愛知県 林泰行
佳作21 梟の閨にふたご座流星群 岩手県 徳田ひろ子
佳作20 黒板をかつぎ退職いたします 静岡県 句ノ一
佳作19 堕天使、チャリで向かってるっていま 兵庫県 宮沢青
佳作18 ともすれば舌から黒くなりますよ 神奈川県 岡田 弘子
佳作17 許します潜水艦になりなさい 青森県 まみどり
佳作16 日蝕のゆらぎの闇になでられる 大阪府 小川佳恵
佳作15 ほんのりと・みを帯びて 風土性 北海道 木暮健一
佳作14 春の野の黒い帽子のひとになる 滋賀県 重森恒雄
佳作13 へいせいがしばられて金庫にしまわれて 愛媛県 中西亜
佳作12 蟻追って逆光の子は遠くなる 愛知県 青砥和子
佳作11 八咫烏マークシートな歩き方 愛知県 中川喜代子
佳作10 おもしろい黒になるまでかき混ぜる 秋田県 佐々木智恵子
佳作9 会釈するブラックアウトしたままで 佐賀県 真島久美子
佳作8 玄関に揃えてあげる今日の黒 徳島県 徳長 怜
佳作7 「ん」の続きあるので点をうたないで 青森県 中村誠子
佳作6 ミルク飲む 少しグレーになって寝る 青森県 吉田吹喜
佳作5 黒のこと抱きしめてみてしたたるから 三重県 山口亜都子
佳作4 あやしくやさしいコウモリ傘になる 京都府 谷口文
佳作3 淋しくて笑う 前歯に海苔付けて 石川県 松谷早苗
佳作2 Tシャツ黒だとなんか落ち着くわ 滋賀県 立岡詩織
佳作1 刑に処す全部32分音符 山梨県 加藤 当白
       
秀逸5 黒でいるための水深五メートル 鳥取県 平尾正人
秀逸4 叱られて小さな黒い点になる 長野県 興津幸代
秀逸3 天啓と水羊羹の舌ざわり 秋田県 赤石ゆう
秀逸2 魂はどこだとQRコードかざす 京都府 河村啓子
秀逸1 コーヒーはブラック的な漢和辞典 東京都 飯島章友
       
特選 黒鍵のすきまに鳥がいた昨日 北海道 澤野優美子

選評

 今年の題は「黒」だった。黒と言えば、黒星、黒魔術、黒歴史などなど。マイナスイメージが漏れなくついてくる。なので、比喩として使う場合、そういった通念とは違うことを書かねばならない。だって川柳なんだから。ここは逆にプラスのイメージを纏わせてみようか、とがんばってしまう。いや、だけどそれ、違うんじゃないかと思う。だって、マイナスをプラスに転換することは同じ「ものさし」を使ってるってことに他ならない。
 だいじなのはその「ものさし」を手放すことじゃないかな、と。

【特選】
黒鍵のすきまに鳥がいた昨日

 「すきま」があれば覗きたくなり、「裏」があればめくってみたくなる。人は潜むものに魅了される生きものなのだ。
 この鳥は音の喩だと思った。黒鍵を叩くと小さな鳥が音となって飛び立つ。半音低く、あるいは半音高く。今日は見つけられなかったけれど、明日はまた小さな鳥と遭遇できるかもしれない。
 どんなすきまにも鳥はいる。音であったり、言葉であったりするものが鳥にかたちを変えて、だれかに見つけてほしがっているのだ。
 というのがわたしの解釈だけど、内容だけではなく、いちばん強く惹かれたのはこの作品が纏っている空気感なのである。詩的だけど甘すぎず、昨日とあるけど懐古的ではない。清澄な空気を深く吸い込みたくなる一句だった。

【秀句】
コーヒーはブラック的な漢和辞典

 「的な」の部分はぜひ語尾上げで読んでほしい。
 「コーヒーはブラック的」とはどんな「的」なのだろう。コーヒーにはちょっとうるさい的なオーラを全身から発している人が、ミルクや砂糖をほとんど小ばかにしたような態度を示す的な、そんな漢和辞典なのである。
 わかるわー、と思った作品。

樋口由紀子 選(ひぐちゆきこ・兵庫県・「晴」所属)
佳作44 黒星3つ残り12はややややや 愛知県 伊賀武久
佳作43 正露丸の黒とカラスの黒の差 兵庫県 河内谷恵
佳作42 ガラガラポン落ちてきたのはルドンの眼 岡山県 小林茂子
佳作41 一億二千万年過ぎてシダの黒光る 大阪府 井上文子
佳作40 旧姓と向き合うブラックコーヒー 広島県 笹重耕三
佳作39 ひょいと手を伸ばすと戦争につきあたる 青森県 ・・霜石
佳作38 黒い向日葵あの子隠していませんか 高知県 萩原良子
佳作37 礼服に殺虫剤が吹き溜まる 東京都 伊藤三十六
佳作36 別室の黒羊羹はどうなるの 愛媛県 吉松澄子
佳作35 八咫烏マークシートな歩き方 愛知県 中川喜代子
佳作34 ゴドー待つ 取ってみようか泣き黒子 静岡県 米山明日歌
佳作33 黒猫の尻尾ひょるひょる催眠術 長野県 樹萄らき
佳作32 ウルトラマン諦め黒蜥蜴になった 新潟県 星井五郎
佳作31 アクリルが発情したらしい 黒い 青森県 小野五郎
佳作30 ガラケーと言うからスマホは黒である 滋賀県 村井隆行
佳作29 あっちっちダルメシアンの黒いとこ 青森県 笹田かなえ
佳作28 生意気なミック・ジャガーのヘアヌード 青森県 須藤しんのすけ
佳作27 ともすれば舌から黒くなりますよ 神奈川県 岡田 弘子
佳作26 天啓と水羊羹の舌ざわり 秋田県 赤石ゆう
佳作25 どよめきの漆黒になるまで 湾に 宮城県 勝又明城
佳作24 刑に処す全部32分音符 山梨県 加藤 当白
佳作23 黒板は緑になった 痒くなる 福井県 酒井暁美
佳作22 ブラックペッパー何者だったのか 大阪府 谷口義
佳作21 想像をふくらませよと黒が言う 石川県 宮田喜美子
佳作20 叩いても叩いてもファソラのシャープ 愛媛県 郷田みや
佳作19 黒豆になってかすれて行きました 大阪府 谷口義
佳作18 八月のぬり絵に黒をよく使う 新潟県 塩田悦子
佳作17 月光に影 ん 黒子ではないか 石川県 岡本聡
佳作16 ファブリーズするドラキュラの黒マント 愛知県 今村美根子
佳作15 おひかえなすって右太ももの黒揚羽 島根県 石橋芳山
佳作14 思い出はイカスミだって恥ずかしい 愛知県 明名蝶
佳作13 喪服着て全部なかったことにする 愛媛県 吉原美佐
佳作12 #2018■■■■■■■■■■■□ 愛媛県 中西亜
佳作11 もうちょっと黒になったら入れたげる 兵庫県 村井広子
佳作10 日常をうまい具合になぞる黒 秋田県 佐々木智恵子
佳作9 コーヒーはブラック的な漢和辞典 東京都 飯島章友
佳作8 許します潜水艦になりなさい 青森県 まみどり
佳作7 由緒正しい黒で鵺など棲まわせる 奈良県 太田のりこ
佳作6 黒板をかつぎ退職いたします 静岡県 句ノ一
佳作5 火縄銃に込める丹波の黒豆 岡山県 木下草風
佳作4 つれづれなるままに黒ずみましょうよ 東京都 伊藤こうか
佳作3 そのままそのまま 進行形の黒 愛媛県 能田勝利
佳作2 泣きじゃくろうチクろうタクろう中目黒 東京都 飯島章友
佳作1 春の野の黒い帽子のひとになる 滋賀県 重森恒雄
       
秀逸5 漆黒を宇宙くじらに隠そうか 兵庫県 妹尾凛
秀逸4 梟の都合で闇が白くなる 青森県 三浦 蒼鬼
秀逸3 おんもまっくらぐーぐるしゃんくるよ 京都府 内田真理子
秀逸2 おもしろい黒になるまでかき混ぜる 秋田県 佐々木智恵子
秀逸1 黒文字で五大老に切り分ける 愛知県 中川喜代子
       
特選 イマジンを聞きながら黒になる切手 高知県 大野美恵

選評

イマジンを聞きながら黒になる切手

「イマジン」とは「想像する」「思い浮かべる」「心に描く」を意味する。ジョン・レノンの楽曲で有名で英語はわからなくても少し口ずさめる。平和と人類愛の歌で、「黒になる」でちょっと理が勝っているかなと思ったが、「切手」である。誰かに伝えようとしているものがある。「イマジン」から「切手」に流れがあり、関係性の付け方が独自だと思った。

黒文字で五大老に切り分ける

「五大老」とは豊臣秀吉が五奉行の上に置いた政権の最高機関。その最高権力者たちに切り分けるという。それも「黒文字」でである。クスノキ科の落葉低木ではなく、それで作られた茶菓子用の「つまようじ」のことだろう。五大老を羊羹と同じ扱いのようで形無しである。諧謔がある。

おもしろいこと黒になるまでかき混ぜ

「おもしろいこと」が「黒になる」とはどういうものだろうか。まだ「白」や「赤」ならわかりそうな気もするが「黒」である。意地悪いことも考えたが、それはないと思って、かき混ぜる行為をユーモアに捉えた。

おんもまっくらぐーぐるしゃんとくるよ

呪文みたいな一句である。無理に読み解いて、「外は真っ暗でもグーグルで正しく整理されるよ」かなのかと思ったが、しっくりはこない。意味はどうでもいいのだろう思うことにした。韻律のマジックに惹かれた。

梟の都合で闇が白くなる

時事川柳として読んだ。言われてみれば、彼の人は「梟」に似ている。「政策」でも「思想」でもなく、単に個人的な「都合」で、「闇」だって「白」にしてしまう。

漆黒を宇宙くじらに隠そうか

「宇宙くじら」を調べたがいまいちよくわからなかった。でも、この言葉で一句を作ったことに感心した。「漆黒」は「暗黒」や「暗闇」ではなく、光沢のある、つやつやしている良い方の黒だと思って、その発想に驚いた。

 私が知っていることより世間で言われていることや見慣れていることよりも、私の知らない、私と違う発想の川柳を読んでみたい。読んで安心するよりは読んで不安になるぐらいのものを川柳で見てみたいと思っている。

広瀬ちえみ 選(ひろせちえみ・宮城県・杜人所属)
佳作44 わたしだとわかる黒子が一つある 滋賀県 安井 茂樹
佳作43 黒飴をひとつもらって別れたが 宮城県 浮千草
佳作42 前頭葉から黒百合咲いたって 愛媛県 大内せつ子
佳作41 ブラックペッパー何者だったのか 大阪府 谷口義
佳作40 きっぱりと言おう わたしは黒胡麻だ 京都府 谷口文
佳作39 黒髪を失ってから放し飼い 大阪府 能登和子
佳作38 ミルク飲む 少しグレーになって寝る 青森県 吉田吹喜
佳作37 思い出はイカスミだって恥ずかしい 愛知県 明名蝶
佳作36 コーヒーはブラック的な漢和辞典 東京都 飯島章友
佳作35 会釈するブラックアウトしたままで 佐賀県 真島久美子
佳作34 腕まくりしている黒に賭けている 長野県 小池孝一
佳作33 帯は黒 立ちどまってはいられない 兵庫県 田村ひろ子
佳作32 敵ながらいい味を出す黒砂糖 愛媛県 大葉美千代
佳作31 ロボットと黒い接吻して暮らす 青森県 井上健蔵
佳作30 おもしろい黒になるまでかき混ぜる 秋田県 佐々木智恵子
佳作29 許します潜水艦になりなさい 青森県 まみどり
佳作28 ともすれば舌から黒くなりますよ 神奈川県 岡田 弘子
佳作27 黒よりも淋しい夜のマンドリン 和歌山県 木本朱夏
佳作26 こうみえて黒はけっこうおひとよし 高知県 萩原良子
佳作25 黒紋付の案山子一体用意する 兵庫県 杉浦まりこ
佳作24 やわらかい洞窟に入ってくる岬 青森県 守田啓子
佳作23 引き金はたしかに黒いチューリップ 愛媛県 吉松澄子
佳作22 走ったら追い越せたかも知れぬ黒 愛知県 前田ゆうこ
佳作21 刑に処す全部32分音符 山梨県 加藤 当白
佳作20 切札の泣き黒子なんぞおまへんね 滋賀県 村井隆行
佳作19 もうちょっと黒になったら入れたげる 兵庫県 村井広子
佳作18 泣きじゃくろうチクろうタクろう中目黒 東京都 飯島章友
佳作17 大人でも子供でもなく黒さとう 青森県 笹田かなえ
佳作16 黙り込むみんな黒には恩があり 大阪府 小原由佳
佳作15 ゴチックが急に襲ってくるのです 愛知県 安藤なみ
佳作14 火縄銃に込める丹波の黒豆 岡山県 木下草風
佳作13 おんもまっくらぐーぐるしゃんくるよ 京都府 内田真理子
佳作12 茄子を焼く原子炉どうなってるのかな 青森県 斎藤早苗
佳作11 黒鍵はもうたそがれてゆく兆し 大阪府 雨森 茂喜
佳作10 ガラガラポン落ちてきたのはルドンの眼 岡山県 小林茂子
佳作9 黒鍵のすきまに鳥がいた昨日 北海道 澤野優美子
佳作8 黒でいるための水深五メートル 鳥取県 平尾正人
佳作7 玄関に揃えてあげる今日の黒 徳島県 徳長 怜
佳作6 黒文字で五大老に切り分ける 愛知県 中川喜代子
佳作5 困ったものよ仄暗いのが出て行かぬ 愛媛県 能田勝利
佳作4 堕天使、チャリで向かってるっていま 兵庫県 宮沢青
佳作3 こすったらアカン黒白つけるまで 岡山県 木下草風
佳作2 墨を磨る 絹を一枚ずつ脱がせ 青森県 千葉風樹
佳作1 天啓と水羊羹の舌ざわり 秋田県 赤石ゆう
       
秀逸5 つれづれなるままに黒ずみましょうよ 東京都 伊藤こうか
秀逸4 何だろう黒いおつりを貰ったよ 福井県 天谷由紀子
秀逸3 お父ちゃん濡れたら泥に戻れるで 滋賀県 北村幸子
秀逸2 暗闇で松崎しげるに並ばれる 愛知県 林泰行
秀逸1 黒のこと抱きしめてみてしたたるから 三重県 山口亜都子
       
特選 別室の黒羊羹はどうなるの 愛媛県 吉松澄子

選評

 集句には喪服をはじめ、葬や死のイメージで作られた作品が多かったように思う。「黒」にはすでに意味が貼りついており、それをどう崩して作品化するか、難しさがあったのではないだろうか。破天荒な黒に会いたかったが、私が選句した作品も黒の既成概念からあまりはみ出していない気がする。特選にはずいぶん悩んだ。

黒のこと抱きしめてみてしたたるから

別室の黒羊羹はどうなるの

 この二つに最後まで悩んだ。
 「黒のこと」の「黒」は何だろう。まさか猫ではつまらないし、いやそれでもいいのだが、ぎゅっとしたら黒い雫が滴るような黒、何ともいいようのない深い黒なのだろう。
 妖艶さがあり魅力的な作品だったが、「したたるから」に最近(最近でなければ選んだかもしれない)、似たような句をみたような既視感がありどうしてもとれなかった。
 「黒羊羹」はただの羊羹でありながら、自在な読みができた。羊羹であって羊羹でない読みもできる。大らかさととぼけた感があり、読者を自由にしてくれる。通りがかりにチラッと見えた、旨そうな羊羹は決して自分のところには来ないと分かっているのだが、気になって仕方がない。
 まるで処刑されるように切り分けられ、いったい誰が羊羹のすべてを処理するのか。ただの羊羹が「別室」という言葉と出会ったことで、ミステリーになった。別室ではいつも事件が起きている。そして黒羊羹の必然性を感じた。抹茶羊羹や栗羊羹では話にならない。やはり「黒」には生まれながらの気品とミステリアスなイメージがあるのだ。

暗闇で松崎しげるに並ばれる

  日焼けした暑苦しい(失礼)顔で「愛のメモリー」を情熱的に歌う松崎しげるが隣にいたら、むんむんとした闇になるだろう。松崎しげるのことは他に何も知らないが、おかしい「黒」になり体温の高い闇になった。「黒」のイメージをうまくひっくり返しており、お手柄である。

お父ちゃん濡れたら泥に戻れるで

 夫婦の泥人形を思いうかべた。まるで夫婦漫才をやっているような雰囲気を持っている。こんなところで飾られているのは退屈でしかたがないのだ。自由って泥になることだ!
 「お父ちゃん、今度雨が降ったら、何とかして這ってでも外へ行こう」とひそひそ語り合う泥人形。泥はあらゆるものの原点だ。そこへ帰りたがっている泥人形なのである。

小林康浩選(こばやしやすひろ・大阪府・第22回杉野十佐一賞受賞)
佳作44 愛憎のすべてをチャラにして喪服 青森県 吉田吹喜
佳作43 黒星3つ残り12はややややや 愛知県 伊賀武久
佳作42 支配者はハシブトさんとハシボソさん 青森県 濱山哲也
佳作41 ときどきは白に相談してる黒 京都府 西田雅子
佳作40 嫁ぐ子へ兵糧丸の作り方 埼玉県 野邊富優葉
佳作39 入り口に美輪明宏の黒蜥蜴 静岡県 米山明日歌
佳作38 柔らかな黒はまどろむトルメキア 愛知県 猫田千恵子
佳作37 真夜中のシンガーミシン亡母の音 大阪府 能登和子
佳作36 輪郭が薄いよ黒を飲みなさい 青森県 佐藤 雅秀
佳作35 モノクロのひまわり友達幻想 愛媛県 高橋こう子
佳作34 墨吐いて生き延びるイカ介護一 愛媛県 重岡薫
佳作33 黒飴をひとつもらって別れたが 宮城県 浮千草
佳作32 何だろう黒いおつりを貰ったよ 福井県 天谷由紀子
佳作31 刑に処す全部32分音符 山梨県 加藤 当白
佳作30 会長の後ろに黒い哺乳瓶 愛媛県 土居新山
佳作29 黒猫を抱いて彦乃になる今宵 石川県 石倉多美子
佳作28 黒で書く本音と黒で消す本音 佐賀県 真島久美子
佳作27 泣き黒子お天道様にあるらしい 高知県 森乃鈴
佳作26 堕天使、チャリで向かってるっていま 兵庫県 宮沢青
佳作25 おあつらえそこに包丁ありました 青森県 ・橋せい子
佳作24 梟の都合で闇が白くなる 青森県 三浦 蒼鬼
佳作23 思い出はイカスミだって恥ずかしい 愛知県 明名蝶
佳作22 泣きそうを閉じ込めているジェットのピアス 京都府 竹内知子
佳作21 ガラガラポン落ちてきたのはルドンの眼 岡山県 小林茂子
佳作20 こうみえて黒はけっこうおひとよし 高知県 萩原良子
佳作19 いただいた朝にもちゃんといる鴉 青森県 岩崎眞里子
佳作18 アンタはアンタやと陀羅尼助が黒い 滋賀県 峯裕見子
佳作17 日焼けした頬これからも信じるよ 京都府 和田洋子
佳作16 あっちっちダルメシアンの黒いとこ 青森県 笹田かなえ
佳作15 黒いです本能消した充電器 東京都 星出冬馬
佳作14 金髪でうたってならぬヨイトマケの唄 北海道 木暮健一
佳作13 旧姓と向き合うブラックコーヒー 広島県 笹重耕三
佳作12 時系列を縛るイカスミのパスタ 京都府 森田律子
佳作11 梟の閨にふたご座流星群 岩手県 徳田ひろ子
佳作10 無差別となる群衆のシルエット 山梨県 加藤 当白
佳作9 コーヒーはブラック的な漢和辞典 東京都 飯島章友
佳作8 はつこいの学生服にあっホタル 福岡県 柴田美都
佳作7 掠れ筆森はますます深くなる 静岡県 渡辺遊石
佳作6 別室の黒羊羹はどうなるの 愛媛県 吉松澄子
佳作5 解答をみんな揃えたブラックホール 大阪府 寺川弘一
佳作4 八咫烏マークシートな歩き方 愛知県 中川喜代子
佳作3 奥深くシャットダウンをまさぐりぬ 大阪府 竹井 紫乙
佳作2 影法師畳めばほんの一握り 大阪府 里山はるえ
佳作1 困ったものよ仄暗いのが出て行かぬ 愛媛県 能田勝利
       
秀逸5 黙り込むみんな黒には恩があり 大阪府 小原由佳
秀逸4 腹黒い二人で見てるショーケース 大阪府 小原由佳
秀逸3 公文書がブルカを着けてやってくる 青森県 滋野さち
秀逸2 エンドロールでは黒の修理に追われ 東京都 柳本々々
秀逸1 ニンゲンを一度やったら解るだろ 秋田県 田久保亜蘭
       
特選 黒板をかつぎ退職いたします 静岡県 句ノ一

選評

【秀逸5】
黙り込むみんな黒には恩があり

 「黒」に恩の無い人なんていないだろう。そう思わせる説得力がこの句にはある。読み手はそれぞれの「黒」を想起しては首肯する。

【秀逸4】
腹黒い二人で見てるショーケース

 「越後屋、お主も悪よのう」「お代官様ほどでは」の現代版を見るようで、面白さが込み上げてきた。上質なユーモア句だと思う。

【秀逸3】
公文書がブルカを着けてやってくる

 殆どが黒塗りの公文書に、どこか慣れ てしまった自分が怖い。ブルカは神聖で 侵し難いものだが、この句での用い方は 絶妙だと思う。

【秀逸2】
エンドロールでは黒の修理に追われ

 黒が壊れるまでを描いた本編。それを修理する様子をエンドロールの背景で見せるとは、なんて粋な構成の映画だろう。
 この着眼に惹かれた。

【秀逸1】
ニンゲンを一度やったら解るだろ

 兼題「黒」との関連には正直いまも迷っているが、どうしても私の心を掴んで離さないこの句。まあ、ニンゲンほど?黒い畧犬物はいないと考えれば、兼題の問題も雲散霧消するだろう。

【特選】
黒板をかつぎ退職いたします

 学校の先生の、愚直な生き様が活写されている。黒板と共に生き、黒板と共に教室を去るその姿を「黒板をかつぎ」とはあっぱれだ。視覚的、映像的という次元を超え、とことん戯画化したところがいい。そしてどこかじんとさせられる。

むさ し 選(むさし・青森県・おかじょうき川柳社代表)
佳作44 ゾゾタウンのゾゾは妖しい黒子だな 愛知県 明名蝶
佳作43 旧姓と向き合うブラックコーヒー 広島県 笹重耕三
佳作42 ゆらゆらとひと息ついて黒になる 京都府 佐藤 暁音
佳作41 しらす干し億の目玉に億の海 宮城県 渡辺忠一
佳作40 蛇口から黒い噂さがぽとりぽとり 青森県 稲見則彦
佳作39 黒を拾ってからのでこぼこの道 福井県 みつ木もも花
佳作38 青空を飛びつづけてもまだカラス 三重県 小川はつこ
佳作37 だんごむしだったアイドリングだった 熊本県 いわさき楊子
佳作36 逃げ込んだ夜の扉が開く音 青森県 綿谷夕雨子
佳作35 クロネコの尻尾を踏んで待たせてる 千葉県 老沼正一
佳作34 蜥蜴にも揚羽蝶にもなる喪服 静岡県 渡辺遊石
佳作33 父さんのピースのにおい黒電話 愛知県 今村美根子
佳作32 黒々と塗り潰してもまだ私 青森県 ひとは
佳作31 ひょいと手を伸ばすと戦争につきあたる 青森県 ・・霜石
佳作30 帯は黒 立ちどまってはいられない 兵庫県 田村ひろ子
佳作29 黒で書く本音と黒で消す本音 佐賀県 真島久美子
佳作28 前頭葉から黒百合咲いたって 愛媛県 大内せつ子
佳作27 ああ見えて肚黒だったんだ ススキ 大阪府 上嶋幸雀
佳作26 黥面文身鼻の穴から蕎麦の花 青森県 小野五郎
佳作25 黒塗りの文書に白い闇がある 北海道 松木 秀
佳作24 叱られて小さな黒い点になる 長野県 興津幸代
佳作23 引き波のにおいは底のない闇夜 大阪府 宮井いずみ
佳作22 ニンゲンを一度やったら解るだろ 秋田県 田久保亜蘭
佳作21 黒鍵のすきまに鳥がいた昨日 北海道 澤野優美子
佳作20 魂はどこだとQRコードかざす 京都府 河村啓子
佳作19 悲しみを笑いに変えてきたホクロ 岩手県 鷹嘴閲雄
佳作18 こうみえて黒はけっこうおひとよし 高知県 萩原良子
佳作17 許します潜水艦になりなさい 青森県 まみどり
佳作16 喪服着て全部なかったことにする 愛媛県 吉原美佐
佳作15 会釈するブラックアウトしたままで 佐賀県 真島久美子
佳作14 暗闇で握った黒が生温い 新潟県 星井五郎
佳作13 まあいいか背黒鰯にされちゃった 青森県 坂本清乃
佳作12 水辺へと手負いの黒をつれてゆく 徳島県 徳長 怜
佳作11 水たまり見つめ続けているカラス 奈良県 ひとり静
佳作10 流木が横たわってる膝がしら 兵庫県 坪井篤子
佳作9 会長の後ろに黒い哺乳瓶 愛媛県 土居新山
佳作8 おもしろい黒になるまでかき混ぜる 秋田県 佐々木智恵子
佳作7 ときどきは白に相談してる黒 京都府 西田雅子
佳作6 ほらここが黒くなってるから死ねる 大阪府 川田由紀子
佳作5 走ったら追い越せたかも知れぬ黒 愛知県 前田ゆうこ
佳作4 もう過ぎたことです黒く塗りましょう 長野県 興津幸代
佳作3 火のにおいさせたまんまの黒でいる 石川県 藤村容子
佳作2 ともすれば舌から黒くなりますよ 神奈川県 岡田 弘子
佳作1 別室の黒羊羹はどうなるの 愛媛県 吉松澄子
       
秀逸5 黒い向日葵あの子隠していませんか 高知県 萩原良子
秀逸4 梟の閨にふたご座流星群 岩手県 徳田ひろ子
秀逸3 「ん」の続きあるので点をうたないで 青森県 中村誠子
秀逸2 何だろう黒いおつりを貰ったよ 福井県 天谷由紀子
秀逸1 火縄銃に込める丹波の黒豆 岡山県 木下草風
       
特選 あの日見た父はかすれたバーコード 大阪府 浅井ゆず

選評

 杉野十佐一賞の選をこれまで何度もやってきたが、今回はいつになく選考に長い時間を要した。  530句の応募作から100句まで絞るにはそれ程苦しまなかったが、そこから序列をつけていくのに難渋した。
 読むたびによく見えて来る作品が多いのだ。  
 選の結果を今見直しても、上位6句はどれもみなおもしろい。
 そんな中から急激に変貌を遂げている今の社会をクール過ぎるほどクールな目で見つめている作品を特選とした。

【特選】
あの日見た父はかすれたバーコード

 「バーコード」は太さの違う線を並べた符号で、機械で読み取ると国名、業種、商品名、価格などが判るようになっていて、主に在庫管理に使われる。
 だから、普通は本や果物や野菜などの商品につけられているものだが、作者は「父」を見てバーコードを思った。
 「親父、バーコードだな…」「しかもかすれてる」って、まさか頭髪の状況を言っている訳ではあるまい。
 作者の中では「父」という存在さえもりんごやキャベツと同列であって、単純に情報化されて管理され、処理されていくものであるということだろう。
 そして、その存在が危うくなると「かすれ」る。
 「あの日見た」ということは、「父」はもうこの世にいないのかもしれない。
 人間の情報化と言えば、今では誰も話題にしなくなったマイナンバーを思い出す。
 人間もデータとして単純処理される恐ろしい世の中になった、とこの句は言っている。

【秀逸5】
火縄銃に込める丹波の黒豆

 この句の裏には「原子爆弾を搭載したミサイル」が聳えているに違いない。核保有国から見た日本の姿だ。

【秀逸4】
何だろう黒いおつりを貰ったよ

 ある行動に対する異質な反応、それも悪質なもの、それが「黒いおつり」。特殊詐欺だ、気をつけろ。

【秀逸3】
「ん」の続きあるので点をうたないで

 橘高薫風さんの「人の世や嗚呼にはじまる広辞苑」の続きを見せられているようだ。今の世の中、「ん」から始まる勝負は珍しくない。

【秀逸2】
梟の閨にふたご座流星群

 夜行性の梟にとって夜は活動時間帯だから閨(寝室)が空っぽだと思うだろうが、怠け者の梟がごろんと転がってふたご座流星群に見とれていたりする。

【秀逸1】
黒い向日葵あの子隠していませんか

 作者は、存在するはずのない「黒いひまわり」が「あの子」を隠していると疑っている。そうでもしないと心が助からないのだ…。